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「は!?」
「ええっ!?」
ルンの提案にセレナとクラリーチェが声を上げた。
「セレナどのとトキヤどのは協力して魔物をやっつけ、ダンジョンを脱出したほどの仲であります。結婚してもよいのではないかとジブンは思うであります」
「あら、そうなの? まさに結婚するにふさわしいペアなのね」
「違うわよっ。ルンもアサギさんも! ラテリアの丘でフォレストタイガーをやっつけたのはアタシのおかげ。トキヤは足を――」
「引っ張ってたか?」
俺の問いかけにセレナは「うぐぐ」とくやしげに口ごもる。
観念した彼女は「あーっ、もうっ」と爆発して両手を振り上げた。
「違うわよっ。なんだかかんだでトキヤが倒してくれたのよっ」
白状した。
手のかかる幼馴染だ。
「やはりトキヤどのとセレナどのはぴったりのパートナーであります」
「そ、それは、うれしくないといえばウソになるけど……でも」
セレナが視線を逸らす。
視線の先を追う。
そこにはクラリーチェがいた。
クラリーチェはあいまいな苦笑いを浮かべていた。
俺の視線に気づいた彼女は苦笑いを隠して笑顔になる。
「わ、わたしも二人はぴったりのパートナーだと思うよっ」
「クラリーチェ……」
セレナはクラリーチェの無理やりの笑顔に罪悪感をおぼえていたようすだった。
俺も罪悪感を抱いていないかといえばウソになる。
「まあ、結婚するにしても、結婚クエストをクリアしないといけないんだけどね」
「結婚クエスト、でありますか。アサギどの」
「そう。二人で試練を乗り越えるクエストなの」
「いずれにせよ、それをクリアしないと結婚はできないわけね」
「クエスト、受けてみたら? セレナちゃん」
「クラリーチェ!」
セレナがクラリーチェに詰め寄る。
「あんたはそれでいいの?」
「セレナちゃんならいいよ」
笑顔のクラリーチェ。
しかし、それはかえってセレナの罪悪感を強くさせてしまっていたようだった。
「どっちにしても、わたしとトキヤくんのペアじゃクエストのクリアは難しそうだし、そういう意味でもセレナちゃんとトキヤくんは相性ぴったりだよ」
「クラリーチェ……」
「わたしは二人に結婚してほしいな」
俺だってバカじゃない。クラリーチェやセレナが俺にどんな感情を抱いているか理解していないとは思っていない。だからこそ、クラリーチェがあえて結婚を親友に譲ったのがいじらしく、俺にも罪悪感を芽生えさせた。
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こればかりは仲良しの幼馴染、三人一緒というわけにはいかない。
いつか来るべきときが来るとは思っていたが、まさかこんなところで来るとは……。
黙りこくるセレナ。
しばしの沈黙の後、俺に問いかける。
「トキヤはいいの? アタシと結婚しても……」
俺は言葉に詰まった。
急に恥ずかしくなったからだ。
小さいころからの仲で、兄妹みたいな関係だったとはいえ、女の子から真正面にそう尋ねられて誰が即答できようか。
俺の答えは決まっていた。
それをどういう言葉で口に出すかを考えあぐねていたのだ。
「い、イヤならイヤってはっきり言ってもいいのよっ」
沈黙に耐えかねたセレナがぶっきらぼうに言う。
「イヤじゃないさ」
「そ、そう?」
ちらっと俺のほうを見るセレナ。
口元が緩み、ほっぺたが赤らんでいる。
「受けてみるか。結婚クエスト」
「……うん」
セレナは視線をそらしつつ、ちっちゃくうなずいた。
それから急にテンションが上がる。
「そ、そうよっ。これはあくまでクエスト! ゲーム内の『結婚ごっこ』だからね。そこんところ、勘違いしないでよねっ。トキヤはこんな顔してスケベだから!」
本日3回目のツンデレありがとう。
セレナはクラリーチェに向き直る。
真剣な面持ちの二人。
「だから、クラリーチェ。これは単なる『結婚ごっこ』だから……」
「うんっ。ありがとう、セレナちゃんっ。クエストがんばってね」
クラリーチェは親友を応援した。




