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「そうだわ! ちょうどいいじゃんっ。ガチャで『プリズムドレス』を当てればパーティーに出られるわよっ」
セレナがぱちんっ、と指を鳴らしてそう言った。
「ああ。オーブがあればな」
「トキヤのオーブはまだあるわ!」
そんな、隠し持っていた切り札みたいな口調はなんだよッ。
「トキヤくん。無理しなくていいよ」
「いや、もしかしたら、万が一にでも当たるかもしれないからな。運試しがてらガチャってみるよ」
そうして俺たちはココの道具屋に行き、オーブを支払ってガチャをまわすことにした。
「ではでは、健闘を祈りますっ」
ココがカウンターの奥からガチャの装置を持ってきた。
装置にタブレットをかざすとガチャの画面に切り替わる。
オーブをありったけつぎ込む。
チャリンチャリンチャリン、と景気のいい音がして俺のオーブが消費されていき、ガチャチケットへと変換されていく。さらば俺のオーブ。
装置の中央に付けられているレバーを握りる。
ごくりっ。
「気合入れてまわすのよ!」
「トキヤくん、がんばってっ」
そして頭の中で「当たりが出ますように」と念じながらガチャをまわした。
ギリギリギリ……。
レバーがゆっくりとまわる。
ゴトンッ。
レバーを最後までひねると排出口からカプセルが転がってきた。
「当たった?」
「……いや」
出てきたアイテムは――経験値1時間倍増チケットだった。
「気合が足りてなかったんじゃない?」
気合は関係ないだろ。
「まだ1回目だ。次いこう」
再びレバーをまわす。
カプセルが出てくる。
「どう?」
「当たった?」
「アクセサリーのネックレス」
「やっぱりこのガチャ、当たりが抜かれてるんじゃ……」
「くどい」
「抜いてませんよーっ」
セレナに疑惑のまなざしを向けられてココは無実を叫んだ。
そんなこんなでオーブが尽きるまでガチャをまわしたが、結果は全部ハズレだった。経験値倍増チケットや小物のアクセサリー、ガチャの補助券といった大したことのないアイテムばかり引いて、お目当ての『プリズムドレス』にはかすりもしなかった。
クラリーチェはがっくりとうなだれていた。
これにて俺たち、オーブに関してはまぎれもなく一文無し。がらくただけが残りましたとさ。
「『ハルベリア・オンライン』の運営がアタシたちのこと監視してて、ガチャを全部ハズレにしてるんじゃないの? そういうシステムとかできるわよね? トキヤ」
その思考に陥ったら終わりだぞ、幼馴染よ。
「なにも数パーセントの確率に頼る必要なんてないさ。職人街の服飾職人の店でドレスを買えばいい。金はかかるがな」
「あ、そっか。アタシとトキヤ結婚クエストのときも確か職人にスーツとドレスをオーダーしてもらったんだったわね」
「さっそく職人街へいこーうっ」
そうして俺とセレナとクラリーチェは職人街へ足を運んだのだが……服飾職人の店はどこもパーティー用のドレスが売り切れていた。しかも、オーダーも予約でいっぱいだった。
考えが甘かった。
深夜パーティーのイベントにみんな参加したくて、こぞって職人街でドレスを買ったりオーダーしたりしていたのだ。
冒険用の防具は需要があるからどの店でも売り切れなんてまずないが、パーティードレスとなれば話は別だ。そんなめったに使うものではない衣装だから、みんなが一斉に買いだすとすぐに売り切れてしまったのだ。
はかない希望にすがってフリーマーケットに立ち寄ったが、やはりドレスは出品されていなかった。
「お城のパーティー、出たかったな……」
クラリーチェはがっくりとうなだれていた。
そんな親友を見てセレナが奮起する。
「やっぱりガチャで当てるっきゃないわ!」




