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ハズレスキルだと追放された少年 最高神の加護を受け、美少女たちと最悪の厄災に立ち向かう  作者: ミコジ


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経津主神の加護を持つ、王子様

スマホが震えた。画面を見ると、雪からだった。


『幼馴染の美咲の家の許可がおりました。今日紹介できます』


俺はすぐに返信した。


『了解。雪の幼馴染ってことは、その子も金持ちのお嬢様なのか?』


『そうですね。氷室家や九条家ほどではありませんが、それなりの名家です』


それなりの名家か。俺はため息をついた。これまでの傾向からして、またとんでもないクセの強いキャラが来るんじゃないかという予感がしてならない。朱音のツンデレ、夜羽の厨二病、凛の剣道脳。個性が強すぎるんだよな。


俺はふと、隣で荷物整理をしている琴葉を見た。


「ん? どうしたの光輝?」


俺の視線に気づいたのか、琴葉が振り返る。長い黒髪がサラリと揺れ、大きな瞳が俺を真っ直ぐに見つめる。


「あ、いや…なんでもない」


ニコッと笑う琴葉。その笑顔があまりにも無防備で、可愛らしくて、俺は思わず顔を熱くして視線を逸らしてしまった。


うん、普通がいいな。琴葉みたいな、一緒にいて安心できる子が一番だ。あらためて琴葉の良さを再認識した俺は、彼女のことが好きなんだと自覚して赤面するしかなかった。


放課後、俺たちはいつもの近くの喫茶店に集まった。雪の幼馴染という女の子はまだ来ていないらしい。


「美咲ならすぐ来ると思います。ちょっと遅いな…」


雪が入り口を気にしていると、ドアが開き、一人の少女が入ってきた。


170センチほどの長身。肩まで切りそろえた金髪のショートカット。切れ長の青い瞳は涼やかな光を宿し、整った顔立ちは女性というより美少年と呼ぶにふさわしい。女子校にいたら「王子様」とか呼ばれていそうな…いや、絶対に呼ばれている類のイケメン女子だ。


「雪! 遅くなってごめん!」


美咲と呼ばれた少女は、雪に手を振りながら軽やかな足取りで近づいてきた。


「美咲、こちらが神代光輝くんよ」


雪に紹介されると、美咲はスッと姿勢を正し、俺に向かって会釈した。


「初めまして。宝条美咲ほうじょう みさきと言います」


声もハキハキとしていて心地いい。


「雪の幼馴染で、槍の扱いは誰にも負けないと自負しています。ボクにも日本を守る戦いを手伝わせてください」


真剣な眼差しで俺を見つめる美咲。その瞳には強い意志が宿っている。


「…キスの契約のことも聞いています」


そう言うと、美咲はパッと顔を赤らめ、視線を少しだけ逸らした。どうやらツンデレや厨二病ではないが、恥ずかしがり屋な一面もあるらしい。それがまたギャップ萌えというか…。


「ああ、よろしく頼む。じゃあ行くぞ」


俺は優しく彼女の肩に手を置き、ゆっくりと顔を近づけた。凛の時のように緊張を解くように。


美咲はキュッと目を閉じ、覚悟を決めた表情で待っている。


俺は彼女の唇に自分のそれを重ねた。


瞬間、美咲の体が眩い光に包まれる。


「んんっ! 君が…入ってくるっ!」


美咲は俺の腕を掴みながら、足をモジモジさせ身悶えた。長い脚が擦れ合い、金髪が光の中で煌めく。


光が収まると、美咲はハァハァと息を整えながら俺を見上げた。


「ふう…男の子相手は初めてだったよ」


……え?


