村ヲ改造する? その2
水路とは遥か昔から人が生活する中で密接な物だった。日本のような稲作を主とする農業は縄文時代から既に水路が使われていたらしい。これも大陸から伝わった文化なのだろう。それから長い年月をかけ発達して灌漑用水路になり美味しいお米が多く作られる事になったのかもしれない。先達の方々ありがとう。美味しいお米が食べられるのも貴方がたのお陰です。そんな素晴らしい偉業を異世界で作ることになったのだが、達成できたのは魔法のお陰であるのは言うまでもない。そうじゃなければ幼児に出来る訳ないじゃん?
伯父さんから改造の許可を得た次の日の朝。
「村に水を引くと言ったけどな。どないしよか…」
川の水位が低いから村に水引くのも一苦労なんだよな。
「んー…。水位が低いのが問題なんだよな」
低い。
下にある。
上にあれば楽なのにな。
「ん? そうか…。難しく考える必要無かったんだよな。よし、さっそく作るか」
この村の東にある川は水位が低い。そうなると村の中に水を引くのは難しくなる。だから、俺は考えたのだ。低いなら高くすればいいじゃないと。そこから導き出された答えは簡単だ。この村の川にダムを作ることにしたのだ。
そして俺は川にダムを建設する事にした。と言っても大きな物ではない。あくまでも水の流れを村の中に引き入れる為の物だ。
まずは、村の中に貯水池を作ることにした。ダムを作っても水を溜める場所が無ければ意味が無い。
これについては比較的簡単に建設出来た。治水工事で培った圧縮魔法のお陰だ。砂や砂利に圧力を加え、さらに空気を外側に圧縮して熱を生み、圧力と熱で石にして、水の漏れない貯水池を完成させた。
次に貯水池から川に向けて水路を掘る。掘る……のだが途中で双子に捕まってしまった。最近見ないから油断していた。
「クラウスにぃ! 何をしているの?」
「カレンか。川まで溝を掘っているんだよ」
君は首を傾げて何をしているの? と俺は言いたい。
「おもしろいの?」
「……カレン。邪魔しちゃ駄目、兄さんはお仕事をしてる」
アンネは理解があるね。
……本当に君は五歳児か?
「面白かどうかはともかく。魔法の練習にはなるよ」
「ほんとう? それならわたしも手伝うわ!」
本当に手伝ってくれるのかね?
別に泥団子を作る訳じゃないんだからね?
「……カレン。駄目よ…」
と、思ったらアンネからフリーズと言われた。
やはりアンネはクールな表情が印象的だな。
冷静に止めに入るのか。
「……三人一緒が良いわ」
「そうね! アンネも一緒に手伝いましょう!」
別にそうでもなかった!
単に仲間外れにされたくなかっただけだった!
「良いよ。それじゃあ二人は川に向けて溝を掘ってね。僕は後ろを固めるから」
「「はーい」」
拒むのも面倒だし手伝わせるか。
それからは双子を加えて三人仲良く? せっせと溝を掘っていった。二人合わせてようやく俺と同じくらいの作業速度と言った感じだ。だが作業速度が2倍になったので思ったよりも早く掘り進められた。
「やったわ! 川にとどいたわ!」
「……長かったわねカレン」
「ねぇアンネ。これは何のためにほってたの?」
いまさら聞くのかよ!
カレンは相変わらず小さい事を気にしな質だな。
「……さあ、何の為に掘ったの? 兄さん」
アンネリースよお前もか。
双子だからって、そんな所で似なくても良いんだよ?
