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第8話 始まり



 


 ここに来てから1ヶ月が経とうとした時、赤羽から話があるといい全員がテーブルに集まった。


 「それで話ってなんだよ、蕎麦の話か?一昨日からずっと蕎麦食ってんだからいい加減に諦めてくれ」


 「それじゃない!……蕎麦はあと3日続けて」


 「よし解散」


 「だぁぁぁ待ちなさい!蕎麦は諦めるから!」


 そこから赤羽から懇切丁寧に説明された。


 「来週、体育祭があるのよ。と言っても1500人が全員やるわけじゃなくて、あくまでも出たい人が出るみたいな感じ」


 「それで、出たいと」


 「出ることだけじゃないわ、勝ちたいの」


 ………言っている意味がわからん。誰だよあいつ。


 あいつとは誰のことかと聞こうとしたが、橘の口から言及された。


 「……神崎叶のこと?」


 その名前が出た瞬間、赤羽の背後に業火が見えた気がして部屋全体に緊張が走った。


 「えぇそうよ……その名前を聞くだけでイライラする……!」


 「一体何されたんだ……」


 まぁ大方何かで負けたんだろう、この負けず嫌いのことだ。予想はつく。


 

 「まぁずっと訓練で飽きてたしな、俺はやる」


 はじめに賛同したのは雷門だった。しかし彼の本音はこうだ。


 (もう赤羽のサンドバッグは嫌だもう赤羽のサンドバッグは嫌だもう赤羽のサンドバッグは嫌だもう赤羽のサンドバッグは嫌だ!!!)


 彼もまた、壮絶な人生を送っていたのだ。


 「……わたしもやりたい。能力使えるらしいし、強くなりたい」


 次に賛同したのは橘だった。しかし彼女は強さにこだわりはない。彼女の本音はこうだ。


 (お弁当、何にしてもらおう……)


 彼女もまた、壮絶な人生を送っていたのだ(?)


 こんな楽しそうなこと、俺も参加したいが少し躊躇いがある。


 「俺能力使えねぇからな……足手まといにしかなんねぇぞ?」


 「大丈夫よ、あんたにはアニマあるじゃない。前訓練で使ってた『アニマ技術』で全員持ってけるわよ」


 この女、平気で恐ろしいことを考える。絶対に野放しにしてはいけない、死人が出る。


 「ていうかほんと謎よね、なんでアニマを出し入れ出来るの。さっぱりわかんない」


 ぐだぁっと机に突っ伏して疑問を掛けてくる赤羽。


 数日前、初めて皆と同じ訓練を受けた時に『アニマ技術』を使ったら3人から絶句された。


 彼らにとってアニマは血みたいな物で、傷もないのに血が出ることがないように、アニマを出す穴がないのに出てくる訳無い、そういう認識らしい。


 「そう言われても、前にも言ったろ?手のひらを細胞の集合体と想像する。んで細胞と細胞の間からアニマを出すイメージだ」


 「……何回も想像した、けどそんな細かくアニマを感じれない」


 むむむっといった感じで橘手のひらに集中する。しかし途中で止めてしまう。


 こればっかりは仕方ない、恐らく俺ができるのは樟田曰く俺の能力がアドバンテージとなって使えるからだ。嬉しいけど普通に炎とか使いたかったわ。


 「とにかく!!あいつには勝ちたいの!!協力して!!」


 かくして、体育祭が始まった────




 この時の俺達は、せいぜいちょっと激しいチャンバラごっこが始まると思っていた。


 まさか、()()()()()なんて────






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