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第15話 チートだろ





 襲撃が来てから翌日、昨日と変わらない────はずだったのだが……


 「はい、あーん♡」


 「あっあーん///」


 「「「……」」」


 昨日のことがあってか、天野が赤羽に懐いて──いやもうここまで来たらカップル並にイチャついてる。あーんとかしてるし。


 「雷門、優ちゃんがあーんって言ってる」


 「怖い」


 雷門と琴佳からしたら意味がわからないだろう。唖然としたように赤羽達を見ている。


 「優ちゃん、なんでこっち見てくれないのかな」


 「……だって、恥ずかしいもん///」


 もん!?!?赤羽が可愛い言葉を使うとは思わず天野以外の全員が開いた口が塞がらない。


 「顔こっち向けてよ〜もう!こうしちゃお!」


 「っ!?!?」


 焦れったくなったのか天野が赤羽の顔を両手で包み、自分に向ける。そうしてお互いの顔が近づいていき───!?


 「キスはまだ速いよね、だから……チュッ♡」


 「……///」


 口にキスする手前まで行ったが、最後には頬にシフトチェンジした。耐性がないのか赤羽根がずっと

赤面しっぱなしだ。というか天野が強すぎる。


 「仲がいいことは素晴らしいな、あの二人は能力的にコンビを組みやすい……ここまで仲が良ければ戦闘でもいいコンビネーションが見れるだろうな」


 流石だ、冷静にこの先のことを見据えている。普段は理不尽に振り回されているが、いまは最年長としての風格がある。雷門なりに真剣だった。


 「……雷門、鼻血出てるよ」


 「気のせいだ」


 「いやでも……」


 「気のせいだ」


 「……わかった」


 ……訂正する、こいつ飛んだド変態だ。やっぱり雷門は理不尽に振り回されてるのがお似合いだ。


 今まともなのは俺と琴佳くらい……


 「……いっちー、鼻血出てるよ」


 「気のせいだ」


 「いやでも……」


 「気のせいだ」


 「……わかった」


 ……訂正する、俺も飛んだド変態だ。キスはまだ速い?それはもうそういうことだゾ。


 「ねぇ優ちゃん♡」


 「なっ何?」


 「えへへ……呼んだだけ♡」


 言われた瞬間、目を見開き更に顔が赤くなっていく。天野はピッタリ赤羽の腕にに抱きついていた。


 (なんつーベタなイチャつきを……!いいぞもっとやれ、必要だ)


 今までの殺伐とした雰囲気を消し去るようにイチャついてくれる。崇めたい、切実に。


 「ねぇ……これからどうする?」


 このままでは一生イチャついて時間が終わると思ったのか、珍しく琴佳が話を始める。


 「そうね……今は一之瀬が使え……力が発揮できないから、一之瀬は拠点で待機。後はいつも通りでいいんじゃないかしら」


 今使えないとか言われた気が……いや事実だけど。


 「ちょっといいか?」


 雷門が手を挙げた。


 「俺は少し身体を動かしたい、だから一之瀬には俺の代わりに釣りをしてほしい」


 ……あくまで予想だが、雷門は俺に役割をくれたのでないだろうか。足手まといの俺に気を使ってくれたのだろう。


 「それと一之瀬の護衛についてだが……誰がやる?」


 「……私やる」


 俺の護衛に手を挙げてくれたのは、琴佳だった。


 「え……でも」


 「大丈夫だよ……秘訣があるから。それに私以外できないと思うよ。花音は地雷の設置があるし、雷門と優ちゃんは花音の護衛して欲しいし……」


 「ん〜っ!分かった!任せるわ」


 しばらく悩んだが、言っていることは何も間違っていないため、全員が納得し、それぞれが作業に入った。

 


 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 


 

  「それで……秘訣って何なんだ?」


 それぞれが役割を全うしている最中、釣りをするだけじゃ暇なので秘訣とやらを聞いてみる。


 「これ」


 「それ……昨日の石か?」


 昨日の石、星雲の殻(ネビュラ・シェル)を展開した時に投げられた2つの能力が込められた石が琴佳の手のひらに浮かんでいた。


 「言葉にするのは難しいけど……1回保存したことのある能力なら、再現ができるみたい。すごいアニマ消費しちゃうけど……」


 「保存出来るのはいいとして……どうやってその石出すんだ?共有でカウンターが出来るのは分かるけど、再現するのは別の能力じゃん」


 言葉通りの意味なら、琴佳は再現と共有を同一視していることになる。……そんなの想像つかん。


 「イメージの違いだね……私の能力の使い方は、いわば『スマホとパソコン』みたいな。私というスマホが他の能力を保存して、手のひら……パソコンに共有する。そうしたら保存した能力が手から出てくる」


 めちゃくちゃすぎる……そんなやり方通用するもんかね……しかしそれで出来ているため、能力は本人の解釈次第ということだろう。


 「……チート能力者め」


 「……いっちーにチートとは言われたくない」


 チートといえばチートだが……その使い方は宝の持ち腐れじゃないだろうか。


 「その石……能力が込められてるのはわかるけど、なんの能力か分からないんじゃ?」


 「え?」


 「え?」


 心底意味がわからないといった表情を浮かべ、とんでもないことを口にした。


 「そんなの……見たらわかるよ」


 「…………ゑ?そういう……もんなの?」


 「うん……いっちーは能力を知覚してないから難しいだけだよ」


 「そう……か」


 ……本当にそうなのだろうか?だとしたら樟田の鑑定は大したことないな!ハッ!雑魚め!


 「とりあえず……いっちーのことはちゃんと守るから安心して釣りしてて」


 その言葉が少し小っ恥ずかしくなり、「……おう」と素っ気ない返事をし、俺たちはみんなが帰ってくるまで釣りをして時間を潰していた。




 

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