表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/24

第17話 魔界飯の暴力に震える闇騎士。卵白消費レシピで優雅なスイーツタイムを確保せよ!


「おぉ……」



アランが感嘆の声を漏らす。



「こんな効率的な浄化方法は初めて拝見しました。やはりヴェイグ様のご実力は並々ならぬものですね!」



はっ、もしや、魔界にはない種類の魔法だったか?


『ムンクロ』には食材を解毒する魔法はなかったはずだ。だから、前世の違うゲームで使用していた詠唱魔法を唱えてしまったが、マズったかもしれない、と冷や汗が流れる。



「素晴らしい!! 記録に残したいところですが……」



アランが手帳を取り出すも、僕はさっと遮った。



「不要だ」



『君のメモ癖も大概だよ……!』



さて、問題はこれからだ。


魔界産食材とはいえ、使い方は地球と変わらないはず……多分。


包丁を握りしめ、まずは人参(にんじん)から処理にかかる。


刃を入れるとシャクッと小気味よい音と共に果汁が飛び散る。


……甘い? リンゴみたいな香りがする。イシューの紅茶に入ってるのに似てるかも。



「それは糖蜜根(とうみつこん)です」



イシューが鍋を磨きながら説明してくれる。



「煮込めば自然と砂糖代わりになりますよ」



「ほう……便利だな」



続いてキャベツに取りかかる。


青い葉を一枚()ぐと、手のひらサイズの小さな虫が走るように出てきた。


咄嗟に振り払おうとすると──



「待ってください!」



イシューの制止が早い。



「それは共生虫(きょうせいちゅう)! 食用ですよ」



『……は?』



虫を食べるのかよ! マジか!


さらに玉葱(たまねぎ)を切ろうとした瞬間──パチン!


指先に走る鋭い痛み。玉葱の水分が炸裂し、目が()ける。まさか、玉葱の叛乱に遭うとは……。


涙腺決壊(るいせんけっかい)……魔界式刺激物か!



「おっと!」



イシューが慌てて水差しを差し出す。



「これは熟成玉葱(じゅくせいたまねぎ)ですね。放置しておけば、辛味成分と刺激成分が減ります」



『料理一つ取っても命懸けか……!』





アランが呆然と傍観する。



「まさか……本当にヴェイグ様がご自身で下準備をなさるとは……」



そりゃそうだろ! こう見えても元現代っ子だし。


途中何度か小爆発や香辛料の暴走事故を起こしながらも──ついにメインディッシュが完成する。



イシューに聞きながら薬草達をオイルと一緒に練り込んで焼いた、スパイシー瘴気鹿(しょうきじか)のソテー。


赤紫のスープにピンクの蒸し芋、解毒した青葉サラダ。


マヨネーズは頑張って人力で泡立てたから大変だったぜ。


泡立て器(あわだてき)がないのでスプーンで必死に空気を含ませて乳化させたピンク色のマヨネーズ……。


大胆にも卵黄だけで作ったから濃厚である。



それにしても、なぜ 卵黄がピンク色なのか本当に知りたい。卵黄ではなくて「卵ピンク」だけど、細かいことは気にしない、気にしない!


余った卵白(らんぱく)については、ちゃんとまともな色で安心した。これは砂糖とナッツ類を合わせてチュイールにした。


自分用なので別にカールさせたりしない。スプーンで生地を垂らしてオーブンで焼くだけの、簡単卵白消費レシピだ。



さて、見た目は地獄飯だが……味は──。


ひと(すく)い口に運ぶ。


その瞬間、芳醇な旨味と(かす)かなピリ辛が口の中を駆け抜ける。



『香辛料が良い仕事してる! 美味し〜い!』



イシューに、5グラム以下なら毒も薬効もない香りの良い薬草はないかと尋ねた甲斐があった。



「意外と美味だ」



「おお……」



アランが目を見開く。



「野蛮な魔族料理とは思えない完成度です! 流石、ヴェイグ様」



『そこは素直に褒めてくれない!?』



イシューが笑顔で勧める。



「ぜひ味見を! 私も感動しています」



四人分の器に分けると──最後の一皿は従者二人に渡した。



「私の分はもう十分だ。ロスタも食べるなら渡しておいてくれ」



実際満腹だしね。


チュイールだけはイシューが貸してくれた小さな硝子瓶(ガラスびん)に入れさせてもらい、私室に持ち帰る。



夕暮れ時の厨房に湯気立つ魔界家庭料理。


これが闇騎士の日常だと知られたら──イヴェットは卒倒するだろうか?



次はデザートを作りたいな。


林檎(りんご)風味のアップルパイとか、あの人参みたいなのが味が近かったし、あれで作れば再現出来そう。


僕は密かに次のメニューを企みながら、イシューが淹れてくれた紅茶を啜った。



第17話をお読みいただきありがとうございました!

始まりました!ゲキマズ飯改善計画……凄まじい勢いで浄化されていく野菜とイシューの部屋。そこにスパイスの香り漂うソテー。エルニアは久々に心の底から美味しいと思える料理を食べることが出来ました!元現代っ子には耐え難い食事環境。これからもエルニアシェフの料理に乞うご期待!?


次回の第18話は、【7/28(火)の夜(18:00頃)】に投稿予定です。


続きが気になる方、応援してくださる方は、ぜひページ下部から一言コメント、ブックマーク登録や評価(☆☆☆☆☆)をよろしくお願いいたします!励みになります!


皆様の応援ポチが、何よりの執筆の原動力です……!

次回もどうぞよろしくお願いいたします!


※本作は「なろうチアーズプログラム」に参加しています。画面下のボタンから応援チアをいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シリアス ダーク 男主人公 魔王 勇者 西洋 魔法 冒険 日常 ハッピーエンド 勘違い 飯テロ ゲーム転生 闇堕ち コメディ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