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洗脳されて闇騎士になった僕、なぜか中身はマイペースなゲーマーです~親友を救うため、前世知識でバッドエンドを攻略します~  作者: 終端カヌレ
第2部:???編(第34話〜)

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第38話 敵幹部になった僕、魔法陣の知識がなくて詰む ──交渉の切り札はカモミールクッキー!?


紙が捲れる音が響く、魔王城では少し異質な場所。そここそが今回の目的地、経理部門の長である算矩(さんく)のカルセドニーがいる部屋だ。他の幹部たちとは違い、個室ではなく経理部門の部下達が集まるオフィスに彼はいた。


闇騎士ヴェイグとその従僕ロスタが揃って入室しても、誰も振り返る事はない。皆、淡々と各々の作業を進めている。


まぁ、ここに申請に来る人物はたくさんいるので、一々気を取られていられないのかもしれないな。


「……カルセドニー殿。この魔法陣の解析と書き換えを頼みたい」


『よし、後方支援タイプの幹部なら知識は確かだ。金か研究費を出せばやってくれるはず……!』


無表情で静かに迫る僕に対し、カルセドニーはメガネの奥の朽葉色(くちばいろ)の目をギラリと光らせ、ふっと不敵な笑みを浮かべた。


「ふふふ……ヴェイグ様。ただ金銭を積まれても首は縦に振れませんね。私は貴方がこの頃、厨房で好き勝手にして秘密裏に"アレ"を創っているのを、まるっとお見通しなんですよ! その懐に隠している物と交換ならやってあげても良いですが? いかがしますか?」


『えぇ……!? 懐に隠してるのって、さっき厨房で焼いたカモミールクッキーなんだけど!?』


「な、何の話だ」


「煙に巻いても無駄ですよ! 無駄! 経理部の情報網を舐めないでいただきたい! 予算の代わりに『そのお菓子』を私に納品しなさい!」


『魔王軍幹部、手作りお菓子で買収できちゃったよ……。セドューレさんといい、魔王軍の福利厚生、どうなってんだマジで』


大人しく、懐から出した硝子瓶(ガラスびん)と魔法陣を写した紙を差し出す。


その時、背後に静かに付き添っていたロスタがあっと残念そうな声を出した。


「僕の分の取り分が……」


『後でまた追加を焼くので堪えてくれ、ロスタ……これも任務の為、いや、イヴェットの為なんだ』


という意味を込めて目配せをしておいた。


──先ほどお菓子のカツアゲをしてきた時とは打って変わり、手渡した魔法陣の写しをつぶさに観察するカルセドニー。


「なるほど。これはまた手の込んだ魔法陣で……これをどうされたいんですか?」


「この対象を別物に……例えば、対になる魔法陣を持った者へ術の矛先を変えることは出来るだろうか?」


脳内を検索するかのように目を閉じ、ブツブツと独り言を漏らしながら分析を続ける男。側から見るとちょっと不気味だが、背に腹は代えられない。それを見て少し震えていたロスタが、ニコッと笑って言った。


「ヴェイグ様! やりましたね。これで次の任務も安心です」


「あぁ、そうだな。ロスタのお陰だ。助かった」


そう言ってロスタへと振り向くと、僕より少し高い背を小さく屈めて頭を差し出してきたので、髪型を崩さないようにゆっくりと撫でて待つことにした。


本当、この髪サラッサラだよな〜。


ヴェイグの艶のある髪とも違った、犬のようなウサギのような絶妙な触り心地。癒されるな〜。


……コホンと長考が終わったのか、カルセドニーが一つ咳をしてから早口で語る。


「出来るには出来ますが……これの元を作った『家の者の血』が書き換えには必要ですな。かなり慎重に造られた代物は、そのように条件の縛りを作って秘匿するのが魔法陣の習わしでして。そのせいで研究している連中は貴族に偏っていくんですよ! これだから魔法陣の研究が中々進まないんですよ……僕は一刻も早くこの制度の撤廃を……」


永遠に続きそうな怨嗟を聞き流し、要点を聞き取ったところ、つまり!!


『ということは、この魔法陣を作った家──ルーカスの家の誰かの血が書き換えに必要ってことか!!』


この任務。まだまだ攻略には時間がかかるようだ。

第38話をお読みいただきありがとうございました!


後方支援の強敵幹部カルセドニー、まさかの「手作りカモミールクッキー」で一発買収完了でした(笑)。

セドューレさんといいカルセドニーといい、魔王軍幹部は胃袋を掴めばコロッと協力してくれる説が浮上しています。


そしてちゃっかり自分の分のクッキーを惜しんで頭を撫でられるロスタ……癒やし枠として完璧すぎますね!


【読者の皆様へ質問です!】

魔王軍幹部の買収アイテムがまさかの「手作りお菓子」でしたが、皆様が思う「魔王軍幹部を落とせる最強のスイーツ・料理」は何だと思いますか?

また、クッキーを取られたロスタへの慰めの言葉もぜひコメントで教えてください!


次回の第39話は、【9/8(火)の夜(18:00頃)】に投稿予定です。


続きが気になる!と思ってくださった方は、ページ下部から【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、一言コメントをいただけると大変励みになります!


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次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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