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洗脳されて闇騎士になった僕、なぜか中身はマイペースなゲーマーです~親友を救うため、前世知識でバッドエンドを攻略します~  作者: 終端カヌレ
第2部:???編(第34話〜)

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第37話 【詰み】敵の最高幹部になった僕、救世主を延命させる魔法陣の知識がなくて頭を抱える


僕は一人、冷たい石畳の廊下を歩いている。満月教の警備はザルのようで、ヴェイグの隠密スキルによりあっさりと侵入することができた。


供儀式(くぎしき)には聖具が3つ必要で、これを使用できなくすれば儀式自体は完成しなくなるだろうが……それではダメだ。下手に儀式が出来ないとなると、イヴェットがより瘴気(しょうき)の濃い場所へと連れて行かれてしまい、本末転倒なんてことになりかねない。


だから、僕はこの儀式用の魔法陣自体を書き換えることにした。イヴェットの聖剣に瘴気を吸わせるのではなく、瘴気耐性のある僕の身体に吸収させればいいと思い付いたのだ。


だが、残念ながら僕はあくまで魔法剣士で、すでに完成した呪文を唱えて発動するタイプだ。道具などの無機物に魔法を付与する魔法陣はからっきしなのである。


かといって三従者もこういうのには詳しくないだろうし……。魔法陣というのは秘伝のものが多く、多くは貴族達が代々受け継いでいく代物で研究者も貴族の人間がほとんどだ。とりあえず、魔法陣を正確に書き写してきたが何が何やらさっぱり分からない。僕は魔王城のヴェイグの私室で、魔法陣を片手に悩んでいるところだった。


僕に貴族への伝手など……あっ、一人いるじゃないか!!


僕らの幼馴染の一人──ルーカスだ。


ルーカス・ダグラス。

本名はルチアーナ・アシュフォード。


彼女の家はかなりの名家だし、彼女自身も優秀な斥候(せっこう)であり、トラップなども得意とする魔法陣の使い手だ。


貴族の跡取りがなんで斥候をこなせるのかは不明なのだが、彼女の隠密スキルの高さは伊達じゃない。


普段は男装をしていてチャラ男風に振る舞っているが、その仮面すらも利用して色んな情報を集めてきてくれて、何度もイヴェットたちのピンチを救ってくれたんだ。


確か救世主イヴェットVS闇騎士ヴェイグの一回目の戦いが終わった後だから、まだ王都の別邸にいるはずなんだけど……。


問題はどう話を切り出すかだ。

ゲームではルーカスの加入はもっと先なので闇騎士ヴェイグの容姿などの情報は知らないはずだが、彼女の情報収集能力を甘く見てはいけない。


合流する時だって特に深くこちらの状況を聞かなくても……。


『このオレ様に任せとけって。こういうのはオレの専売特許だって言ったろう?』


と言って最適解を選び、救世主イヴェットを全面的にバックアップしてくれていた。


ルーカスに頼めばこの魔法陣を改造してもらえるかもしれない。対になる魔法陣側に瘴気を吸収させる形に変更できれば一番いいのだけど……しかし、現在の敵側である闇騎士ヴェイグが頼むわけにもいかないし……えっ、もしかして詰んだ?


「ヴェイグ様? さっきから唸りながら何を見てるんですか〜?」


今日はイシューもアランも近衛の仕事でいないので、ロスタが僕の世話係として部屋付きになってくれていた。いつもは情報収集などで出ていることの多いロスタが、横にいて部屋の整理をしているのは少し面白い。


アランやイシューと違ってロスタは厳格な執事というよりは、どこか見習いや下働きを思わせる若手の従僕といった雰囲気だ。見た目はあの二人とそっくりなのに、ここまで違って見えるのは何故なのだろうか?


少し観察していると、僕が魔法陣を調べる為に出した本を綺麗に揃えて分かりやすく直す手際など、仕事ぶりは完璧なのだが……。ちょこちょこ小走りに動く所や、よく変わる表情のせいかもしれないな。


そんな事を考えていると、ロスタは整理の手を止めて、全く表情筋が動かない僕の頬を自分の手で軽く引っ張ってきた。


「ヴェイグ様、また難しい顔をして……。そんなにしかめっ面をしてると、シワが増えちゃいますよ?」


少し呆れたようにため息をついている。


「いや、何。次の任務で使う魔法陣なのだが、どう弄っていいものか分からなくてな」


「あー、魔法陣は専門の知識が必要ですからね。付け焼き刃でどうにかなるものでもないですし……魔王軍で詳しいとなると、算矩(さんく)のカルセドニー様ですかね」


ロスタは手を止めて、僕の肩越しに魔法陣を眺めながらポツリと言った。


「カルセドニー殿は確か経理担当の御仁だろう? 魔法陣にも精通されているのか?」


「はい。カルセドニー様は元々、魔導具研究畑の方でその功績を認められて今の地位に就かれたんです。予算を確保しないと十全な研究ができないと……、かなり守銭奴だって噂されてます」


『後方支援タイプの魔王軍幹部──算矩のカルセドニー。救世主イヴェットたちと戦うのは一回きりだが、彼の巧みな多系統にわたる魔法は、プレイヤーがかなり苦戦を強いられたバトルだ。大魔法を使うたびに弱点属性が切り替わるトリッキーな戦いをするタイプで、ただのボタン連打で勝てる相手ではないのだ』


「基本、カルセドニー様は経理部におられるはずなので相談してみますか?」


「いや、うん。だが、これはな……」


『救世主を延命する為の魔法陣の改造を、魔王軍幹部にどう頼めと言うんだよ!!』

第37話をお読みいただきありがとうございました!


今回は男装イケメンなルーカスの頼もしさと、ヴェイグの頬を引っ張るロスタの可愛さが詰まったお話でした!

(アランやイシューとはまた違ったロスタの弟感がたまりません……!)


しかし、肝心の魔法陣問題は完全に八方塞がり。

頼みの綱のカルセドニーは「算矩」なんて二つ名がついているガチガチの幹部ですし、弱点属性がころころ変わるトリッキーな強敵にどうアプローチするのか……!?


【読者の皆様へ質問です!】

今回登場した「ルーカス」や「ロスタ」、そして名前が出た「カルセドニー」。

皆様が今一番気になっている・推したいキャラクターは誰ですか? 推しポイントも合わせて教えていただけると嬉しいです!


次回の第38話は、【9/6(日)の夜(18:00頃)】に投稿予定です。


続きが気になる!と思ってくださった方は、ページ下部から【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、一言コメントをいただけると大変励みになります!


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次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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