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5-8

「ツインスラッシュ!」


 ワイルドボアに躍りかかったセレナがスキルを炸裂させた。

 一瞬にして二連続の斬撃を繰り出すフェンサーの基本スキル。

 振り下ろしと振り上げの多段攻撃を食らったワイルドボアは反撃を許されずその場に倒れ、やがて消滅した。


「やっぱりバトルがアタシには合ってるわねっ」


 久しぶりの戦闘でセレナはご機嫌だった。

 剣をくるくると片手で器用に回して格好つけている。

 草むらからもう一匹、ワイルドボアが出現する。それを見つけるや否やセレナはダッシュで詰め寄り、再び『ツインスラッシュ』を発動させた。二匹目のワイルドボアもセレナの素早い連続剣の餌食となった。

 その間、俺はどうしていたかというと……ゼリー型の魔物『スライム』と戦っていた。

 スライムと戦うための適正レベルは1。

 1。

 1である。

 悲しいかな、俺にぴったりだ。


「ていっ!」


 スライムを槍でつついて撃破する。

 雀の涙ほどの経験値とゴールドを獲得する。

 スライム自体は今回受注したクエストの討伐目標ではないのだが、セレナがワイルドボアと集中して戦えるように俺は露払いに専念していた。ここにはワイルドボア以外にスライムも出現するので、俺の相手はそいつというわけだ。


「ぐはっ」


 スライムの体当たりを食らってしまう。

 俺の頭上に表示されたHPバーが右から1/4ほど赤色に染まる。

 レベル15でありながら、レベル1相当の魔物と接戦を繰り広げる俺って一体……。


「クラリーチェ、回復を頼む」

「……」

「クラリーチェ?」


 クラリーチェは遠くを見ながらぼんやりしている。

 意識はるか遠く。

 口が半分開いたまま。

 心ここにあらず。

 俺の声が耳まで届いていない。


「クラリーチェ、回復を」

「……」

「あのー、クラリーチェさーん?」

「……ほわわっ」


 ロッドを握ったまま呆けていたクラリーチェがようやく我に返った。

 きょろきょろと周囲を見回す。

 俺がピンチなのに気付き、すかさず魔法の詠唱をはじめる。


「回復だねっ。えーいっ」

「のわっ!?」


 クラリーチェが魔法を唱えると、俺の頭上に岩石が出現して垂直に落下してきた。

 落下してきた岩石が俺の脳天をかち割る――ことはなく、頭に触れたところで音も無く消滅した。

 クラリーチェさん。その魔法はヒーラーの攻撃魔法『ストーンフォール』です……。

 味方の攻撃ではダメージを受けないのが幸いだった……。


「あわわわ……。ま、間違っちゃった……」

「かい、回復を頼む……」

「ヒーリング!」


 クラリーチェが今度こそ回復魔法を唱える。

 俺の頭上に光のシャワーが降り注ぎ、HPが回復した。


「ツインスラーッシュ!」


 セレナのほうは順調にワイルドボアを狩れているようだ。

 フェンサーのスキル『ツインスラッシュ』は手数が多いのが魅力。そのうえMP消費が少ない。この『ハルベリア・オンライン』はMPが少しずつ自動で回復するため、格下相手の狩りであればMPの自動回復がスキルのMP消費に追いつくのだ。

 だからセレナは『ツインスラッシュ』メインで狩りを続けていながらも、MPはほぼ100%の状態を保っていられた。


「やっぱりバトルしてこそゲームよねっ」

「早く明日にならないかなー」

「通常攻撃! 通常攻撃! くらえスライムッ」


 ご機嫌な幼馴染たちを尻目に、俺はスライムと死闘を繰り広げていた。

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