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「ドラゴンを倒したのですか!」
「だから今度はダークレオにも挑戦するの。ココ。ダークレオについて知ってることはない?」
「そうですね……。ダークレオは素早い動きで獲物を翻弄して食らいついてくると聞いたことがありますねー」
「なら、素早い動きを封じるためのアイテムが必要ね」
「それならこれはどうでしょう」
ココが店の棚から薬瓶を一つ持ってきた。
それは薬瓶から出てくる煙を浴びた者の動きを鈍くするアイテム『スロウスモーク』だった。
「買うわ!」
「在庫は三つありますよ」
「全部買うに決まってるじゃない」
セレナは即座にそのアイテムを購入した。
「トキヤさんー。このアイテムはどうでしょー」
クラリーチェが小瓶を持ってきた。
ピンク色の小さな瓶で、ハート型の栓がしてある。
「かわいいですよね」
「……かわいいな。で、どういう効果のアイテムなんだ?」
「今から調べますねー」
「見た目で選んだんかいっ」
クラリーチェはクラリーチェで目が離せない。
クラリーチェが持ってきたピンクの小瓶は『幻獣チャーム』というアイテムだった。
使用すると、使用者に周囲の幻獣が有効的になり、回復や補助などのサポート行動をしてくれるようになるとのこと。意外にもクラリーチェは有用なアイテムを持ってきてくれた。
これがあれば俺のスキル『エンチャント』も使いやすくなる。
俺は『幻獣チャーム』を購入した。
ココが今度は俺のところへと近寄ってくる。
「それにしてもすごいですねー。ドラゴンをやっつけちゃうなんて。しかもトキヤさんたちが。トキヤさん、レベル上が上がってもぜんぜん強くならない、って毎日言っていたのに。とうとう強くなったのですか?」
俺が幻獣の力を借りて攻撃力を増加――というよりもカンスト――させる謎のスキル『エンチャント』について話す。ココは興味深げに俺の話に耳を傾けていた。多くのプレイヤーと接してきたこのアイテムやのちっちゃな店員でもエンチャントというスキルを持ったプレイヤーを見たことは一度もないとのことであった。
「でも、だいじょうぶなのですかね。攻撃力がおかしいくらいに高くなっちゃうのって。えっと、みなさんの世界の『運営』っていう人たちに怒られちゃうんじゃ……」
「怒られたらそれまでさ。使えるものは使わせてもらう」
買い物を済ませたセレナとクラリーチェが俺のところに来る。
「トキヤ。これからの戦いはアンタが切り札なのよ。準備はちゃんとできた?」
「ああ。まかせてくれ」
「トキヤくん、頼もしいです」
こうして俺とセレナとクラリーチェはダークレオが潜む漆黒の森へと向かった。
漆黒の森は先日の火山の先にあるダンジョンだった。
漆黒という名の通り、森の木々は炭のように黒い。
「気味が悪い森ね……」




