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洗脳されて闇騎士になった僕、なぜか中身はマイペースなゲーマーです~親友を救うため、前世知識でバッドエンドを攻略します~  作者: 終端カヌレ
第1部:すれ違いの残響編〜呑気な闇騎士と失意の救世主〜(第1話〜第33話)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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第27話 救世主という名の贄③──情報が足りないので、几帳面マッドサイエンティスト(魔王様)とお茶会してきます!


机上には二十冊以上の古文書が積まれていた。表紙には血のような赤字で『禁帯出(きんたいしゅつ)』と刻印されている。どこのブラック企業だよってツッコミたくなるけど、確かに禁帯出案件だこれ。


「まずは整理だな……」


ヴェイグの声で呟きながらページをめくる。手袋越しに感じる羊皮紙のざらつきが現実味を突きつけてくる。


【救世主は霊脈の濾過装置】【剣が穢れを集積】【長期運用による自己消滅】

──どの章節にも同じフレーズが出てくる。しかも年代記は第一紀より古い第三紀末期から始まっているらしい。満月教誕生以前の概念ってことか……これ、やばい規模じゃん!?


「ロスタ、これらを年代順に並べ替えろ」


「はっ! 了解しました!」


元気よく返事をしたロスタの髪は、動きに合わせてグレーメッシュがちらつく。

ちょこちょこ跳ねてる所がウサギの尻尾みたいで可愛いなぁ……あまりのイヴェットの状況の衝撃に現実逃避したくなるが、今は集中、集中!


まず整理しよう。

味方(救世主)サイド=満月教の教えでは『救世主は神の遣い』『邪神を討伐するために選ばれた英雄』って話。

でも敵(魔王)サイド=こっちの古文書によれば『人柱』『呪具の使用者』『最後は消滅』だ。

これ、違いすぎだろう……誰がこんなに意図的に伝承を歪めたのか?


ふと、自分がメモ書き用に使っていた紙に見知らぬ記述を見つける。自分(ヴェイグ)の筆跡で故郷の村にバツ印がついている。


『……。オートセーブ的な無意識の落書きかな?』


「なぁ、お前達。満月教についてはどう思っている」


突然投げかけた質問に、ロスタとアランが顔を見合わせる。あっ、やばい。今の、冷酷なヴェイグのキャラじゃなかったかも。


「畏れ多くも……信徒の結束力と経済基盤は脅威です。そして、あの求心力と浸透力。人間界では多かれ少なかれどんな人間も一度は関わったことがあるでしょう」


アランが丁寧に答える。さすが真面目担当。社会学的視点ありがとう!


「そうじゃない。思想や信仰体系自体はどう思う」


「えっと……神秘的な……良い話だとは思いますけど……」


ロスタが口籠る。まあね、君達からしたら胡散臭い宗教だもんね。僕は無宗教だけど、日本人的感覚で言えば、長く生きている魔族にとっては新興宗教みたいな扱いだろう。でもこの世界の人間界では主流派だし。


つまり味方サイド=信仰に基づく善意の物語。敵サイド=国家的陰謀説ってパターンか……こういう二元論は好き嫌い分かれるよなー。漫画とかによくある展開だけどさぁ。


ぺらりぺらりとページを繰る手が止まる。


【臨界到達時の症状:体内発熱・幻覚・記憶障害・自我崩壊】


イヴェットの笑顔が脳裏をよぎる。最後に会ったのは僕が洗脳魔法を掛けられた時だけど……既に【供儀式(くぎしき)】は数回行われている……消耗が進んでいたらどうしよう、このまま行けば本当に……


「ロスタ、これらの書類は誰が持ち込んだものだ?」


「魔王軍の古文書係が昨晩、修復を終えたものを届けに参りました」


古文書係!? そんな部署まであるんだ? 魔王軍も事務作業大変だな~。いや、今は悠長にツッコミを入れている場合じゃない!!


──となると、最大の懸念はここだ。


「魔王陛下はこの情報を把握していると思うか?」


ロスタが首を捻り、アランが低く唸る。微妙な表情に違和感を覚えた。


「確証はありませんが……」


アランが慎重に言葉を選ぶ。


「少なくとも軍上層部には共有されていると考えるのが自然かと」


クソッ、やっぱそうだよな……。


もし魔王が知っていれば、今回の救世主排除作戦にも合点がいく。浄化機構が機能停止すれば魔族優位が加速するからだ。


背景が見えてきた。だが、それをイヴェット本人にどう伝える?


そもそも僕は敵軍幹部ヴェイグなわけで……ああ、もう頭痛くなってきた!



「ヴェイグ様、そろそろ魔王様とのお茶会の時間でございます。お召し替えを」


アランの言葉に、僕は深く息を吐き、古文書を閉じた。

まだまだ情報が足りない。だが、これ以上は時間切れだ。


闇騎士としての仮面を完璧に被り直し、唇に冷酷な微笑を浮かべる。


「……分かっている。行こう」


『待ってろよイヴェット、絶対に助けてやるからな!

よし、まずはあの几帳面マッドサイエンティスト(魔王様)と、優雅に可愛いマカロンでも突っついてくるかコンチクショウ!』


第27話をお読みいただきありがとうございました!


現実逃避でロスタのぴこぴこ髪をウサギ扱いしたり、自分の過去の落書きに首を傾げたりと、思考が忙しいエルニア。

シリアスな局面でも内面のツッコミを忘れない彼のメンタル、さすがゲーマーです。


【★重要なお知らせ★】

次回の投稿より、いよいよ『第1部クライマックス』に突入します!

これを記念して、次回8/18(火)から【5日連続投稿】がスタート!

怒涛の展開をぜひ連日見届けていただけると嬉しいです!


次回の第28話は、【8/18(火)の夜(18:00頃)】に投稿予定です。


続きが気になる方、応援してくださる方は、ぜひページ下部から一言コメント、ブックマーク登録や評価(☆☆☆☆☆)をよろしくお願いいたします!励みになります!


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明日もどうぞよろしくお願いいたします!


※本作は「なろうチアーズプログラム」に参加しています。画面下のボタンから応援チアをいただけると嬉しいです!

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