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村ヲ改造する? その1

お待たせしました。

 昔、都市を作るゲームに嵌った事がある。何もないだだっ広い平原に、次々と家やビルが生えていくのはとても楽しかった。その他にも消防署が出来たり、警察署が出来たり、様々な事が出来たな。でも、楽しい事ばかりじゃあ無い。事件が起きたり災害が発生したりと緊張感もあった。せっかく造り上げた町を壊されないように守るのも、あのゲームの醍醐味だ。あのゲームでは色々学ばせてもらったよ。だから、俺が異世界で村を改造するのも道理だと思うんだ。え? 違うだろって? ごめん。もう手遅れっぽい。




 師匠からの手紙で愛を感じた次の日。


 「昨夜は手紙から香る師匠の匂いで良い夢が見れた……」

 その大切な手紙は勿論”秘密の小部屋”に大切に保管済みだ。


 「あの手紙の内容からも分かる通り。師匠もあちらで励まれている御様子」

 ならば弟子である自分も負けてはいられませんな。

 今はこの地で修練を積み。

 必ずや師匠に相応しい我らの愛の巣を作ってみせましょうぞ。


 「さて、今日もその為の準備に着手するかな」

 待っていてね! 師匠!

 二人の愛を育める快適な環境を整えるからね!

 その為にも、この村を楽しく改造……違った。

 愉快に…じゃないな。

 …そう、あれだ。

 幸セニ満チタ村ニシヨウジャナイカ。

 うん。

 決して深い意味は無い。


 「だけど、どこまでやったっけ――」




 そして俺は過ぎ去った日々を思い出す。それは三ヶ月前の事だ。


 「師匠は必ず帰って来る。ならば、それまでに村を住みよい場所にしよう」

 このまま行っても、この村じゃ辺鄙な田舎の村で終わってしまいそうだ。


 海へと続く道としか思われないだろう。だが、俺はそうは思わない。むしろこの距離にあるのは僥倖だとさえ思える。前に師匠と海に行った俺だから分かる。もしも津波があったら海辺の漁村は飲み込まれるだろうな、と。


 「津波の恐ろしさは理解できるからね」

 前世で見た動画で、その凄まじさは理解している。

 あの自然の驚異を目の前にしたら用心し過ぎという言葉さえ足りなく思える。


 「そう考えたら村の災害対策をしないといけないよな」

 豊かさは伯父さんに任せよう。

 だから俺はそれ以外に手を付けるのだ。


 「幸い。この村は少し高台にある。今の所は津波の心配はいいだろう」

 だが、治水対策は少し手抜きだと言えるな。

 村の東の川が手付かずだ。

 人手が不足しているから手が回せないのだろうか。


 「それとも村から離れているから気にしないのかな?」

 この辺を伯父さんに聞いてみよう。

 そして、可能なら開発の許可をもらおう。

 俺には人手は無いが魔法と神代の力がある。



 そして思い立った俺の行動は早かった。伯父さんに開発の許可を願い東の川の改造…もとい、開発を開始したのだ。その理由には師匠とドッドを持ち出したのは言うまでもない。困った時の神頼みならぬ師匠頼みだ。魔法の訓練をする為に川を使いたい、と言い。そのついでに川を今以上に安全な物にするとも言い含めた。その為の監視役はドッドが適任だとも言った。どうせ川の近くに居るのだからと説得して許可を得ることに成功した。



 「そして川に来たわけだが……まずは調査から始めるか」

 何も知らずに、いきなり開発を進めるもんじゃない。

 何か有益な物が有るかもしれないのだ。

 それを探し出してからでも遅くはない。


 そこで川の中から調査するのだが、そのまま入れば濡れるのは当たり前だ。だが、俺には魔力がある。これを使わない手は無い。そして俺は魔力フィールドを使い俺の周りの水だけを取り除いたのだ。


 「俺が進む分だけ、水が避けて行くのが変な感じだな」

 猫型決戦兵器のひみつ道具みたいだな。

 もっともあちらは道具頼りだが、こちらは自力なので融通が利くからこちらに分がある。

 うむ。

 何を張り合っているのだろうか。


 「それよりも何があるか、を調べるか」

 それが重要な事なのだよ。

 確かこの川はラグア村のさらに北にある山から流れてきているとドッドは言っていた。なら何かが流れてきていてもおかしくはない。


 「そう例えば砂鉄とか、な……」

 その為に川底を探るのだよ。

 ただ川遊びをしてるんじゃないよ?

