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マルガレーテさんの店に戻る。
「あっ、おかえりー。メノス鉱石は見つかったー?」
店の奥のカウンターに座っていたマルガレーテさんは俺たちの来店に気付くや立ち上がり、小走りに駆け寄ってきた。
「えへへー、見つかりましたー」
クラリーチェがタブレットを見せる。
タブレットのストレージ画面に『メノス鉱石:1』と表示されているのを見せてもらったマルガレーテさんは「ほ、ほんとだー。よく見つけられたねー。わー、よかったねー」と、なんだか棒読みみたいな口調で喜びを分かち合ってくれた。
他になにか言いたげに視線を合わせたりそらせたりしている。
笑っている口元もひきつっている。
露骨に不審……。
この人、なにか隠してる?
「じ、実はさぁ……。あったんだよね、『メノス鉱石』。ウチの在庫に。ゴメンねっ」
やっぱりそうだったんかいっ。
マルガレーテさんはぺろっと舌を出しながら「てへへ」と頭をかいていた。
俺とセレナとクラリーチェは互い顔を見合わせあって苦笑いした。
フリーマーケットの件はこれで完全に無駄足になってしまったわけだが、マルガレーテさんの気さくな性格のおかげか、俺たちは「仕方ないなぁ」で許せてしまった。いずれにせよ、目的のアイテムは手に入れたわけだし。
「その代わり、ばっちりイヤリングをつくってあげるから、期待してね!」
マルガレーテさんは腕をまくって握りこぶしをぎゅっとしてみせた。
「はいっ。よろしくお願いしますっ」
クラリーチェとマルガレーテさんは互いのタブレットを向けあって『トレード』を開始する。
クラリーチェが『青色貝殻:1』『メノス鉱石:1』、をタッチして、続けて加工料金分のゴールドを数値入力する。そして『譲渡』を選択する。
マルガレーテさんは『受取』を選択する。
これでクラリーチェのストレージに保存されていた『青色貝殻』と『メノス鉱石』、加工料金はマルガレーテさんの手に渡った。
素材は渡した。
あとはつくってもらうだけだ。
「イヤリングができるまでどのくらいかかります?」
「んー、そだねー、明日の朝の開店直後に来てくれれば渡せると思うよー」
「わかりましたっ。それまで楽しみに待ってますっ」
そうして俺たちはマルガレーテさんの店を後にした。
扉を開けて外に出ると、まぶしい日差しと職人街の喧騒が俺たちを出迎えた。
職人街の石畳の道をプレイヤーたちが行ったり来たり。ここはいつでも活気にあふれている。
「マルガレーテさんのお店の開店は朝の9時だからー。あと何時間くらい?」
「いや、気が早すぎるわよっ、クラリーチェ! まだ真昼間だしっ」
早くもクラリーチェはそわそわしていた。
「イヤリングは朝一番に取りにいけばいいとして、それまでクエストでもやっていましょ」
「うー、明日の朝が待ち遠しいよぉ」
「だから気が早すぎるってばっ」
クラリーチェは身体をむずむずさせていた。
こんな調子で、ちゃんとクエストをこなしてくれるだろうか……。
俺は一抹の不安を抱いた。
それからクエストホームに赴いた俺たちは、タブレットでクエスト一覧を開き、どのクエストを進めるか相談しあった。




