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第17話 お願い





この場をかき乱した神崎は嵐のうように去っていった。神崎が来たことは予想外だったが、フォアグラをあの状況で出されると流石に面白かった。  


 「話は聞いてたけど、あんな面白い人だとはな……ハハッ、また会いたいな」

  

 そんなことを言っていると赤羽が不服そうにしていた。


 「あんたは初対面だからそんなこと言えるのよ……あんなムカつくやつ絶対関わりたくない」

 

 「どんだけ根に持ってるんだよ……」


 負けず嫌いなのは知っていたが、ここまでとは……



 そこから俺たちは適当に時間を潰し、夕飯を終え就寝時間となり寝ていた。昨日と同じように見張りをしていた時、天野から話しかけられた。


 「いっちー、気分はどうだい?」


 「最高さ、踊りたい気分だな」


 「アハハッ!ならよかった!ちょっと話そうよ」

 

 俺の横に座り、そこから雑談を交える。お互いの第一印象や好きなこと、皆のことをどう思っているか。


 「ねぇいっちー」


 いきなり天野は真剣な顔を浮かべ、言葉にするのも辛そうな思いを隠しきれていなかった。


 「お願い、あるんだけどさ――――――」






 

 「……わかった、俺がやる」


 「……ごめんね、こんなことお願いしちゃって」


 「気にせんでくれ……流石に皆には言えないよな」


 「アハハ……いや~申し訳ない!」


 雑談していた時とは違う冷めきった場を和ませるように天野は笑顔を見せる。しかし彼女の笑顔にはすぐ消えてしまいそうな……儚さを感じさせるものだった。本当に申し訳ないと思っているのが伝わる。


 そう思うのは……お願いのせいなのか、この先起こるであろう未来を想像してしまっているからかはわからない。


 「じゃあ……おやすみ、また明日ね!」


 そう言って天野は席を立ち、この場から離れた。


 天野がこの場を離れ、俺は肩を落としため息がこぼれる。


 (……疲れた)


 


――――翌朝――――



 「で、いつになったらアニマは戻るわけ?」


 朝食をとっている最中、俺の状態について話が始まる。


 「ん~日にち変わる頃には戻りそう」


 「そう……じゃあ明日はアンタに暴れてもらうから、よろしくね」


 「あれ?いいのか?体力温存は?」


 「最初は体力温存……とか考えたけど、アンタ凸らせて敵ぶっ飛ばした方が速いって気づいたの。それにアンタ無しでも充分やれるってわかったしね……でも負けたら許さないわよ、特に神崎!会ったらぶっ殺しなさい!」


 おぉ……信頼されているのか……なら頑張るしかないな!


 「わかった、任せとけい!このバトロワ終わるまでに打倒神崎!」


 「そうなったらアンタの寝込みを襲って私が1位よ」


 ねぇなんで?なんでそうなるの?仲良く模擬試合しようよ。俺らズッ友やん。


 「にしても……いつになったら終わるんだろうな……もうそろそろ1週間くらい経つよな」


 そう、このバトルロワイアルはボールを持っているチームが3つになったときに終わる……しかし一向に終わる気配はなく、全員が速く終わってほしいと願う。


 「ごちそうさま……一之瀬と琴佳は昨日と一緒、私たちは雑魚の殲滅ね」 


 「わかった」


 「はーい」


 「なんなら────今日で終わらせるわよ!」


 「「「「「おーーー!」」」」」



 確かに、俺たちの戦いは今日で終わりを迎える。


 けれどそれは、願っていたような「勝利」とは、似ても似つかぬ形をしていた。





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