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道具屋に入ると元気な子供の声が出迎えてくれた。
背のちっちゃな女の子が俺とセレナとクラリーチェのところへととことこ歩いてくる。そして丁寧にお辞儀した。
「ココの道具屋へようこそ、トキヤさん、セレナさん、クラリーチェさん」
ココと名乗った少女は道具屋のNPC――ではない。
ゲーム世界と融合する前の異世界ハルベリアにもともと住んでいた人間である。
だから俺たちと同様に意思を持っていて、話しかければちゃんと意味のある言葉を返してくれるし、値切ろうとすれば交渉に応じてくれる。プレイヤー同士のトレード機能とほとんど同様のやりとりができるのだ。
昼間はこの道具屋で働いているし、夜になると店を閉め、二階の居住スペースで眠る。ゲームとは無関係に彼女たちには彼女たちの生活があるのである。
「さて、なにから買おうかしら」
狭い店内を物色するセレナ。
陳列棚にはいろんな色のポーションが並んでいたり、特殊な効果が付与されたアクセサリーが飾ってあったりする。もっとも、それらは掲示板と同様に単なるゲーム上の演出にすぎず、タブレットを開けば商品一覧がずらりと表示される。とはいえ、それではあまりにも味気ないのでこうやって店内を歩き回って掘り出し物をさがすプレイヤーは多いのだ。
ここがセレナに近寄ってくる。
そして実に子供らしい、人懐っこい笑みを浮かべる。
「今日はヒールポーションが値引されてますよー」
「んー、どうしようかしら」
「いいんじゃないか? 回復薬はいくらあっても困らないからな」
ダークレオは強敵だ。回復薬はなるべく多く持っていきたい。……まあ、セレナやクラリーチェはともかく、俺はどうあがいても即死だろうが。
セレナはタブレットをタッチして回復薬をまとめて購入した。
俺は攻撃アイテムが陳列されている棚を見ていた。
ダークレオは電撃属性の攻撃を放ってくるとの情報を事前に酒場で仕入れていた。だから電撃属性を軽減する『電撃シールド』が無いか探しているのだ。そのアイテムを使えば電撃属性の攻撃を無効化する結界を展開することができる。
どれだけさがしても見つからないのでタブレットを開いて商品一覧から検索してみると、残念なことに『電撃シールド』のとなりには『在庫なし』の無慈悲な文字が表示されていた。
「ダークレオの弱点って何属性かしら」
「セレナさん、ダークレオと戦うのですか!?」
ココが驚きの声を上げた。
セレナは得意げな顔になり「アタシたち、ドラゴンスレイヤーだからね」と言った。




