宇宙人スク水女、ガオぷぅが地球に来た理由
部屋いっぱいにカレースパイスの香りが広がる。
「いただきます!」
ガオぷぅは勢いよくスプーンを口へ運んだ。
もぐ。
もぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
夢中で食べ続ける姿を、しろとは笑いながら見つめる。
「……。」
「どう?」
ガオぷぅはぷいっと顔を背けた。
「べ、別においしいなんて思ってないのだ!」
そう言いながら茶碗を差し出す。
「おかわり。」
「早いな!」
二杯目。
三杯目。
四杯目。
五杯目。
カレーはみるみる減っていく。
「……よく食うな。」
「ご飯を食べるために生きてる!」
「すごい名言みたいに言うな。」
しろとが苦笑すると、ガオぷぅは得意げに胸を張る。
その拍子に、豊かな胸がたゆんとはずむ。
本人はまるで気づいていない。
しろとは慌てて視線をカレーへ戻した。
(見ちゃダメだ、見ちゃダメだ……。)
しろとはスプーンを口へ運ぶ。
「……そういえば。」
「?」
「これからどうするんだ?」
ガオぷぅはもぐもぐと口を動かしたまま答えた。
「家に帰るのだ。」
「家って、どこ?」
「ヴァーネー星。」
「……。」
「宇宙。」
「いや、それは聞いて分かった。」
しろとは苦笑する。
「帰れるのか?」
「帰れないのだ。」
「え?」
「乗り物、壊れた。」
「壊れた?」
「地球へ来る途中で壊れたのだ。」
「修理は?」
「できない。」
「迎えは?」
「来ない。」
しろとは思わずスプーンを止めた。
「じゃあ……どうするんだ?」
ガオぷぅは当然のように答える。
「だから。」
「?」
「しばらくここに住む。」
「……え?」
「宇宙船が直るまで、お前の家に住むのだ。」




