【41】 聖剣・マレット
聖剣『マレット』。
それがソレイユの本当の武器だった。
ゲートボール用クラブのようなハンマー形状などという特殊すぎる武器だが、これが本来のメインウェポンであると彼女は断言した。
赤く燃えるようなデザインが男心を擽る、実にかっこいいフォルムをしていた。な~んで、あんな無駄に洗練されているんだろうな。
――で、ソレイユは、そのハンマー聖剣をほんの少し振っただけなのに、
『ボコオオオオォォォォォォ…………!!!!!!!!!!!!』
なんつって、男三人をゴミのように吹き飛ばした。
すげぇ風圧。台風かよ。あんなステッキ同然に軽く振っただけだぞ。凄いな。おかげで玄関が破壊されたが、あとで修理代を高額請求だな。
「「「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」」
男たちは纏めてゴロゴロ転がっていき、仕舞いには尻尾を巻いて逃げ出した。
ざまぁみろ。
まるで自慢の太腿を見せつけるように堂々と立ち、桜色のモミアゲ(髪)を靡かせるソレイユ。ドヤ顔で男どもの情けない後ろ姿を眺めていた。
俺はその隣に。
「ソレイユ、よくやった」
「用心棒だもの、当然でしょ。どう、これで認めてくれた?」
「ああ、認める。ソレイユはウチの用心棒だ。いや、仲間だ。――でも、玄関は弁償してもらうぞ」
「………………ぇ??」
「え、じゃない。お前がやったからな」
「そ、そんなー! あたしお金ないよ!? 身体でいい!?」
ソレイユは、ぶわっと泣き出し縋りついて来たので俺はすぐに身を離した。
つーか、身体で払うなっ!!




