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あなたへ  作者: 臣 桜


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とめどない欲

 安藤さんに『ご相談があるんです』と言って一緒に居酒屋に行き、話を聞いてもらったら、優しく慰めてくれた。


 何度か会っているうちに、安藤さんは洋子と付き合っていると分かり、どうしても欲(・)し(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)。


 だから思い切って『好きなんです!』と告白し、彼がうろたえている隙にキスをした。


 綺麗になった私は洋子よりずっと可愛くなったし、洋子より胸が大きい。


 安藤さんに胸を押しつけたら、分かりやすいほど動揺し、反応していた。


 ほどなくして私と安藤さんは男女の仲になり、『洋子の〝次〟でいいですから』と言って、関係を続けた。


 安藤さんと洋子は結婚したけれど、その頃、洋子は安藤さんより出世し、係長になっていた。


 その関係もあり、彼は私と二人きりになった時に『男より仕事のできる女なんて』と、お酒を飲みながら愚痴をこぼすようになった。


 私も洋子の昇進を面白くなく思っているけれど、これで二人の間に亀裂ができるなら万々歳だ。


 私は〝年下で安藤さんより不出来な部下〟で居続け、彼の心の安らぎとなっていた。


 やがて安藤さんとの間に子供ができた時、私は天にも昇る心地になった。


 職場のみんなに『妊娠したんです』と発表した時、何も知らない洋子はニコニコ笑って『おめでとう』と拍手していた。バーーーーーカ!!


 私が産休に入ったあとも、バカは家まで来て何かと世話を焼いてくれた。


 洗面所には安藤さんの歯ブラシがあるのに、洋子は何も気づいていない。


 長男を出産して落ち着いたあと、復職した私は洋子に息子の写真を頻繁に見せた。


 そうしたのも、洋子は不妊に悩んでいると知っているからだ。


 何もかも持っているんだから、これぐらい私のほうが〝上〟になってもいいでしょ?


 その頃には、職場の若い子たちの間では『洋子さんは紗栄子さんの真似をしてる』という認識が広まっていた。


 私と安藤さんの関係は順調に進み、第二子にも恵まれた。


 寝取られてると知らずに世話焼きババアしてる洋子の、哀れな事ときたら!


 洋子が空き家になった実家の片付けをしている間、私は夫と子供たちを連れて、テーマパークに遊びに行った。


 さすがに可哀想だから、お菓子ぐらいは買ってあげたけど。






 その後、洋子が死んだ。

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