人類対黄泉の軍勢
集まった探索者たちの前で、俺は腹を括って真実を話すことにした。
八岐大蛇の復活。天照大御神様のお告げで俺たちが動いていたこと。本来なら2年の猶予があったはずなのに、何らかの理由でそれが早まってしまっていること。
そして、このダンジョンの奥から湧き出している黄泉の軍勢は、その前兆に過ぎないこと。
俺は言葉を尽くして、彼らに事情を説明した。
「皆さん、お願いです。力を貸してください。人類の危機なんです!」
俺の必死の訴えを聞いて、一部の者は顔を青ざめ、武器を置いた。
「悪いが、俺は家族の元へ帰る」「給料いくら出るんだよ、命懸けだぞ」
怖気づいて抜ける者もいた。それを責める気にはなれない。彼らはプロであり、命を掛ける価値があるかどうかを自分で判断したまでだ。
だが、大多数の者たちは残ってくれた。
「逃げたって同じだろ、世界が終わったら」「ハーレム王がそう言うなら信じるさ」「面白そうだし、やるか」
彼らの覚悟に、俺は心から頭を下げた。
残ってくれた仲間たちを見回した後、俺はアマゾネスの面々の元へと歩み寄った。
「萌香さん、皆さん、お願いがあります」
俺は彼女たちの目を真っ直ぐに見つめた。
「俺の眷属になってください」
萌香さんが目を丸くする。「眷属? あんたの?」
「はい。眷属になれば、俺のパーティメンバーと同じように経験値が全員に入るようになります。それに、俺のステータスが上乗せされる。もしかしたら、神様の加護がつくかもしれないんです」
俺はチートの秘密を包み隠さず話した。この状況を打開するには、戦力を最大化するしかない。
俺の話を聞いて、アマゾネスの5人は顔を見合わせた。
「経験値共有にステータス補正? そりゃ反則級ね」栞さんが呆れたように言う。
「でも、それがあれば私たちももっと強くなれる…」真奈美さんが呟く。
「やるしかないわね」優子さんが頷く。
「光輝くんを信じるよ」香織さんが微笑む。
萌香さんが俺の前に立ち、ニカッと笑った。
「いいぜ、乗った! あんたの眷属になってやるよ、ハーレム王!」
「ありがとうございます!」
俺は感謝の気持ちを込めて、儀式を執り行った。キスだ。
最初は萌香さんだ。彼女は俺の首に腕を回すと、自ら唇を重ねてきた。それだけでなく、むぎゅっと抱きしめられ、彼女の舌が俺の口内にねじ込まれてくる。
「んっ!」
濃厚な大人のキスに、俺は顔から火が出そうになった。
唇を離すと、萌香さんは艶っぽく微笑んで言った。
「ふふ、これが大人のキスよ。帰ってきたら続きをしましょ」
「ミサトさんかっ!」俺は思わずツッコミを入れた。「未来の話はフラグになるからしませんよ!」
萌香さんはゲラゲラと笑い、他の4人も順番にキスをしてくれた。もちろん、全員大人のキスで。栞さんの積極的な舌使い、優子さんのミステリアスな絡みつき、真奈美さんの優しくも深い口づけ、香織さんのスカウトらしい巧みな唇の動き。俺は完全に翻弄されたが、確かな契約は結ばれた。
直後、萌香さんの体から眩い光が放たれた。
「うおっ! 何だこれ!?」
萌香さんが驚いて自分の体を見る。
『須佐之男命の加護』
俺には見えた。あの荒ぶる神の加護が彼女に宿ったのだ。
「すげえ…力が湧いてくるぞ!」萌香さんが拳を握りしめ、歓喜の声を上げる。
他の4人にも、それぞれ神様の加護がついたようだ。これで準備は整った。
「よし、行くぞ!」
俺は剣を抜き、ダンジョンの入り口を指差した。
アマゾネスと俺たち天照の光が先頭に立ち、その後ろに100人の探索者たちが続く。
「おおーー!!」
地鳴りのような叫びが響き渡り、俺たちは地獄の底へと突入した。
ダンジョン内の広い通路では、すでに黄泉の軍勢が押し寄せてきていた。
「前衛、突っ込むぞ!」
萌香さんが先頭を切り、その豪腕で鬼を薙ぎ払う。その後ろから栞さん、そしてうちの雪と美咲、凛が続き、敵の前列を次々と屠っていく。
「朱音、優子さん、お願いします!」
「任せなさい!」「行くわよ!」
後方から朱音の火魔法と優子さんの氷魔法が一斉に放たれる。業火と絶対零度の嵐が通路を埋め尽くし、後方にいた亡者たちを一瞬で消し炭に変えた。
その瞬間、俺の脳内でレベルアップのファンファーレが鳴り響いた。
『レベルが上がりました!』
いや、俺だけじゃない。眷属となったアマゾネスのメンバー、そしてパーティメンバー全員のレベルが爆発的に上昇している。敵の数が膨大な分、入ってくる経験値も桁違いだ。
パーティ全員が強くなり、その分戦いも加速する。好循環のループだ。
「よし、このまま行けるぞ!」俺は希望を見出し、前を向いた。
その時だった。
ドスン、ドスン、と地面が揺れる。
奥から現れたのは、これまでの鬼とは比較にならないほど巨大な鬼だった。
身長は5メートルを超えているか。赤黒い肌に、岩のような筋肉。手には巨大な金棒を持っている。
「人間ども…殺ス…」
ドスの効いた声が響き、俺たちは思わず足を止めた。
大鬼の登場に、前線が一瞬僵まる。
だが、俺たちはもう止まらない。
俺は前に出た。この巨漢を倒せば、さらに先へ進める。
「みんな、あいつを倒すぞ!」
俺の叫びに、仲間たちが応える。
決戦の火蓋は、まだ切られたばかりだ。