「これはね、村の中に水を引く為に掘ってたんだよ」
「? 村の中に川ができるの?」
「……違うと思うわ、カレン」
アンネよ。
カレンの事は任せた。
姉を教育してやってくれ。
「後は任せたよ。アンネ」
「……うん」
俺はドッドの方を見てくるから。
そして俺はドッドに任せていた作業を確認しに行く。何も俺達だけが作業していたわけじゃない。一番目立つ方をドッドに任せたのだ。これで村人の目も俺達に向くことは無い。どう見てもお手伝いとしか映らないだろう。……多分。
「こっちは川まで溝が掘れたよ。そっちはどう?」
「おう! もうちょいで完成だな」
おおー。
俺の拙い説明で、ここまで完成させたのか。
ある意味で凄いな。
「さすがドッドだね。凄いや」
「物作りは任せとけ!」
ドワーフの面目躍如だな。
新しい物が作れて嬉しいのだろう。
凄い生き生きとしてるよ。
「これが出来たらみんな楽ができるね」
そう今、作っている物が完成したら楽になる。
それは何か。
それは給水装置だ。
まず大人の背丈ほどの円柱状の穴を想像して欲しい。これの上の部分と下の部分に横穴を開ける。ここまではいい。次に円柱状の穴と同じサイズの溝のある石でできた中が空洞の円柱を穴の中に入れる。溝は上部に穴があいている方向に固定する。この円柱の上に板を載せます。そいて板と円柱を繋ぎます。繋ぐ部分はピストンで言うところのコネクティングロッドの様な構造だ。当たってるかどうかは分からん! まあ、今は良い。兎に角、同じ様な機構の物を二つ揃えます。
次に円柱状の穴に開けられた上の部分の横穴ですが、これは貯水池に繋がっています。なら下の方は、と言うと石で作り上げたパイプに繋がっているのです。このパイプは、各家庭の軒先にある水瓶まで伸びています。パイプは地面から伸びて、アルファベットのU字状を逆さまにした状態で生えている。そしてパイプの出口は水瓶の入口にセットされているのだ。
もう、ここまで作れば賢明な方ならお分かりでしょう。そうです人力で稼働するシーソーを利用したピストンの完成なのですよ。シーソーの片側が上がれば、連動して貯水池側の板が上がり水が円柱状の穴に流入して円柱状の穴は水で満たされる。水で満たされれば、その板の上に人が移動します。すると重さに押される形で、水は円柱状の穴に開けた下部の横穴から押し出されるのだ。押し出された水は、石のパイプを流れて各家庭の水瓶に注がれる仕組みになる。
これにより村に上水道が完成するだ。
ちなみに人が板の上を移動する回数で、給水量を計るのは言うまでもない。水を送り出しすぎて溢れさせる様な間抜は無しだ。
「ここまで大掛かりなやつは初めてだ。腕が鳴るぜ!」
やる気が漲っている様子。
大いに結構。
その調子で続けて貰いたい。
「それじゃ僕達は、川の方に取り掛かるね」
「ああ。こっちは任せとけ」
見せ場は譲るので十分に注目を引きつけてくれ。
そして俺は裏方の方に徹するのだ。川に行き”秘密の小部屋”を使い。川下に石を積み上げて、川下に水が溜まるように堰を設けた。勿論、魔法で固めて強固なダムを完成させた。すると、徐々に水位が上がってゆくのが見て取れる。そして十分に水位が上がった所で、村に流れるように水路の蓋を開けた。
「すごーい! 水が入っていくわ!」
「……やっぱり兄さんは凄い」
苦労した甲斐があるのかね。
双子も嬉しそうだよ。
「二人とも頑張ったからね。ありがとう」
うむ。
君たち双子のお陰だよ。
うん。
だけど、なんで嬉しそうに俺の腕を取るのかね?
「行こう! クラウスにぃ!」
「……見に行くの」
ちょ!? 引っ張るなし!
そして嬉しそうに俺を引っ張る双子は、水路を流れる水を追い掛けて行く。勿論、俺を引きずりながら。
読んでくれて、ありがとうございます。
説明文だけになりそうだったので3回に分ける事にしました。
本当は前後編だったんですけどね。
それでは次回も会いましょう!




