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村ヲ改造する? その3

お待たせしました。

 改造。それはなんと甘美なる響きか。一度手を染めたら二度と逃れる事は出来ないものだ。元からある物でも確かにそれほど不満は無いが、やりだしたら止まらない。……まるで走り出したら止まらないデカイダンゴムシみたいだな。あれは子虫で止まったんだっけか? 違うなヒロインか。さて、異世界の開拓村の改造はいったい誰が止めてくれるのだろうか。それも私のヒロインかもしれない。師匠お待ちしております。





 ある程度の給水装置の完成を見た次の日。


 「いやぁ素晴らしい装置ですな。ドッド殿」

 「ああ、なんとか物にできた。これもクラウス達が手伝ってくれたからだ」

 あの給水装置はドッドが考えた事になってるからな。

 伯父さんも手放しで喜んでいるね。


 「魔法の練習にもなったから僕は手伝えて良かったよ」

 「とっても楽しかったわ! また一緒にしようね! クラウスにぃ」

 「……兄さんのお手伝いだから当然」

 カレンさんや。

 遊びじゃないからね?

 アンネは何処か得意気に胸を張っている。

 何と言うか男らしいね。

 胸も平坦だし……。

 おっと、その目は何かな? アンネ。

 俺の目線が胸に向いていたのかね?


 「それで、あの装置で送られた水は魔法で綺麗にすれば良いのですね?」

 「おう。そうだな。人族の成人したてのヤツでも日に三回は出来るだろう。大人なら十回くらいか?」

 「そうですね。そのくらいは出来るでしょう」

 まあ、妥当な判断だね。

 あの大甕くらいの大きさなら3回は魔法で綺麗に出来るかな。

 なんせ360リットル以上は入るから魔力の消費も大きいだろう。


 「あの大甕も作って頂いて感謝の言葉もないですな。何かお礼が出来れば良いのですが」

 「構わねぇよ。俺も久々に大物を手がける事が出来て気分が良いんだ」

 「そうですか。それなら川から取れた鉄を幾分かお譲りするという事でどうでしょう」

 「ふむ。それで村長の気が済むなら貰っておこう」

 「あの新しい技術の対価が、それで払えるなら安いものです」

 さすが伯父さんだ。

 さっそく砂鉄を有効利用しているね。

 村にとっても降って湧いた物だし懐も痛まないってもんだな。


 伯父さんも画期的だと仕切りに感謝している。だが、これは唯の布石なのだ。


 全ては上水道を理解させる為の物だ。それほど画期的仕組みではない。本当は、もっと効率の良いポンプもあるのだが。実験の為には比較的簡単な物で試す方がいい。難しい機構の物を用いてから、失敗しました。では話にならない。


 だから、ある程度理解し易く。且つメンテナンスがし易い物にしたのだ。



 「ところで、竹の方はどれだけ粉に出来ましたかな?」

 「そうだな。小ぶりで細い物は除いたから、七割と言ったところか?」

 物思いに耽ていたら竹の話になっていたような?


 「そうなのですか。細い竹は削らないのですかな?」

 「ああ、削り難いってとこだ。縄で纏めてから削ってもいいんだが、そうなると縄が装置に絡まるのが面倒でな。今のところは何かに使えないか省いてある」

 なんね。

 細い竹があるのかね。

 そう言えばある程度の太さだけを削れる仕様にしたからな。削り難い物も出てくる訳か。


 「そうなると、運ぶ竹を太い物だけに限定した方が良さそうですな」

 「まあ、大きさや太さは指定しなかったからな。仕方あるまい」

 発注の不備にドッドが、うんうんと頷いているな。

 経験があるんだろうね。

 何ヶ月か前にもドッド宛の荷物で不備があったからな。

 だけど、そのお陰でクズ石にも巡り会えたのだ。何が転じて福になるか分かんないもんだね。


 「それにしても最近は良い巡り合わせが続きますな。新しい肥料だったり、貯水池のを建設したり、水が確保出来たので畑に水を撒くのが楽になりますな」

 「そうだな、それに川辺を綺麗に整地できたからな。この辺は大雨はねぇが洪水対策はしといた方が良いだろ」

 うむ。

 どうして男が二人も集まると、こういう色気の無い話になるのかね。


 こちらは、こちらで幼女の相手が忙しいし。

 カレンよ、水を飲むか、俺の腕を掴むかどちらかにしたまへ。

 アンネも真似するんじゃありません。


 なんとなく親戚の子供をファミレスで子守していたのを思い出す。あの時はストローを加えて走り回るガキ共に手こずらされたもんだ。ジュース飲みながら噴水のようにストローからピューっと吹き出してもいたな。ファミレスの店員さん汚してすいませんでした。


 ……ん? 今、何かを思い付いたよーな……。

 何かのパズルが少し重なって答えが見えた気がしたな。


 「それでは、その内にでも私がアンリカ村へ赴き仔細纏めて来ましょう」

 「そうだな。仕事は自分の目で確かめるもんだぜ」

 どうやら歓談はお開きのようだ。

 今の閃きも気になるし、ちょっとドッドの家にでも寄るか。




 そして俺はインスピレーションを刺激する為にドッドの家に向かうことにした。




 「これが細い竹?」

 「ああ、そうだ。今の所は扱いが決まってねぇんだ」

 ふ~ん。

 何か、この前見たのと少し種類が違うかな?

