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5-7

「メインクエストを進めるってのはどうかしら」

「いや、メインクエストはダンジョンの奥のボスとの戦闘があるだろうから、しっかり準備してから挑んだほうがいい。今日は日が暮れるまでの時間をつぶせるようなかんたんなクエストをするべきだと俺は提案する」

「それもそうね」


 と言いながらもセレナは不満げなようす。

 セレナはとにかくバトルがしたいのだろう。


「採集系のクエストはもうアタシ飽きちゃったわよ。クラリーチェはどう思う?」

「わたしはなんでもいいよー」


 クラリーチェはクラリーチェで、マルガレーテさんに加工を頼んだイヤリングが楽しみで仕方がないらしく、クエストのことなんてまるで頭に入っていなかった。


「なら、魔物討伐クエストに決定ね」


 タブレットを操作しようとするセレナを俺が「待て待て待て!」と阻止する。


「今のクラリーチェの返事でどうして『なら』『決定』になるんだよっ」


 俺は思わずつっこみを入れてしまった。


「アタシは魔物とバトルしたいの。ボス討伐じゃなくてザコ狩り系の魔物討伐クエストならいいでしょ?」

「うっ……」


 俺は返答に窮した。

 俺は幻獣の力を借りて攻撃力が限界突破する『エンチャント』スキルで、あらゆる敵を一撃で撃破できる。

 しかし、その力をふるうには幻獣との契約が逐一必要となる。

 長時間、多数の魔物を狩り続けるのに幻獣は付き合ってくれるだろうか。

 俺の基本的なステータスはレベル1同然。幻獣と契約できなくて『エンチャント』が無いとまるで役に立たないのだ。

 俺がうろたえた理由を察したらしいセレナは「安心しなさい」と言った。


「最初はアタシ一人で魔物を狩ってるから、その間にトキヤは幻獣と仲良くなっときなさい。それで『エンチャント』ができるようになったらまとめてドーンっ、ってやってけばいいでしょ」

「そりゃまたずいぶんとアバウトな作戦だな……」

「へーきへーき。戦闘不能にならないような格下の魔物を狩ればいいんだから」


 そういうわけで俺たちは『ワイルドボア討伐』クエストを受注したのであった。

 先ほどセレナが言ったように、このクエストはボスの撃破ではなく、ダンジョンに無限に出現する通常の魔物を指定された数だけ撃破する、いわゆるザコ狩り系のクエストである。

 ワイルドボアは適正レベル10のダンジョンに出現する魔物。初期ステータスの俺はともかく、レベル15であるセレナなら2、3体一度に相手したところで戦闘不能になる心配はないだろう。

 俺はしぶしぶそのクエストを承諾したのであった。



 ワイルドボアが出現する『陽だまりの平原・森林』に俺たちは転送でやってきた。

 ここは以前、サーベラスとPvPした『陽だまりの平原』の続きのダンジョンである。


「さーて、バトル開始よっ。クラリーチェ、援護よろしくねっ」


 セレナが腰の片手剣を抜いた。

 温かな木漏れ日が降り注ぐこの森には今回の討伐対象である『ワイルドボア』が多数出現する。わざわざさがしにいかなくてもあちらから出てくるだろう。

 さっそく、木立の陰からワイルドボアが一匹、姿を現した。

 ワイルドボアはその名の通り、大きなイノシシ型の魔物であり、アゴから生える鋭く長い牙を武器として攻撃してくる。適正レベルではヒーラーの回復が必須の相手だが、適正レベルを5も上回っているセレナならレベル補正で大したダメージにはならないだろう。


「いっくわよー!」


 セレナは果敢にワイルドボアに挑んでいった。

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