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9-2

「まあ、結婚っていっても、あくまでもゲーム内のシステムでしかないから、仲良しだったら気軽にやってみたらどうかしら。私も友達の延長で結婚した感じだし」

「結婚すればメリットをたくさん得られるので、単に男女のペアというだけで結婚しているプレイヤーは多いでありますよ」

「そうなんだ……」

「結婚かぁ……」


 セレナとクラリーチェはうつむいて考えこむ。

 それから顔を上げて、同時に俺を見つめてきた。

 二人とも頬を染めている。


「け、経験値を分けてあげられるのなら結婚もアリかもしれないわねっ。トキヤ、へなちょこでロクに魔物を倒せないし」


 ツンデレを発揮するセレナ。

 へなちょこで悪かったな……。


「と、トキヤくんは結婚したいと思ってる……?」


 おずおずとクラリーチェが問いかけてくる。

 上目づかいで、口元は手で覆い隠している。


「いいと思うぞ。アサギさんも言ってたように、あくまでゲーム内での結婚ってシステムだし。ためしにやってみるくらいなら」

「もーっ。『ためしに』なんてトキヤくん乙女心がわかってないよーっ。結婚っていうのは女の子がみんな憧れてる人生で一番のイベントなんだよーっ」


 ぷんすかぷんすか。

 ほっぺたを膨らませて両手をぶんぶん振り回すクラリーチェ。

 クラリーチェを怒らせてしまった……。


「両手に花ってやつ? トキヤくんも大変ね」

「今のがギャルゲーならフラグが折れてたでありますよ、トキヤどの」


 挙句、アサギさんとルンに茶化されてしまった。


「そうだわ。これから教会に行ってみない?」


 アサギさんの提案で、俺たちは教会を見学することにした。

 教会はここから北に位置する、花畑に囲まれた静かできれいな場所にあった。

 偶然にも教会ではちょうど結婚式が開かれていた。

 多くの人々に祝福されながら、真っ赤なバージンロードを歩いて教会の外に出てきた夫婦。新郎は真っ白なタキシードを着ており、新婦は純白のウェディングドレスを身にまとい、ブーケを手にしていた。二人とも幸せそうな、青空に似合う笑みを浮かべていた。

 新婦のブーケトス。

 空高く投げられたブーケは放物線を描いて宙を舞い、落ちていく。


「あ」


 ブーケは吸い込まれるようにセレナの手元に落ちてきた。


「え、アタシ?」

「すごーい、セレナちゃん!」

「なになになに?」


 あわあわと左右を交互に見るセレナ。


「これもらうとなんかあるの?」

「ブーケをもらった人は、次に結婚できるんだよー」

「ちょっ、マジで!?」


 ブーケを手にしたセレナと目が合う。

 彼女の顔がみるみるうちに赤くなっていく。

 そして俺をびしっと指さして叫んだ。


「かっ、勘違いしないでよね! トキヤと結婚したいなんてこれっぽっちも思っていないんだからっ」


 またツンデレを発揮した。


「これもなにかの縁であります。セレナどのとトキヤどの、結婚してみてはいかがでありますか?」

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