 この前見たのが孟宗竹みたいだったのに、目の前の竹は淡竹の様な細い種類だ。太さは3センチから10センチと言ったくらいかな。


 「それにしても細いね」

 「クラウスの腕くらいに細いな」

 ドッドも言うじゃないか。

 しかし、本当に細いから削り甲斐も無さそうなんだよな。


 「何に使おうかな」

 んー…。

 水道管は既に砂や土を圧縮して作ったしな。

 竹、たけ、タケ……んー……遊びの道具でも作るか?


 「ねえドッド。少し場所借りていいかな?」

 「ん? 何か作るのか? 使っていいぞ」

 それではお借りしましょう。

 ってか、そんな好奇心に満ちた顔しても大したもの作らんよ。



 ドワーフの好奇の目を他所に俺は竹の遊具作成を始めた。



 「やっぱり簡単に作る方が扱い易いよね」

 だから竹の両端に節が残るよう鋸で切断して~筒の様にします。次に風魔法で圧縮した空気で高温の空気球を生み出します。圧縮しすぎるとプラズマになるので注意だ。そして高温の空気球で竹の節に1センチ大の穴を開ける。


 「ふう。やっぱり圧縮魔法は慎重にやらないと、まともに扱えないね」

 少しでも意識が逸れると魔力が霧散してしまう。

 こりゃ維持するのが難しいから攻撃には不向きだな。

 瞬間的な点火くらいかな。


 「子供でそれだけ出来りゃあ十分な気もするぞ?」

 「そうなのかな?」

 比較対象が無いから分からん!

 だから気にせずに続きだ。

 今度は穴を開けた反対側の節をドーナツ状に圧縮した高熱の空気で焼き斬りますよー。うむ。上手に焼きました!


 「ふむ。何を作ってるのかさっぱりだな」

 「まあ、見ててよ」

 さて、他の更に細い竹で細工を作るかな。

 今、制作してるのが太さ6センチくらいの竹だが、今度使うのは3センチ程の竹だ。これを鋸で切断DEATH! うむ丁度よい長さだな。これを穴を開けた竹に挿入だ。……エロじゃないよ?


 「んー…少し合わないな」

 「それならヤスリで少し削れば良いんじゃねぇか?」

 「それじゃ借りるね」

 うむ。

 削り上げて大きさを調整しようか。

 よし、入る様になったな。

 ついでに取っ手も作るか。同じ大きさの竹を小さく切って~魔法で穴を開け~嵌め込みます!


 「ほう。そう来るか」

 何がどう来るのか知らんがそうなのですよ。

 むしろカム(come)! よりイン(in)! なのですよ。


 ……等と下らない駄洒落を言っている間に完成だ。


 「それで? それは何に使うんだ?」

 「これはね。水を入れて遠くに打ち出す道具なんだ」

 これは竹の水鉄砲だ。


 「水を撃ち出す道具か。また面白そうな物を作ったな!」

 「使ってみてよ」



 俺の勧めでドッドは水鉄砲を試している。……いるのはいいんだけどね? 新しい物だからと遊びすぎじゃありませんかね?



 「こりゃ手軽に水を撒けて便利でいいな。魔力も使わんから人族には丁度良いんじゃねぇか?」

 「まあね」

 ドワーフとかエルフなら魔法でやった方が遥かにやり易いもんね。

 だが便利ゆえに、こんな工夫は思い付かないんだろう。

 不便だからこそ思い付く。

 日本人ならではの発想ですな。

 ん? ……そうか。

 不便だから便利な物を作る。

 最後のパズルのピースが嵌ったな。


 「ねえ、ドッド。細い竹は使い道がなくて放置してるんだよね? なら新しい使い道があるよ」

 「そりゃ本当か!? どうやるんだ?」




 そしてドッドと共同で細い竹を使った道具を作成した。もちろん竹は防腐処理を施した物を使う。この道具を使えば農業にも、ちょっとした革命が齎されるだろう。その道具を伯父さんに披露したのは言うまでもない。




 「これが新しい道具なのかい? クラウス」

 「うん。ドッドさんと一緒に作ったんだ」

 「思い付いたのは、クラウスの作った遊び道具を見たからなんだがな」

 ソウイウコトにしてある。


 「そうなのですか。この細く長い竹の筒が、どう使われるのか。さっそく目の前の畑で見せてもらいましょうか」

 「はーい」

 ふっふっふ。

 見せて進ぜよう! この装置の威力を!

