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「まだまわすつもりなのか?」
「あったり前でしょ。当てなきゃ今までのオーブ全部損じゃない」
「ガチャは縁がなかったと思って諦めるのが肝心だぞ」
聞き入れてくれるとは思えないが、一応助言する。
「トキヤはそれでいいの? クラリーチェをお城のパーティーに連れていってあげたいと思わないの? ハズレばっかり引かされて悔しいと思わないの?」
眉をつり上げて詰め寄ってくるセレナ。
「セ、セレナちゃん……」
「ガチャで散財させられて悔しいし、クラリーチェにドレスを上げられないのは残念だが、先立つものがなければどうしようもないだろ」
「だ、か、ら、クエストを受けるのよ」
セレナがウィンクし、それからぐっと握りこぶしをつくる。
「報酬でオーブがもらえるクエスト、片っ端からクリアしてガチャる!」
「本気か?」
「本気よ。マジよ」
まあ、未クリアだったクエストの整理と考えれば悪くはないが……。
なんだか俺たち、ガチャ沼にはまりつつある……。
「ただ、報酬でもらえるオーブなんて雀の涙だから、できても10回ぽっちが限度だと思うぞ」
「その10回で当ててみせるわ!」
そのむやみな自信がどこからわいてくるのか、俺は毎度ふしぎに思う。
「それじゃあ今日の方針は決まりねっ。オーブ報酬のクエストクリアよっ」
セレナがこぶしを振り上げる。
「おーっ」
クラリーチェもそれに続く。
……俺もやらなくちゃダメなのか?
「おう」
「トキヤ、気合が足りない」
また気合を指摘された。
そんなわけで俺とセレナとクラリーチェは報酬がオーブのクエストをクリアすることになった。
ゴールドや経験値がもらえるクエストはだいたい繰り返しのクリアが可能になっているが、オーブが報酬のクエストは一回きりに設定されている。だから俺たちはいろんなクエストを次から次へと挑戦していくことになった。
まず最初は『闘技場のクリア:1回』。
その名のとおり、闘技場での勝利が課題のクエストである。これは闘技場のチュートリアル的なクエストで最序盤から受けることが可能だったのだが、闘技場に興味のない俺たちはずっとほったらかしていたのだ。
街の闘技場では日々バトルが繰り広げられている。
バトルの種類は大まかにわけて『PvP』と『PvE』の二種類。
プレイヤー同士の戦いのPvPは1対1の決闘から複数人同士のパーティ戦、ギルド戦などがあり、人気のコンテンツである。観客も多く、いつも盛り上がっている。
魔物との戦いであるPvEは連勝するごとに賞金が上がっていく。俺たちは今回このPvEに挑戦することにした。PvEに出てくる魔物はダンジョンで遭遇するものより手ごわいが、PvPよりかはずっと勝ち目がある。
「えー、PvPじゃないの?」
セレナが文句を言う。
「闘技場にいる連中は日々バトルに明け暮れるガチ勢だぞ。俺たちなんか瞬殺されるに決まってる」
「やってみなきゃわかんないじゃない」
以前、サーベラスにコテンパンにされたのを忘れてしまったのだろうかコイツは……。
「……とにかく、俺たちはクエストをどんどんクリアしていかなくちゃならないんだから、簡単にクリアできる方法でクエストをどんどん消化していくぞ」
「ぶー。わかったわよ」
セレナは渋々ながら承諾してくれた。
受付でPvEの申請を済ませた俺たち三人は控え室で順番を待ち、それから闘技場のバトルグラウンドへと赴いた。
観客席が取り囲む円形のバトルグラウンド。
その中心に俺たち三人は立っていた。
俺は槍を、セレナは剣を、クラリーチェは杖を構える。
「うわー、観客がいっぱいいる……。きんちょーするよぉ」
「セレナさまの華麗なる剣技を見せてあげるわっ」
「油断するなよ」
バトルグラウンドの檻が開き、中にいる魔物が解き放たれた。




