人間失格にすら・・・
翌日からユウは履歴書と職務経歴書を何枚も書き、就職活動を再開した。
ハローワークに行き、すぐに面接してくれるような会社を探して紹介してもらい、携帯電話の求人情報サイトからも何社も応募した。
早朝、夜勤、肉体労働、全てこだわらずに応募したが、結果はことごとくアウト。
何なんだ一体。
よく「無職は甘え。仕事は若くて選ばなければ、いくらでもある。」などと言う人もあるが、一体何処にあると言うのか?
ユウは別にキチンとした一流企業に受かろうというのではない。
ただ、普通に働けて給料が貰えればそれで良いのだ。
住所は依然として前の夜逃げしたアパートの住所を書き、夜働いていたおかげでスーツはあったし、髪の毛も短く刈ってあり、清潔感もあった。学校も出ていたし、一目見ただけでは、そこら辺を歩いている会社員となんら変わりない。何が駄目なのであろうか?
最初は、もしかしたら働いていたキャバクラから連絡がくるかも?などと思っていたが、やはりそんなこともなく。一週間先の面接の日程を予約して面接をし、さらに結果が出るまで一週間待つ。そんなことを何個も同時に行い。何回も繰り返しつつ、パチンコに行く毎日。
そして負けて暗い漫画喫茶に帰る度に、酷い自己嫌悪に陥る。
「俺は本当にクズだ。人間のクズだ。」と実際に口に出してみたりもする。
そのせいで、せっかく稼いだお金もだいぶ無くなってしまった。
ユウは別にパチンコが好きなわけではない。
ただ面接の結果が出るまでの間生活していく上で、減っていくだけのお金に恐怖と焦りを感じ、少しでも増やそう。無生産な生活よりも少しでも生産的な生活を送ろうと思ってパチンコに行くのだ。
この行動がはたから見たら、非常に愚かなことは十分理解している。
しかし、じっとして何もせず1日を過ごすのはキツイ。
駅や路上で座ったまま一日を過ごすホームレスを見るとある意味尊敬してしまう。
完全な悟りの境地だ。いやあきらめと言った方がよいのかもしれないが、とにかく社会とは隔絶してしまっている。
パチンコをやると言う行為が、かろうじてホームレスとユウとの違いを示してくれているようで、ユウは生きることに少しでも希望を持っていたかった。社会とのつながりを持っていたかった。
そうこうしているうちに、時間だけが過ぎてゆき1ヶ月になろうかと言う頃には、もうお金も底を尽きた。あれだけたくさん受けても採用の連絡は一つもなかった。
パチンコで出たときももちろんあったが、所詮ギャンブル。パチンコ屋が儲かるようにできていいる。
「これはもう、本当にダメかも知れんね。」
ユウは自分で自分に言った。
そしてユウは昔読んだ、太宰治の小説を思い出していた。
{人間失格}
ユウはあの主人公のように顔が良いわけでもなく、女をたらし込むこともできず、何か才能があるわけでもないので、人間失格にすらもなれないのだ。
では、自分は何なのだろうか?
ユウは東京の狭く曇った空を見上げた。




