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第16話 フォアグラ






 「いや……出来るわけないじゃない」


 戻ってきた赤羽たちと昼飯を食いながら、さっきの琴佳のチート並みの持論について話してみた。けれど、結局あれは彼女独自の感覚によるもので、他の奴らには到底真似できない代物らしい。


 「もしそんなことができるなら天才……ていうかチートよ。そんな特技私も欲しいんだけど」


 心底羨ましそうに肩をすくめる。


 「優ちゃんには他にかっこいい所あるし、充分優ちゃんも天才だよ!それに……可愛いところもあるし♡」


 「…………うぅ///」


 うぅ!?!?こいつかわいいな!?天野のデレデレを受けて赤羽は動揺している。


 「だってよ、チートちゃん」


 琴佳を茶化すと、ジトっとした目で見られた。


 「存在がチートないっちーが言うの?」


 「存在がチートとは???」


 少なくとも視るだけで相手の能力がわかる人に言われたくない。どっちがチートかと言われたら間違いなく琴佳だろう。


 俺たちが話していると、雷門から質問が投げられた。


 「よく考えたら……橘の目なら一之瀬の能力が分かるんじゃないのか?」


 「ううん……目に見えるものなら分かるけど、優ちゃんみたいな能力だと見えない」


 ……なるほど、こうなると俺の能力がわかるのは樟田だけになる。あいつが主導権を握っているのが癪に障るな。


 「……結局、俺たちの中で一番の理論派に見えて一番感覚で動いてるのは琴佳なのかもしれないな」

 

 「いやあんたが言うな」


 今日の俺否定されてばっかじゃね?悲しいぜ


 「にしても……暇だな」


 ぽつりと雷門の口からこぼれた。


 「そうね……地雷も設置したし、することなんて――」


 そんな雑談をしていた最中、俺の耳にガサッと草と何かがぶつかる音が聞こえた。それはゆっくりと、しかし確実に俺たちの方に来ていた。


 「……何か来るぞ」


 およそあと50mといった所で全員に伝える。


 「暇ではあるけど……戦いたいわけじゃないんだがな……」


 重い腰を上げ、雷門が前に出てどしっと構える。


 「雷門、お前のことは忘れない」


 「いいサンドバックだったわ、あんたのことは忘れない」


 「ばいばいライチュー、忘れないよ」


 「短い間でしたが、お世話になりました!」


 「死ぬこと前提で話進めないでくれ!怖いから!ていうかライチューって言ったの誰!」

 

 ガサッ……ガサッという音がどんどん近づいてくる。そうして現れたのは―――


 

 現れたのは、少女だった。金髪の長髪を大きな一つの三つ編みしている。身長は琴佳と同じくらいだろうか、一番目立つのは、この場所に似つかわしくないシスターのような服だった。


 「あんたっ……!」


 赤羽がその少女を見た瞬間、かつてないほどにギラギラとした目で睨み今にでも飛びかかろうと自身の薙刀を手に持ち少女に詰め寄ろうとする。


 「……神崎叶、優ちゃんのライバル」


 俺の予想通り、いきなり現れた少女は俺達1500人の中のNo.1である神崎叶であった。


「私の仲間──『騎士王』と『大魔女』を探しているのですが……見かけませんでしたか?」

  

「……見てない。さっさと消えなさい、あんたの顔を見てるとこの前のこと思い出してムカつくの」


吐き捨てるような赤羽の言葉に、神崎は「そうですか」と寂しげに微笑み、立ち去ろうとした──その時。

 

 ――――ぐぅぅ


 少し前にも聞いたようなこの場の空気を読まないお腹の音がこの場を支配する。


 「……琴佳。お前、さっき昼飯食ったばっかだろ」 


 「……だって、美味しそうな匂いがしたから」


 若干頬を赤らめる琴佳を見て、神崎が「あら」と目を見開いた。


 「……よかったら、こちらをどうぞ」


 神崎が差し出したのは、皿の上に鎮座している美食の極致とも言えるフォアグラのソテーだった。琥珀色に焼き上げられたその表面は、熱せられた脂が小さな泡を立て、宝石のような光沢を放っている。

  

 「「待て待て待て待て!!!」」

 

 赤羽と雷門が動揺している。まあいきなりフォアグラを出させたらビビるわな。

 

 「流石No.1だね~」


 「うん……すごいおいしそう」

  

 琴佳と天野は感心している様子だった。


 「喜んでいただけて何よりです!では召し上が――」


 「まっ待ちなさい!」  


 このカオスな状況を制止したのは赤羽だった。


 「そんな怪しいもの食べちゃだめ!いくら美味しそうでもだめ!流石にお腹壊しすわよ!」


 「そうだぞ!橘だって死にたくはないだろ!?」


 本当に食べそうな琴佳を2人が説得する。


 ―――なお俺はというと状況がカオスすぎて腹抱えて笑っていましたとさ





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 予定通り彼らとの接触を終え、仲間たちと合流する。


 「「お疲れ様です」」


 「ありがとうございます……織田おださん、菅原すがわらさん」


 私の騎士である織田さんと大魔女である菅原さん。二人はかなりの実力者で、とても頼もしい。


 「それで……どうでしたか?彼は」


 聞かれて思い出す。


 「今はまだ……これからですよ。彼は」


 そう……まだ彼は本来の力を使えてはいない。それで言ったら彼女も使ってはいない。二人の成長が楽しみだ。

  

 「どうか……待っていますよ」





 ――――あなたが私たちを救済する、その日を


 

 


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