表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/24

第20話 魔王軍の朝はゲキマズ飯から始まる。――ところで、同僚のガチムチ槍ニキが怖すぎるのですが。

「ヴェイグ様、起床のお時間です」



気が付いたら朝だった。


やはり、疲れが溜まっているのだろうか。


アランに起こされるまで、つい惰眠(だみん)(むさぼ)ってしまっていた。



ベッドに座りながら応える。



「すまない、寝過ぎたか?」



「少し、いつもより遅かっただけですよ。スケジュールに問題はありませんが、今日はこちらにお食事を用意いたしますね」



やがて、お馴染みの重々しい音を立てて金属製のワゴンが運び込まれてくる。


給仕のイシューが和やかにこちらに一礼し、テキパキと皿を並べていく。


ベッドルームの小さなサイドテーブルが、あっという間に朝食会場へと様変わりした。



そして──残念ながら、本日の朝食もゲキマズ地獄飯である。



なぜだ。なぜなんだ魔族諸君……!


こんなものが嗜好品(しこうひん)として許される暴挙に、どうして甘んじているのだ。



ただのゲル化した何かだったものと、変な色の生温かい汁。


これが魔王軍最高幹部・闇騎士ヴェイグの朝食であって良いはずがない。



『僕は魔王軍のゲキマズ飯を改革することを、ここに誓います!!!』



内心でそんな大真面目な宣誓(せんせい)をしている間にも、容赦なく眼前で地獄は繰り広げられている。


ヴェイグの体は大人しく、だが、ゆっくりとフォークを進めていった。



「ヴェイグ様。やはり、お嫌いですか?」



「いや。たぶん……、魔力摂取は問題なく行われているのだが……、申し訳ないが、ここまでで良いだろうか?」



どうにか皿に出された分を飲み込み、イシューの紅茶で気分を落ち着かせる。



「アラン。本日の予定は?」



アランはスッと姿勢を正し、懐から革の手帳を取り出して話し始めた。



「本日も特に予定はございません。ですがロスタから、軍部で西方担当の者達が軍議をしているとの報告が入っております。まぁ、我々には関係ありませんが……御心に留めていただければと」



意外かもしれないが、『ムンクロ』の魔王軍は結構しっかり組織化されている。


あの研究者気質の変人魔王様は効率厨でもあるらしく、細かく分野を分けているのだ。



闇騎士ヴェイグは近衛(このえ)担当で、そこまで大きな規模ではない。


ヴェイグを中心に三従者、あとは警備部門の者が数百人程度。


配下の皆は優秀で、特に僕がやるべき仕事はないのだ。



強いて言うなら、決裁関連の書類作業が主な仕事である。


警備の細かい指示は、アランがいい感じに出してくれている。まさに至れり尽くせりの環境だった。



──まあ、闇騎士ヴェイグの一番の仕事は救世主が攻め込んできた時の「魔王様の前座」なので、通常時に割り振られている仕事は皆無(かいむ)だ。



たまに魔王様に呼び出されて先陣を切り、主人公のイヴェットを(いじ)めるためだけの任務をこの後、何回か振られるのが、ゲームでの設定だった。



そして、近衛というのはなかなか複雑な立場だ。


軍部には所属しているものの、そこからは独立して動く。


そのため、僕はまだ他の幹部と実際に顔を合わせたことがない。



『ムンクロ』でプレイヤーが実際に戦うネームドの幹部は、僕こと闇騎士ヴェイグ、軍部最高幹部・凍槍(とうそう)のセドューレ、および残る二名だ。



この凍槍セドューレが本日軍議をしているということで、今日はアランが魔王軍の幹部用の軍服を用意している。


彼は途轍(とてつ)もなく真面目なのだ。



城に居るだけだからと適当な格好をすれば、間違いなく(いさか)いになる。


セドューレは軍律に厳しく、(すき)のないキャラなのだ。



戦闘時の彼は、白銀のフルフェイス甲冑に身を包んだ、いかつい大男で、自分の身丈以上の槍を使って素早い連撃を何度も放ってくる。


そして名前の通り、氷魔法中心でプレイヤー達を追い込んでいく中ボスの一人だ。


彼とはヴェイグと同じく何回か戦闘を繰り返すことになり、出会うたびに段々と強くなっていくタイプの敵だ。



そして、一番プレイヤーが苦戦する戦いは、この二人の共闘バトルだ。



どちらとも強力なアタッカーであり、優秀な魔法士でもある。


ヴェイグが前衛をハメ殺し、セドューレが大型氷魔法で後衛を消し飛ばす。あの極悪非道な連携のせいで、僕のコントローラーは何度空中を舞い、全滅画面を見せられた事か!



もちろん、セドューレを攻めていた場合は逆になり、やはり回復役から戦闘不能に追いやられる。


残念ながら僕はゲームを最後までやっていないので彼の素顔を見たことがないが、間違いなくこのゲームの戦闘能力トップ五に入る実力者である。



それに、規律に厳しいタイプなだけに、もし軍議の際に見かけられたら何を言われるか分からない。


事前に対策しておくことが大事だと思う。


第20話をお読みいただきありがとうございました!

朝寝坊した朝はベットでご飯を食べるのが憧れがあった作者です!しかし、実際にやろうと思うと大きなトレーが必要だし食べにくいし食べカスが落ちたらベットが汚れて不衛生ですよね……って思いとどまってます。


次回の第21話は、【8/2(日)の夜(18:00頃)】に投稿予定です。


続きが気になる方、応援してくださる方は、ぜひページ下部から一言コメント、ブックマーク登録や評価(☆☆☆☆☆)をよろしくお願いいたします!励みになります!


皆様の応援ポチが、何よりの執筆の原動力です……!

明日もどうぞよろしくお願いいたします!


※本作は「なろうチアーズプログラム」に参加しています。画面下のボタンから応援チアをいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シリアス ダーク 男主人公 魔王 勇者 西洋 魔法 冒険 日常 ハッピーエンド 勘違い 飯テロ ゲーム転生 闇堕ち コメディ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