 まずは、畑に敷設します。次に上に向いた装置入口から水を注ぎ、十分に水が満たされたら入口に重しを入れた竹の棒をセットします。すると……。


 「おおー! 水が少しずつ滴り落ちてきますな」

 「うむ。成功だな!」

 「やったね!」

 「……で? これで終わりですか?」

 おや? この装置の重要性を理解出来ぬと言いますか?

 ドッド任せたぜ。

 手筈通りに解説してくれ。


 「こいつはな。畑に水を撒く道具なのは見て分かるだろ?」

 「はい。それは分かるのですが。人が水を撒くのと、どう違うのですか?」

 「この装置を使えば必要最小限の水で畑の作物が育つんだぜ」

 ドッド。

 端折りすぎだ。

 伯父さんも困惑気味だぞ?


 「水を多く撒けば、その分作物は育つのではないのですか?」

 「たしかに水が必要なのは当たり前だ。だがな? 多すぎても駄目なんだよ。雑草にも水を撒いちまうからな。この装置は作物だけに水をやれる様になる物なんだ」

 「なるほど! そういう事でしたか!」

 伯父さんは頭の上に「!?」のマークが飛び出てるくらいに驚いてるな。

 まあ、それ以外にも意味があるんですけどね。土の中が酸素で満たされやすいとか。作物の旨味が凝縮されるとか。水のやり過ぎによる塩害を防ぐとかね。これで水の少ない地域でも農作業に困らないだろ。


 「まさか細い竹に、この様な使い道があるとは」

 「少し作るのが手間掛かるが。それに見合った見返りは手に入るだろうな」

 確かにねー。苦労したよ本当に。



 作り方は少し手間がかかるが、簡単に説明すると。

 まず竹を縦に割り、中の節の部分をくり抜き、膠の様な物で竹を接着し縄で抑え、竹の両端に横穴を開け、節を切り落とした短い竹をセットする。これで、コの字型の装置が出来る。次に竹に1ミリ大の穴を等間隔に開ける。最後に入口に合った重しを作成して終わりだ。重しの圧力で徐々に水が滴るだろう。



 「確かに手間が掛かるようですな」

 ドッドが伯父さんに作り方を説明したみたいだな。


 「さっそく装置を試してみようぜ」

 「そうですな。従来のやり方と区別する事で違いが分かりますからな。なら、この装置と新しい肥料を使った畑と。新しい肥料だけの畑と。従来通りの畑と。装置を使った畑の四つを試してみましょう。肥料の方は一ヶ月後辺りに出来るので、まずは従来の畑で試しますか」

 さすが伯父さんだ。

 その辺も抜かり無いな。

 比較してこそ違いが分かるってもんだ。




 そうして装置の創作で1ヶ月が過ぎたのを想起する。




 「あー。あれはメンドかったな。竹の防腐処理が面倒なんだよな」

 だけど、それをしないと腐りかねないんだよね。


 「あの竹は点滴灌水をする為には丁度良い細さだから使わないと勿体無いんだよね」

 だから手間を惜しまずせっせと作ったんだよな。


 「しっかし、幼児にしては良く働いたな」

 魔法が無かったら過労死しそうだぜ。


 「それでも、その次の月も村を改造してんだよな」

 圧縮魔法を創作したから楽しくて楽しくて……つい、やり過ぎちゃったんだな。


 「さすがに村の道を整地して石畳を敷設したのは、やり過ぎだったかな」

 砂を見てて思い付いた構造を石畳に取り込んだのは多分オーバーテクノロジーだと思う。


 「でも、思い付いたらやらずには居られない。男とはそう言う生き物なのだよ」

 だから村の中に排水管を作ってしまうのも仕方ないのだ。


 「いつか大雨が降った時の為に備えて置かないとね」

 うむ。

 間違いなく必要な物だ。


 「さて、朝食を食べたら排水管の続きを掘るかな」

 そして村の南に排水管を繋げるのだ。

 村の外は南側が、なだらかな斜面だから水を逃がすなら南側なんだよな。


 「ふっふっふ。待っててね! 師匠! 着々と村を改造しているから!」

 小さな事からコツコツとだ。






 そして幼児による開拓村の大改造計画が進むのだが、まさかこの計画が大切な人達を救う事になるとは予想もしなかった。

読んでくれて、ありがとうございます。


村の改造は誰を救うのでしょうかね。

予想できそうな気もします。


どうも治療の為に飲んでる薬で、膿が出るので中々話を書けなかったりします。

早く完全体になりたいですね。


それでは次回も会いましょう!

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