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洗脳されて闇騎士になった僕、なぜか中身はマイペースなゲーマーです~親友を救うため、前世知識でバッドエンドを攻略します~  作者: 終端カヌレ
第2部:???編(第34話〜)

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47.5話 後編 番外編 ジャガイモをサイコロ状に削り出す料理音痴な親友と、僕が無意識に作ったB級グルメの香ばしさに落ちたパーティー


(イヴェット視点)


これはまだ、俺とエルニア、キュリアの三人で旅をしていた時の話。


「もう! イヴェットが無理して依頼をいっぱい受け持つからだよ! 雨が降ってきちゃったじゃないか!」


エルニアが冷たい雨に打たれたことに文句をつけながらも、自分の外套を素早く脱ぎ、手際よく焚き火の近くに干している。

その横でキュリアも同じようにしながら、中の服だけは得意の風魔法で手早く乾かしているのが見えた。


「ほら、イヴェットのマントも貸して。早くしないと風邪を引いたら一大事だよ」


そう言いながら無理矢理、外套を奪われた。


ふっ、口ではカンカンに怒っているのに、雨に濡れる原因を作った俺を一番に気遣ってくれる。

相変わらず優しいヤツだ。


俺はそれを見ながら、ふと思いついてしまった。

エルニアたちが着替えや片付けをしている間に、手早く温かい料理を作っておけば喜ばれるのではないか──と。

善は急げとばかりに、俺は食材が入っている荷物を探し出して調理に取りかかる。


まずは暖を取るためにスープだろうと思い、ジャガイモを取り出して皮を剥いていく。

……だが、そいつは何故か、最初は丸かったはずなのに見る見るうちに小さく四角くなっていった。


次に人参を刻もうとまな板を用意して包丁を振り下ろした瞬間、まな板が人参と一緒に綺麗に真っ二つになり、洞窟内に『パカーン!』と乾いた派手な破壊音が響き渡る。


「……あ」

「「…………」」


作業の手を止めた二人の視線が、俺の手によって切断されたまな板と、サイコロサイズになった角切りのジャガイモに突き刺さる。


「イヴェット? 君は何をしようとしていたのかな?」

「いや〜温かいスープを作って、二人を労おうかと……」

「お気持ちだけはありがたくいただくよ! 分かった、分かったから一旦包丁と食材を置いて!! これ以上やったら僕たちの食糧と調理器具が全滅する! ただでさえ、僕とイヴェットは成長期でいっぱい食べるんだからこれ以上減らさないで!」


エルニアが頭を抱えて俺から包丁を没収し、深々とため息をついた。


「はぁ……手伝おうとしてくれたのは嬉しいけどね。……よし、僕がササッと作っちゃうから、イヴェットは火の番をしてて」


エルニアはテキパキと干し肉や野菜の端切れを切り揃え、小さな鍋で煮込み始めた。

さらに、昨日の残りの干し飯を取り出すと、手でキュッと丸めて平たい丸のような形にしていく。


「エルニア、それは何だい?」

「んー……僕もよく分からないんだけど。こうやって表面を少し炙って、この大豆の発酵調味料と甘い蜜を塗って焦がすと……すごく美味しい気がするんだよね」


エルニア自身、なぜそんな調理法を知っているのか不思議そうに首をひねっていた。

だが、彼が火で炙った楕円形のものに香ばしいタレを塗り始めた瞬間、洞窟の中に信じられないほど香ばしい匂いが充満した。


『ぐぅ~……』と、真っ先に鳴ったのはキュリアのお腹だった。

エルフの彼女は目を見開き、生唾をゴクリと飲み込んで物体を凝視している。


「エルニアくん……ッ! この、鼻腔をくすぐる香ばしさは一体何ですか……!? はじめて嗅いだのにあまりの香りにお腹が鳴ってしまいましたよ!」

「ただの焦がしタレ焼きおにぎり(仮)だよ。はい、熱いから気をつけてね」


焼き上がった香ばしい楕円形のものと、熱々の野菜スープが配られる。

一口かじると、カリッとした表面の香ばしさとタレの甘辛さが口いっぱいに広がり、身体の芯から温かさが染み渡っていくようだった。


「……うまい。うますぎるぞニカ!」

「ふふ、喜んでもらえてよかった。イヴェットの切ってくれた『四角いジャガイモ』もスープの中でいい味出してるよ」


エルニアが柔らかく微笑む。

その横で、キュリアは楕円形のものを両手に抱えてハフハフと頬張りながら、俺とエルニアのやり取りを涙目で眺めていた。


「ふはぁ……冷えた身体に染み渡る温かいご飯……そして、怒られて縮こまる救世主様と、それを優しくフォローする幼馴染……。尊い……尊すぎます……! はぁ、神に祈るより遥かに効率よく魂が浄化されていきますね……」

「キュリアさん、拝んでないで冷めないうちに食べてね?」


雨の音しか聞こえない寒い洞窟の中で、そこだけがぽかぽかと温かい光に包まれていた。


──辛いことも、痛いことも、楽しいことも、みんな半分こして笑ってれば大丈夫。


あの日、お前が言った言葉は本当だった。

三人で笑い合いながら食べたあの香ばしい味を、俺は一生忘れることはないだろう。

第47.5話(後編)をお読みいただきありがとうございました!

そして、前後編の一挙投稿にお付き合いいただきありがとうございます!


今回は本編をお休みして、救世主イヴェットとキュリアの過去を描く番外編をお届けいたしました。


前編での幼い頃のエルニアとの甘酸っぱい思い出(ニカ!呼びの破壊力……!)から、重すぎる決意(ヤンデレ化!?)を固めたイヴェット。

そして後編では、まだ平和だった頃の三人旅の一コマを描きました。


過去の尊さと平和さがあればあるほど、現在軸の情緒が破壊される仕様となっておりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?(笑)

(そして旅の初期から二人の関係を『尊い……』と生温かく見守り続けていたキュリアさんのブレなさも、書いていて非常に楽しかったです!)


ここで読者の皆様に質問です!

・「前編の幼少期エルニアと、覚醒(?)したイヴェット」

・「後編の平和な三人旅と、キュリアさんの温かい(?)眼差し」

皆様は今回の番外編で、どのシーンが一番心に残りましたか……!?

ぜひ一言コメントや評価で感想を教えていただけると大変励みになります!



【★次回更新のお知らせ】

次回の第48話は、【9/29(火)の夜(18:00頃)】に投稿予定です!


物語は再び魔王城へと戻り、ついに目を覚ましたエルニアと、過保護すぎる従者たちによる「至高の朝食(精神的胃もたれ必至)」が描かれます。

本編への復帰もどうぞお楽しみに!


続きが気になる!と思ってくださった方は、ページ下部から【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、一言コメントをいただけると大変励みになります!


皆様の応援ポチが、何よりの執筆の原動力です……!

次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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