拓也の終わり
「結城は俺たちが返してもらった。他の女たちも俺に返せ。倉庫で待っているから俺たちの女を連れて来い」
送信ボタンを押すと、俺はニヤリと笑った。ついに動き出したのだ。俺の復讐劇の幕開けだ。
倉庫の中は薄暗く、埃っぽい匂いが充満している。冷たいコンクリートの床に、意識を失った結城琴葉が横たわっていた。和志が背後から襲い、昌幸が薬を嗅がせたのだ。呆気ないほど簡単だった。あいつらは油断していたんだ。
「よし、手を縛ってクレーンのフックにかけろ」
俺が指示すると、昌幸と剛志が手際よくロープで琴葉の手首を縛り上げた。俺は倉庫の隅にあった天井クレーンのリモコンを操作する。ウィーンという低い音と共にフックが降りてきて、俺たちは琴葉の縛った手をそこに掛けた。
「上げろ」
さらにリモコンを操作すると、琴葉の体がフワリと宙に浮いた。ロープが引き上げられ、彼女はまるで吊るされた獲物のようにぶら下がっている。制服のスカートが少しめくれ上がり、白く細い脚が露わになった。
「へへっ…いい眺めだぜ」
昌幸が琴葉の顔を覗き込んだ。
「結城さんも最初から可愛い顔を出しておけば、追放なんてしなかったのに。もったいないことしたよなあ」
昌幸の卑劣な言葉に、和志と剛志も下卑た笑い声を上げる。
「この子、本当にカワイイな…」
「テレビで見るよりずっといいぜ…」
3人の視線が琴葉のぶら下がった体に釘付けになる。制服のスカートがヒラヒラと揺れるたびに、彼らの目は欲望でギラついていく。
「ちょっとくらい見てもいいよな…」
昌幸が我慢できなくなったように手を伸ばし、琴葉のスカートを捲り上げた。
「おいおい…俺たちの女なんだからそんなチマチマしてねえで、脱がせちまえよ」
俺の言葉は火に油を注ぐ結果となった。
「そうだな!」「俺たちの女だもんな!」
3人は一斉に琴葉に群がっていった。昌幸がスカートのホックに手をかけ、一気に引き下ろす。サッと布が落ち、白いパンティだけが残された。
「おおー!」
歓声が倉庫に響く。4つの男の視線が、無防備な彼女の下着に集中する。
「上はどうする?」「切ったらいいじゃないか」
剛志が持っていたナイフで琴葉の制服を切り刻み始めた。ビリビリという音と共に布が裂け、白い肌が次々と露わになっていく。あっという間に琴葉は吊られた状態で下着だけになった。
4人は恍惚とした表情で鑑賞していた。俺の計画は完璧だ。これで神代光輝は屈するしかない。
その時だった。
バンッ!
倉庫の扉が蹴破られた。
「何やってるんだ!」
怒声と共に、光輝とあの女たちが走り込んできた。9人全員だ。光輝の顔は怒りで真っ赤に染まっている。
「待ってたぜ光輝!」
俺は余裕の笑みを浮かべた。
「俺たちの女を連れてきてくれたのか? ありがとな」
「お前…何を言っているんだ?」光輝が呆れたように言う。
「お前はもう帰っていいぞ」俺は親指で出口を指した。「俺たちの話し合いはこれからだからな」
「話し合いだと? 女を拉致しておいて何が話し合いだ!」
光輝の怒鳴り声に、昌幸が剣を取り出した。そして、吊るされた琴葉の脇腹に刃先を突き立てた。
「昌幸! やめろ!」光輝が叫ぶ。
「コイツの肌に傷を付けたくなかったら…」昌幸がニヤリと笑う。「お前たちも脱げ」
女たちに向けられたその言葉に、倉庫の空気が凍りついた。
「なんですって?」朱音が震える声で言う。
「早くしろ! さもないとコイツに傷がつくぞ!」
昌幸が剣を少し押し込むと、琴葉の脇腹に赤い筋が浮かんだ。
「やめて! わかったから…」
女たちは顔を蒼白にさせながらも、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。意識のない琴葉を守るためだ。上着を脱ぎ、スカートを落とし…一人、また一人と下着姿になっていく。美しい肌が薄暗い倉庫の中で白く浮かび上がる。
「へへっ…光輝も俺たちの女の裸を見るだけなら見せてやるぜ」
俺は勝ち誇ったように笑った。光輝は悔しそうに歯噛みしている。ざまあみろ。これでお前は何もできない。俺たちの圧倒的な勝利だ。
その時だった。
「ん…うう…」
琴葉が小さく呻いた。薬の効果が切れ始めたのか、彼女の瞼がピクリと動く。
「えっ?」
琴葉は目を開けた。一瞬呆然とした表情で天井を見上げ、それから自分の状況を理解したようだ。吊るされ、下着だけにされ、周りには下着姿の仲間と下卑た笑みを浮かべる男たち。
「いやあああっ!」
悲鳴が倉庫中に響き渡った。
その瞬間だった。
「照らす!」
光輝が叫び、スキルを発動させた。眩い光が女たちを包み込む。
「えっ…力が!」
琴葉の体が光り輝き始めた。彼女の手首を縛っていたロープが、ミシミシと音を立てる。
ブチッ!
ロープが引きちぎられた! 琴葉が地面に着地する。
「琴葉!」
光輝がメイスを投げた。琴葉は空中でそれを見事にキャッチすると、殺意を孕んだ目で俺たちを睨みつけた。
「よくも…よくもやってくれたわね!」
怒りに震える琴葉がメイスを振り上げ、昌幸に襲いかかる。ドゴォッ! 鈍い音と共に昌幸が吹っ飛ばされた。
「ぎゃあっ!」
和志と剛志も逃げようとしたが、下着姿の女たちの一斉攻撃を受けた。雪の回し蹴り、美咲の槍の柄での打撃、朱音の平手打ち…それぞれが怒りを込めて男たちを殴り蹴りする。
「待って…やめて…」俺は腰を抜かして後ずさった。
「死んじゃうから、その辺でやめてあげて!」
光輝が慌てて止めに入った。女たちの手が止まる。
「警察…じゃなくて探索者協会に連絡したから!」
光輝の言葉に、俺は絶望した。
まもなく到着した探索者協会の職員たちによって、俺たち4人は拘束された。事情を説明されると、職員たちは冷ややかな目で俺たちを見た。
「拉致監禁に強制わいせつ未遂…しかも探索者に対する犯罪ですね」
「まってくれ! 俺たちはただ…自分の女を取り返そうとしただけで」
「言い訳は後で聞きます。あなたたちは厳罰に処されるでしょう」
職員は俺たちを護送車に押し込んだ。扉が閉まる直前、職員が女たちに向かって言った。
「もう二度と出てこれないでしょうからご安心ください」
車が走り出す。俺は手錠のかかった手を見つめながら、すべてが終わったことを悟った。俺の復讐劇は、最悪の結末を迎えたのだ。




