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あなたへ  作者: 臣 桜


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2/9

バレていた

 もしかしたら、葬儀が終わったタイミングで俺のもとに届くよう、洋子が誰かに頼んでいたのかもしれない。


 開封すると、中には手紙は入っておらず、USBメモリが入っていた。


 感傷に駆られた俺は、USBメモリをノートパソコンに挿し、ファイルを開く。


 中にあったのは動画データだった。


 洋子は最後に、俺に向けてのメッセージを残したのかもしれない。


 動画データを開くと、この家のダイニングテーブルに座った洋子が映った。


 もう会う事のできない姿を見て感傷的になった時、動画の中の彼女が口を開いた。






《あなたがこの動画を見ている頃には、私はもうこの世にいないでしょう》


 亡き妻からのメッセージだというのに、まるでドラマの中のセリフを聞いているような気持ちになる。


《今まで沢山の思い出をありがとうございます。あなたと付き合った頃の私は、世界で一番幸せな女性でした。地味で目立たない私を、あなたのような素敵な男性が見初めてくれて、まるで少女漫画のヒロインになったような気持ちでした》


 洋子は幸せそうに笑う。


《両親と弟を喪って悲嘆に暮れていた私を支えてくれたのも、あなたでした。あなたがいなければ、今の私はありません》


 そのあと、しばし洋子は黙ってカメラを見つめていた。


 やがて彼女の頬に、ツゥッ……と涙が伝っていく。


《だからこそ、あなたの浮気を許せませんでした》


 その言葉を聞き、ドキッと心臓が高鳴る。


《紗栄子はよく、『可愛いでしょ』と子供の写真を見せてくれました。小学一年生のお兄ちゃんに、幼稚園の妹。とっても可愛かったです。二人をうちで預かった事もありましたよね? あの時二人はあなたの事を『パパー!』と言っていて、何も知らない私は幼い子供の無邪気さを愛おしく思ったものです》


 洋子は微笑みながらも、涙を流し続ける。


《あなたが外出した休日、用事のついでに紗栄子の所に寄って、甘い物をプレゼントしようと思ったんです。あの子達、プリンが好きだから。……でも紗栄子のマンションに行ったら、彼女と子供達と一緒に、あなたが出てきた》


 バクッ、バクッと心臓が嫌な音を立てて高鳴る。

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