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第19話 大馬鹿者のエピローグ




 3人を呼び終えいっちーの元に帰ると、様々なマグロ料理が並べてあった。マグロの刺身、マグロユッケ、寿司、竜田揚げなどがあった。


 「わぁ!おいしそう!」


 「どうやって作ったのよ……」


 「雷門に色々持って来てもらってたからな」


 ここにきて初めてのマグロ、なぜここにいるのかは分からないがそんなことはどうだっていい。今はただ全員がマグロに集中していた。


 「うっま!」


 最初に食べたのは雷門だった。次は花音、優ちゃん、私、最後にいっちーが食べ始める。


「「「「うっま!!」」」」


 


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 

 マグロを食べ終え、就寝時間となった。今は私が見張りだ。身体の芯が冷えるような感覚を誤魔化すように、焚き火を眺める。焚き火の炎の光が、マグロを見た時の


 (アニマ……すっからかんだ)


 釣りをしていたときにいっちーにアニマを送ったからだろう。いっちーほどではないが、私もかなり使ってしまった。というより誰かにアニマを送ること自体尋常じゃない量を使うからだろう。


 (なんか…楽しいな……ずっと続けばいいのに)


 ここは外にいた時よりずっと楽しい。少なくとも無口の私をロボットみたいに扱うクラスメートも、私を気味悪がるお義父さんもいない。


 でもこの幸せは期限付きだ……あと2か月もしたら樟田さんが言っていたデスゲームが開催される。怖くないといえば噓になる……でもここでの生活は、自分には幸せすぎた。もう、いつ殺されたって――――


 「琴佳ちゃん」

 

 辛気臭いことを考えていたら、いつの間にか次の見張りである花音が横に座っていた。


 「花音……いたんだ、気づかなかった」

 

 「やいやい琴佳ちゃん!親友に気づかないとは何事かね!つんつん!つんつん!」


 「……ごめん」


 私が気づかなかったことに拗ねたのか頬をつんつんされる。花音の爪は少し尖っていて痛い。


 「―――琴佳ちゃん、今楽しい?」


 素っ頓狂なことを聞かれ少し言葉が詰まったが、思っていることを伝える。


 「楽しいよ……みんな優しいし、頼りになるし」


 「……そっかぁ!」


 自分のことのように嬉しそうな満面な笑みを浮かべていた。


 「いっちーという夫を手に入れた人はいう事が違うねぇ~」


 「なっ!?何言ってるの?!」


 「ちょっ起きちゃう!みんな起きちゃうから!しー!」


 「ごっごめん……でも花音がっ――」


 「「…………」」


 2人が見つめ合って数秒――


 「「あっははは!!!」」

 

 少女たちは、笑い合っていた。中学のころからの二人の絆は、他を寄せ付けないほどの物だった。もし、こんな監獄にとらわれていなければ二人は幸せになれたのだろうか。あるいは―――


 「琴佳ちゃん、交代しよっか」


 「うん……おやすみ、何かあったら言ってね」


 「優しいなぁ……わかったよ」


 そうして私は寝袋に入った。




――――天野花音視点――――




 琴佳ちゃんが寝袋に入って、ここに来てからのことを思い出す。


 (いい人たちでよかったなぁ)


 本当によかった。もし琴佳ちゃんのお義父さんや前のクラスメートみたいな人たちだったらきっと―――また私が殺さないといけなかったから。


 「さて……行こうかな~」


 本当はもっと琴佳ちゃんと居たいけど、これ以上いると覚悟が鈍っちゃう。


 そうして私は皆を置いていき、森の方へと歩みを進める。


――――歩く、乾いた枝を踏み鳴らしながら


――――歩く、草むらを分けながら


――――歩く、彼が約束を守ってくれることを信じて


――――歩いて、歩いて、歩いて、歩いて




 そうして目的地に辿り着く。


 「アアアアアアアアアアアアアアア」


 耳をつん裂く声、本当に癪に障る。


 「久しぶり─────()()()()()


 私は何の驚きも恐怖もなく、ただ冷め切った笑みを浮かべて告げる。


 今私の目の前にいるのは、私の仲間を殺した化け物だった。


 これから始まるのは──大馬鹿者わたしが綴る、最後のエピローグだ。






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