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クエストホームに入り、掲示板をタブレットでスキャンする。
クエスト一覧がタブレットの画面にずらりと表示される。
画面上部のタブを『通常クエスト』から『特殊クエスト』に切り替える。
特殊クエスト一覧の最下部に結婚クエストはあった。
【注意】
クエストを受けるには2人パーティーでなくてはいけません。
クエスト詳細欄にそう書かれてあった。
「それじゃ、クラリーチェ。パーティーから外すわよ?」
「いいよ」
「ルンもいいわね?」
「承知であります」
パーティーリーダーのセレナがタブレットを操作し、パーティーからクラリーチェとルンを除外した。タブレットを操作するセレナはどこか後ろめたげな面持ちをしていた。
■パーティー
1:セレナ(フェンサー) リーダー
2:トキヤ(ランサー)
これで俺とセレナの二人パーティーになった。
そして結婚クエストが選択可能になった。
【ストーリー】
二人の愛を確かめるために課せられた試練を乗り越えよ。
進行A:ダンジョン『シェダルの花園』をクリアする。
進行B:タキシードとウエディングドレスを手に入れる。
「愛!? 愛ってなによ!?」
セレナは茹でられたみたいに顔を真っ赤にしていた。
「アタシとトキヤはそーいうのじゃないしっ。やっぱやめよ! 結婚クエスト」
「セレナちゃん!?」
「お、落ち着くであります、セレナどの!」
「あら? それならやっぱりトキヤくんとクラリーチェちゃんで受ける?」
「アサギさん!?」
「わかったわよ! 受ける! 受けるわよ!」
セレナはタブレットの液晶を破壊しかねない勢いで画面をタッチした。
俺も結婚クエスト受領ボタンをタッチする。
――クエストを受領しました。
これで後には退けなくなった。
今更になって胸が高鳴ってきた……。
どぎまぎしてセレナの顔を直視できない。
「な、なんかきんちょーしてきたわ……」
どうやらあちらも俺と同じようすだった。
アサギさんが「がんばんなさいっ」と俺の肩に手を乗せる。
「ダンジョン自体は大して強い魔物は出てこないから、ヒーラーがいない二人でも難なくクリアできるわよ。進行Bのタキシードとウエディングドレスの入手は、私と旦那のお古でよかったら貸してあげよっか?」
「ダメですよアサギさんー。ウエディングドレスは女の子の憧れなんですからー。セレナちゃんのためにちゃんと用意してあげなくちゃ」
「あ、アタシはそういうの気にしてないけど……まあ、クラリーチェがそう言うのなら……」
「では、進行Bはジブンたちがお手伝いするであります!」
俺とセレナが進行Aのダンジョンを攻略している間に、クラリーチェとルンが進行Bに必要なタキシードとウエディングドレスを用意してくれることになった。
「ならさっそく、職人街に行って服飾スキルを持ってるプレイヤーさんをさがさなくちゃね」
「トキヤどの、セレナどの、あとはジブンたちにおまかせあれ、でありますっ」
「あ、ああ……。頼んだぞ」
当事者である俺とセレナを差し置いてクラリーチェとルンはやる気満々だった。
……クラリーチェが空元気に見えるのは俺の気のせいではないのだろう。




