地球に迷い込んだトラ耳ガオぷぅ参上!〜スク水で〜
「ただいま。」
家に帰ると、しろとは子猫を床へ降ろした。
「とりあえず水でも――」
その瞬間だった。
「よくぞ拾ってくれたな!」
「……え?」
しろとの動きが止まる。
今、喋った。
猫が。
「私の名前はガオぷぅ!」
子猫はえっへんと胸を張る。
「私は実は地球に迷い込んだ宇宙人なのだ!!!!」
「……宇宙人?!」
思わず大きな声が出た。
「信じられないなら、私の本当の姿を見せるのだ!!!」
ぽんっ、と白い煙が部屋に広がる。
煙が晴れると、そこには一人の少女が立っていた。
高校生くらいだろうか。
さらさらと腰まで流れる金色のロングヘアー。
頭にはぴこぴこと動くもふもふのトラ耳。
腰から伸びるもふもふでふわふわのしっぽ。
人形のように整った顔立ち。
そして、しろとは思わず息をのんだ。
細い身体とは不釣り合いなくらい、胸元は驚くほど豊かだった。
スクール水着は、その豊かな胸に引っ張られて今にも悲鳴を上げそうだ。
しかし本人はまるで気にした様子もなく、胸を張る。
「これが私の姿なのだ!」
両手を腰に当て、得意げに胸を張るガオぷぅ。
その瞬間。
たゆん。
豊かな胸が、スクール水着の上からふわりと揺れた。
しろとは思わず目をそらす。
(で、でかい……。)
細い腰に長い脚。
モデルみたいな抜群のスタイル。
なのに。
着ているのは、なぜかスクール水着だった。
部屋に気まずい沈黙が流れる。
「……。」
「どうしたのだ?」
ガオぷぅは不思議そうに首を傾げる。
トラ耳までぴこんと傾いた。
「……ふく、きづいてる?」
「ふく?」
ガオぷぅは自分の身体を見下ろす。
「ちゃんと着てるのだ。」
「いや、その服なんだけど……。」
「?」
近くにあった姿見へ歩いていく。
そして、自分の姿を見た瞬間。
「きゃーーーーーっ!!」
鏡を指差したまま固まる。
「な、なんなのだこの服はーーーっ!!」
耳がぴんっと逆立ち、しっぽがぶわっと膨らんだ。
「へ、変身失敗したぁぁぁ!!」
その場にしゃがみ込み、頭を抱える。
「ど、どうしようなのだ……。」
「ちょ、ちょっと待ってて!」
しろとは慌てて自分の部屋へ駆け込む。
クローゼットを開け、パーカーとハーフパンツを取り出した。
「これ、俺のだけど……よかったら着て。」
ガオぷぅは顔だけひょこっと上げる。
「……。」
無言で服を受け取ると、小さく鼻を鳴らした。
「ま、もらってあげてもいいけど、感謝なんかしないから。」
「別に感謝してほしくて貸すわけじゃないよ。」
「ふん。」
数分後。
パーカー姿のガオぷぅが部屋から出てきた。
ぶかぶかのはずなのに、胸元だけはぱんっと張っていて、サイズがまったく合っていない。
しろとは思わず苦笑する。
「……なんか、そこだけ窮屈そうだな。」
「む?」
ガオぷぅは胸元を見下ろし、不思議そうに首を傾げた。
「地球の服は小さいのだ。」
「いや、多分そういう問題じゃない……。」
しろとは苦笑すると、時計へ目を向けた。
気づけば外はすっかり夕暮れだ。
「……とりあえず、腹減ってないか?」
「減ってないのだ。」
その返事と同時に――
ぐぅぅぅぅぅ。
盛大にお腹が鳴った。
「……。」
「……。」
「少しだけなのだ。」
「少しじゃなさそうだけどな。」
しろとは小さく笑い、台所へ向かった。




