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3-3

 『陽だまりの平原』は初期レベルのプレイヤー向けのダンジョンである。

 出現する魔物もゼリー状のかわいらしい姿をしたスライムくらいしかおらず、攻撃頻度も少ないので初心者でもかんたんに倒すことができる。採集できる素材もHP回復アイテムのポーションを作製するためのものがほとんど。自分でポーションを作るのもよし、需要が高いのでプレイヤーに売るのもよし、と初心者にとって必要なものが揃っているのだ。

 俺はその場所をサーベラスとのPvPの場所に指定した。

 とっさに頭に浮かんだのがこのダンジョンで、幻獣が出現するのならどのダンジョンでもよかった。とにかく幻獣が出現しない闘技場は避けたかったのだ。

 万が一、セレナがPvPで負けたとき、俺が敵討ちをするために。

 そして俺たちはその場所にやってきた。


「陽だまりの平原か。なつかしい場所だなぁ」

「白々しいな。初狩りするために毎日うろつてるんじゃないか?」

「おっと、バレちまったか」


 サーベラスは「へへへっ」と下品に笑った。

 セレナが剣を抜く。

 そしてサーベラスをにらみつける。


「初狩りなんて許せない……。サーベラス! あんたなんかにぜったい負けないんだから」

「そう熱くなるなよ。バトルを楽しもうぜ」


 セレナとサーベラス。二人が『PvP承認』をタッチする。

 タブレットにカウントが『10』と表示される。

 このカウントが0になればプレイヤー同士、攻撃でダメージを与えられるようになる――戦いの始まりだ。

 クラリーチェは祈るように両手を握り合わせてセレナを見つめている。


「トキヤくん。セレナちゃん、勝てるのかな……」


 正直言って、負ける可能性のほうが高い。

 PvPだとレベル補正が緩いからレベル差はそんなに問題はないだろうけど、セレナは一直線に敵に向かっていく性格だ。それに対してサーベラスはあの手この手で敵を翻弄する戦い方が得意。セレナを手玉にとるのはたやすいだろう。


「セレナちゃんが負けちゃったら……」

「そのときは俺が取り返す」

「うんっ。トキヤくんだけが頼りだよっ」


 そんなやり取りをしている間にカウントが残り5になる。

 ダメージはまだ与えられないが戦いの準備はできる。

 セレナは自己強化魔法『ウィンドウィング』で移動速度の強化する。

 サーベラスはタブレットを操作してストレージからアイテムを取り出している。

 俺は周囲を見渡す。

 スライムがぴょんぴょん飛び跳ねながら移動している。

 幻獣の姿は見当たらない。

 まずいな……。

 そうこうしているうちに、カウントが0になった。

 戦いが始まった。


「行くわよ! ――って、きゃあっ」

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