招かれざるお客?
招かれざる客っていますよね。お話の設定で小説とか、漫画とか、あとゲームにもそんなキャラが出てくるな。冬の雪山に旅行で来た時に、宿泊するペンションで殺人事件が起きる。そして次々に死んでいく登場者達。ああ、いったい誰が殺人鬼なのだろうか。それは、まさに招かれざる客でしょう。そんなサウンドノベルゲームを昔やったな。友達と犯人探しに熱中したものです。そして遊びの締めは配管工のおっさんが主人公なパーティゲームでした。しかし、異世界に来て俺が配管工になるとは思いもしませんでした。マンマミーア!!
配管工事に勤しむ幼児の昼中少し前の頃。
「ふう。気分は配管工だぜ!」
だが、俺に髭はまだ無い。
きのこを食べて大きくなる予定も無い。
出来れば俺のきのこだけは早く大きくなって欲しいものだ。
「ようやく排水管が繋がったな。試しに水を流してみるか」
ちゃんと試さないとね!
作りっぱなしは駄目だ。
「クラウスにぃ、みーつけた!」
「わっぷぅ」
おいカレン! いきなりタックルするのはやめろ。
意外と痛いんだぞ?
しかも、まだ土管から上半身しか出してないから押しつぶされそうだぞ。
出来れば押しつぶされるなら師匠のお胸様でお願いしたい。
フルフラットな平原では俺の心を包み込む事は不可能なのだよ。
やはり御霊峰に包まれて眠りたい。
「……兄さんが苦しんでる。カレンどいてあげて」
「はーい」
不承不承な感じで開放されました! 解せぬ!
カレンには、もう少し落ち着きを以て行動して欲しい。
「助かった。ありがとうねアンネ」
「……兄さんを助けるのは当然」
「アンネだけほめられてずるいわ!」
褒められたのが嬉しいのか表情はあまり変わりなく頬だけを染めるとは、中々器用な事するのねアンネ。
そしてカレンよ、君は何を言っているのかと? 叱られないだけ良しとしなさい。
「それで? カレンとアンネは何をしているの?」
「んとね! 旅に出たの!」
「はい?」
訳が分からん。
「……お父さんが、アンリカ村に向けて旅立ったのよ。兄さん」
「そゆことなのね」
最初からそう言って欲しい。
カレンよ、主語を抜いて述語だけで話すな。
「そうなの! それをクラウスにぃに教えに来たの!」
なんね。
その褒めてと言わんばかりの笑顔は。
とりあえず水魔法で手を綺麗にするか。
「はい、はい。ありがとうねカレン」
綺麗にした手で頭を撫でて進ぜよう。
「えへへ~」
「……カレン、狡いわ。兄さん、仲間はずれは駄目」
あー、もうメンドくさいね君たちは、両方撫でればいいんだろ。
アンネの口元が少し動いてる。
そんなに撫でられるのが嬉しいのかね?
「今回は一緒に行かなかったんだね」
「ティアナねぇが付いて行ったわ!」
「……お父さんだけじゃ心配」
我が村の村長は村民には信頼されているが、家族からの信頼は薄いようだ。
「そっか。ティアナお姉ちゃんなら心配いらないね」
「「うん」」
即答されたぞ伯父さんよ。
「村はヴェラさんが居るから大丈夫だね」
「お母さんがいれば、しんぱいむしょうだわ!」
「……カレン。それを言うなら心配無用」
心配するのは無償か似てるようで意味が違うな。
って言うかそんな言葉は無い。
「伯父さんは何時ごろ旅立ったの?」
「……今朝早くに出たわ」
そうか。
俺が排水管を開通させる為に潜った時には出て行ったのね。
おっと、排水管を忘れてた。
検査の為に水を流すか。
「僕はこれから川に行くけどカレンとアンネはどうする?」
「一緒に行くわ!」
「……もちろん」
聞くだけ野暮か。
そしてカレンは右に、アンネは左に来るのね。
俺達は水を求めて一路東へ旅立ったのだ。……村の中をね。村の南から東へだから、それ程時間も掛からずに水を手に入れられた。”秘密の小部屋”に大量にね。
「クーラウースにぃーと、一緒~」
「……兄さん。一緒に昼るする?」
「んー。一回家に帰る。お母さん待ってると思うし」
「……分かったわ。その代わり家までは一緒」
はい、はい。
それで済むなら安いもんさ。
水路を辿って早く帰るべ。
それにしても、よくこんな大きな貯水池作ろうとしたよな。あの時は熱中してたから考えて無かったけど。今、思うと一大事業だよな。現在は賢者モードだから冷静に考えられるぜ。
まあ、別に貯水池から水を得ても良かったけど、知らぬ間に減ってたら怪しまれるもんな。だから計算に狂いは無い。うん。
そう言えば計算で思い出したけど、貯水池にある給水装置の給水量はどれくらいだったかな。確かシリンダーの大きさが長さ170センチで、幅が30センチの円柱なんだよね。それでピストンもほぼ同じ大きさで、一度に上に上がるのが3分の1かな。そして送る水の端数は考慮しない。さて、二世帯が共同で使う360リットルの容量の大甕に水を送るのに何回シーソーを往復するのかな~……。
そう、その答えは! ……。
「クラウスにぃ!」
「そう、答えはクラウスにぃ……て、なんだ?」
「……どうしたの? 兄さん」
「ああ、ちょっと考え事? それでどうしたの?」
「……うちの前に馬車が止まって居るの」
馬車ぁ~? 確かにあるね。
いつか見た事ある悪趣味な馬車だな。
商人の名前は確かー……エロ・ワン? なんだかフォースに目覚めそうな名前だな。もう一人はー……ブッテ・パーラー? ドMな人が喜びそうな部屋の名前だな。だけど、どちらも違う気がする。まあ、いっか!
