3-4
PvPが開始された瞬間、サーベラスは手元に持っていた丸いアイテムを足元に投げつけた。その瞬間、アイテムが爆発し、灰色の煙が周囲に拡散させて視界を阻んだ。
スモークボムか!
先手を取られた。
これではセレナの移動速度を強化を生かせない。
「卑怯者! 出てきなさい!」
セレナはやみくもに剣を振るう。
しかし彼女の剣は空を切るばかり。
視界を阻まれたのはサーベラスも同じ。しかし、あいつは当然それを前提とした戦術を練っている。不利なのは圧倒的にセレナだ。
「俺さまはここだぜッ」
セレナが背中から蹴りをくらった。
スモークボムの効果が切れて視界が晴れると、うつ伏せに倒れるセレナを見下ろす格好でサーベラスが立っていた。
すぐさまセレナは立ち上がる。
頭上のHPバーが3/4まで減っている。
セレナは真正面から突っ込んで剣を振る。
ひょいと飛び退いて回避するサーベラス。
セレナはなおも攻撃を繰り返すも、サーベラスには一撃たりとも届かない。
「ふん。ドラゴンとダークレオを倒したパーティーがどれだけの強さか確かめるつもりだったが、ぜんぜん雑魚じゃねーか」
サーベラスは四角いアイテムを手にし、それをセレナに投げつける。
セレナの身体にぶつかってアイテムが弾ける。
紫色の煙が立ち込める。
セレナがせき込む。
「な、なによこれ……」
膝をついてしまう。
セレナのHPバーの外枠が白から紫色の変わっている。
猛毒――HPが徐々に減っていく状態異常だ。
「どうした。その程度か?」
「くっ。あんたになんか負けないんだか……ら……」
セレナはその場に気絶した。
HPは残り1。PvPではHPは0にならず1で止まる仕様になっている。
セレナは敗北した。
「セレナちゃん!」
クラリーチェがセレナを抱きかかえた。
設定した賭けの条件により、セレナの持っていた『ドラゴンスレイヤー』の称号がサーベラスの手に渡った。
俺は焦っていた。
いくらセレナが搦め手に弱いとはいえ、こんなにあっけなくやられるとは思っていなかった。
俺は必死に周囲を見渡す。
幻獣はまだ見つからない。
サーベラスに挑んで『ドラゴンスレイヤー』の称号を奪還するにしても、幻獣の『エンチャント』がなければ俺だって勝ち目がない。
なんでもいい。なにかしらサーベラスに話しかけて、幻獣を見つけるまで時間稼ぎしないと。
「なあ、サーベ――」
「次はこのトキヤくんが相手になりますっ」
クラリーチェさん!?
あの、時間稼ぎをしたいんですけどっ。
「ほう、お前みたいなザコが相手になってくれるとはな」
「トキヤくんは確かにステータスは低いですけれど、相手を一撃で倒す必殺技を持っているんですよ!」
ネタバレはやめてー!
「なんだそりゃ。はははっ。なんなら見せてくれよ」
サーベラスは明らかに俺のことをバカにしている。
ああ、ムカつくがそれでいい。
油断すればするほど俺のほうが戦いやすくなる。
「俺はダークレオを倒したときに得た称号『獅子を討つもの』の称号を賭ける。サーベラス、お前は『ドラゴンキラー』をセレナに返すのを条件にしろ」
「いいぜ」