俺は一瞬思考が停止した。男の子相手は初めて? ということは…


「あらあら〜」みどりがニヤニヤしながら美咲に近づく。「美咲ちゃん、もしかしてそっち系?」


「そっち系って…否定はしないけど」美咲は照れくさそうに鼻の頭をこする。「女の子といるとね、どうしてもそういう雰囲気になっちゃうのよ」


レズビアンだ! しかも公言するタイプだ! しかしそれを匂わせる発言をさらっとかますあたり、やはり王子様キャラか。


「美咲ちゃん…」詩乃が目を輝かせて美咲の手を握る。「私も歌って踊れるから…仲良くしようね?」


「ふふっ、詩乃ちゃんね。いいわよ」美咲も詩乃の手を握り返す。


「あらあら…」朱音も何やら目が泳いでいる。「光輝がダメだったら…コッチでもいいかも…」


「我も…女同士なら契約の仕方も変わるのかもしれぬ」夜羽までが顔を赤らめている。


おいおい! 俺の目の前で何始めてんだよ!


俺は慌ててツッコミを入れたが、美咲が加わったことでパーティ内の百合ムードが急上昇したのは間違いなかった。


「まあまあ、それはそれとして…」俺は話題を戻す。「美咲、ステータスを確認してみてくれ」


美咲が手をかざすと、ステータス画面が表示された。


【名前】宝条美咲

【レベル】1

【スキル】神薙一突かんなぎいちつき

【加護】経津主神ふつぬしのかみ


「経津主神!武神ですね!」雪が目を輝かせる。「建御雷神様と並ぶ武神ですよ!」


「へえ…私と相性が良さそうな加護ね」美咲も満足げに頷く。「前衛として雪の隣で戦えるわ」


「よし! これで10人全員揃ったな!」


俺は全員を見渡した。


「改めて自己紹介といこうか。俺は神代光輝。リーダーだ。天照大御神様の加護を貰っていて、みんなのステータスを上げることができる」


「結城琴葉です! 回復担当で前衛にも出られます! 大国主命様の加護を貰いました!」


「氷室雪です。前衛で薙刀を使います。建御雷神様の加護をいただいています」


「水瀬みどりでーす! スカウト兼トラップ要員だよ! 猿田彦大神様に加護を貰ったよ!」


「九条麗華と申しますわ。タンクとして皆様をお守りしますわ。天手力男神様の加護ですわ!」


「天音詩乃だよ! バッファー兼アイドルだよ! 天宇受売命様の加護だよ!」


「星宮朱音よ。火魔法使いよ。木花咲耶姫様の加護をいただいたわ」


「月城夜羽だ。我は闇魔法使い。月読命様に加護をいただいている」


「神崎凛です。剣士です。倭建命様の加護をいただきました。この日本刀で道を切り開きます」


「宝条美咲よ。槍使いね。経津主神様の加護をいただいたわ。一撃で貫いてみせる」


「よし! これで『天照の光』完成だ! 早速レベルを上げに行こう!」


俺が拳を突き上げると、全員が歓声を上げた。


その時だった。


「あ、光輝。ちょっとお手洗いに行ってくるね」


琴葉が手を挙げた。


「ああ、店の外で待ってるからな」


「うん、すぐ戻るね」


琴葉は小走りでトイレに向かった。俺たちは会計を済ませ、店の外に出た。


1分、2分…5分経っても琴葉は戻ってこない。


「遅いな…」


俺が首を傾げていると、みどりが「私、見てくるよ」と店の中に入っていった。


しかし、みどりもすぐに青ざめた顔で戻ってきた。


「光輝くん…琴葉ちゃんがいない…トイレの中にもいないよ…」


俺の心臓が嫌な音を立てた。


その時、俺のスマホが震えた。差出人は…拓也。


俺は震える指でメールを開いた。


『結城は俺たちが返してもらった。他の女たちも俺に返せ。倉庫で待っているから俺たちの女を連れて来い』


俺は怒りで視界が真っ白になった。


「女を俺に返せってどういう事だ!? 琴葉は俺たちの仲間だ! お前なんかの女じゃねえ!」


俺はスマホを握りつぶさんばかりの勢いで叫んだ。


「みんな! 琴葉が拓也たちに連れ去られた! 行くぞ!」


俺の声に、9人の仲間たちが一斉に戦闘体制に入った。


琴葉…絶対に助けるからな! 待ってろ!

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