「行ってみよう」
「「うん」」
また、いやらしい目をした痩せぎす小男と、チョビ髭の小太りのおっさん達が来たのか? 何の用なのかね。
村長宅に近づいたら家の中から声が聞こえて来る。どうやらヴェラさんが対応してるようだ。
「済まないけど、そういう重要な話は村長が居る時にしてくれないかい? アタシからは話せないね」
「なんだと!? 我らが帝国の者だと知っての事か!」
「まあ、待つのである。エロワ」
「待てるものか! 我らは誉れ高き帝国の商人だぞ? 田舎者如きが楯突いて良い訳があるか!」
「ここは某に免じて事を荒立てるな。待つのである」
「ふん。相変わらずお前は手緩い。ブッティーよ、趣味も大概にしろ」
「はっはっは。それはお互い様で、あるな」
騒がしい奴らだな。
騒ぐのはライブ会場だけにしとけよ。
あっ、こっちには無いか。
「それと予定している客じゃないから部屋も空いてないよ」
「なんだと!?」
喧しいな。
外まで聞こえて来るぞ。
入口で覗いてる俺達には更に喧しく聞こえるな。
お? ヴェラさんと目が合った。
「だから村の入口近くの空き地にでも天幕を張るんだね。手頃な「広さ」があるはずだよ。邪魔な木を吹き飛ばしたからね。ウチの村に居る手練が魔法で村の外まで吹き飛ばしたんだ。あんたらも気を付けるんだよ。騒ぎを起こしたら命が幾つあっても足りなくなるからね」
どうして俺の目を見つめながら話すのですかな?
「ふん。不愉快だ! 失礼する」
「待つのである。エロワ」
どうやらご退場するようだ。
双子を連れて物陰に隠れるか。
無用な諍いは回避ですよ。
「行くよ」
「「うん」」
やっぱり双子も警戒してるみたいだね。
「あの女め。こちらが下手に出ていれば付け上がりおって」
「そう熱くなるな、我々には使命がある。だから無駄な諍いは控えるのである」
「確かに。我々には子爵様からの崇高なる使命があったのだな。あんな年嵩のいった女一人に、かかずらわる暇すら惜しい」
「それでは指定された空き地とやらに行くのである」
「ふん。有り難くも我々が使ってやるとするか」
そう言って商人達は、村の入口近くの空き地(俺が吹き飛ばした)へと向かって行った。
「ねえ、ねえ。クラウスにぃ? あの人達なにを話してたの?」
「……口を開け閉めするだけで何も話していなかった。何で?」
「うるさいと思ったから僕が魔法で静かにしたんだよ」
「そうなんだ! クラウスにぃすごーい!」
「……どうやったの?」
「アンネ。それは秘密だ」
実際には隠れる為に相手から見え無い様に光りを屈折したり、周りを真空の層で覆って音を遮断しただけなんですけどね。
一応は何を言ってるか興味があったから俺だけ聞こえる様にしたけど別に面白くも何ともなかったな。
ヴェラさんの良さが分からないとは随分ガキだな。
もしかして、あの身成でヴェラさんより年下とか?
ナイワー。
「それより家に入ろう」
「「はーい」」
お腹が空いたしね。
双子を無事に送り届けたの時に、なぜヴェラさんが俺を見ながら話したのかを聞いてみたら、伯父さんが全部バラしていたらしい。妻の尻に敷かれた悲しき男の姿を幻視した瞬間だった。
読んでくれて、ありがとうございます。
着々と村が改造されていきます。
主人公は何処に向かうのか?
それでは次回も会いましょう!




