11-6
「でっかいウシ!」
檻の中から現れたのは猛牛型の魔物だった。
タブレットをかざす。
デスホーン。
それがこの魔物の名前だった。
猛牛が相手となると、さながら俺たちは闘牛士といったところか。
「コイツをやっつければクエスト達成ってわけね」
「ああ。セレナ、前衛を頼むぞ」
「まかせてっ。トキヤはうまくかく乱してちょうだいね」
俺は壁に沿ってデスホーンの側面に回り込む。
「お前の相手は俺だ!」
そしてデスホーンにちょっかいをかけた。
槍でデスホーンを突く。
俺のステータスではダメージは1たりとも与えられなかったが、それでじゅうぶんだった。
デスホーンが頭をかちあげて、ほら貝を鳴らしたような怒号を上げる。そして頭を下げてツノを水平にし、俺に向かって突撃してきた。
「フィジバリア!」
クラリーチェが防護の魔法を唱える。
俺とデスホーンの間に透明な魔法の障壁がせり上がってきて、デスホーンの突撃を食い止めた。
障壁にはじかれてよろめくデスホーン。
「ツインスラーッシュ!」
隙ができたそこにセレナの必殺技が繰り出された。
片手剣による二連撃がデスホーンに炸裂する。
吠えるデスホーン。
背後ダメージ補正でHPバーが一気に半分まで減る。
「続けてもう一発かますわよ!」
「まて、セレナ! いったん下がれ!」
制止したが遅かった。
デスホーンがぶんぶんとツノを振り回し、それをモロにくらったセレナは吹き飛ばされてしまった。
セレナのHPバーが瞬時にして赤くなる。
即死はまぬがれ、ギリギリのところで踏みとどまった。
しかし、セレナは地面に突っ伏しており、無防備をさらしている。
「いたたた……」
よろめきながら起き上ろうとするも、がくりと肘が崩れて再び倒れてしまう。
そのピンチを逃すはずもなく、デスホーンが突撃してきた。
「セレナ!」
「くっ……」
「フィジバリア!」
クラリーチェが防護の魔法を唱えた。
魔法の障壁がデスホーンの突撃を受け止める。
障壁にはじかれたデスホーンは、すぐさま姿勢を直して障壁に二度目の頭突きをくらわせた。
障壁に亀裂が生じる。
これを破られればその先にいるセレナが危ない。
「ストーンフォール!」
そこにクラリーチェが二発目の魔法を唱えた。
ヒーラーが持つ数少ない攻撃魔法だ。
空中に大岩が出現する。
「えーいっ! あったれー!」
クラリーチェがロッドの先をデスホーンに向けて叫ぶ。
すると空中で留まっていた大岩がそこに向かって飛んでいった。
大岩が直線上にあったフィジバリアの障壁を砕く。
砕けた無数の破片がデスホーンに突き刺さる。
そこにさらに大岩がぶつけられる。
クラリーチェのコンボ攻撃を受けたデスホーンは残りのHPをすべて削られて倒された。
俺たちを取り巻く観客席から歓声が上がる。
「セレナちゃん!」
「だいじょうぶか!?」
俺たちは倒れたセレナのもとまで駆け寄り、彼女に手を貸して起こした。
「アタシは平気。それよりもクラリーチェすごいじゃん」
「障壁の破片で攻撃するコンボなんてよく思いついたな」
「ぐ、偶然そうなっただけだよー。えへへ……」
クラリーチェは照れ笑いを浮かべていた。
これでまずは一つ目のクエストをクリアできた。