 だから、先程から魔力フィールドで金属の反応を探している。



 だけど、どうやら目的の物とは違う物が見つかったようだ。そう、山吹色に輝く砂が見つかったのだった。



 「これは……もしかして、もしかする? やっぱり、これって砂金だよな?」

 砂鉄を探していたら砂金が見つかりましたよ?

 川底のくぼんだ場所を探してたら砂金が出ましたよ!?


 「ふふふ。異世界でゴールドラッシュか……」

 だが、こちらでは掘る道具はいらない。

 魔力で抽出すればいいのだからな!



 そこからは俺の異世界ゴールドラッシュが始まった。川底を北から南まで隈無く洗い出したのだ。


 時に砂金探しをしていて気付いた事がある。金とは比重の重い物質で、その重さ故に流され難いくぼみか裂け目に溜まっているのだ。その他にも岩の下や水草の下になど溜まっていたりする。


 それらの発見を元に村の川底の砂金は全て回収する事が出来た。


 砂金溜りの探索は慎重に慎重を重ね行われた。そのせいで砂金の採掘は一週間に渡り続いた。一日に回収出来た砂金の重さは4~5キログラム程になった。大きさは大人の拳程はあるだろうか。そして最終日にはデカイ砂金溜りを見つける事が出来たのだ。その重さは12キログラムを超える重さになった。丁度あちらの世界で言う金塊ほどの重さだ。


 最終的な金の重さは45.44キログラムとなった。大きさは、おせちを入れる重箱ほどか。金色の重箱とか悪代官に喜ばれそうなおせちだな。正確な大きさは縦14センチ、横14センチ、高さが12センチと言った所か。


 ちなみに重さを把握できたのは”秘密の小部屋”のお陰である。収納の他に重さも量れる便利な事だ。



 「ふう。ついつい取りすぎてしまったな」

 最初は砂鉄を探すつもりが砂金を探し当ててしまったな。

 もちろん砂鉄も回収したさ。


 「これってどれくらいの価値があるんかな?」

 確か俺がこちらに来る前はグラムあたり四千三百円前後だったよな。

 それで計算すると……。

 げえっ!? 一億九千万五百万円にもなるのか!?

 そりゃテレビで特番するはずだ。

 景気よく放送してたもんな。

 晩飯を食べながら他人事の様に見てたけど。

 自分の目の前にあっても現実感が薄いぜ。


 「調子に乗って集めたのは良いけど。これ絶対に災いを呼ぶよな、師匠に相談するか」

 うむ。

 それまで俺の”秘密の小部屋”に保管して置こう。

 変わりに砂鉄を伯父さんに渡してしまおう。

 ドッド経由で伯父さんに渡せば良いかな。



 そして採掘出来る物を取り尽くしたので護岸工事に取り掛かることにした。その為の石材は村の中にある物も流用したのだ。それは畑を開墾する時に出た邪魔な石などだ。石は村の廃材置き場の近くに石垣の様に積み上げられていた。初めはその上に何かを建てるのかと思ったが。ただのゴミ扱いだったので運んで石材にする事にした。


 もちろん運搬には”秘密の小部屋”を使った。重さに関係なく大量に運ぶのに、これほど便利な能力も無いだろう。


 運んできた石は結合して板状にした。板状にした石材を川に沿って配置していくのだ。他にも川の中の石も使うのは忘れない。川底を深く掘り、周りを石材で固め、増水に備えた。


 そこまでで3週間と言う時間が呆気なく過ぎ去った。




 そして現在へと意識が戻り始める。


 「そうそう。確か三ヶ月前は治水工事に精を出してたんだ」

 それだけで一ヶ月が終わったんだよ。

 意外な大事業だったな。


 「終わったあとで伯父さんに見せたら、城壁でも築くのか? と言われたな」

 そこまで大げさな事してないよ。

 ……ないよな?


 「まあ新しい魔法の練習にもなったし良しとしよう」

 川底の砂利や砂が邪魔だったから圧縮したのだよ。


 「それで強い圧力を加えて石に加工してたな」

 空気も圧縮できるからと試してみたら出来たんだよな。

 あれが圧縮魔法の始まりだよ。


 「なかなかに実りある一ヶ月だった。その次の月は――」




 二ヶ月前の在りし日に思いを馳せる。それは護岸工事に区切りが着いた次の日。


 「クラウス。確かに許可は出したが、あれは少しやり過ぎだろう。他の村人に説明するのに苦労したぞ」

 「師匠から色々教わったから試してみたくなったの。ごめんなさい」

 「まあ、悪い事ではないし村人もあまり川に行かないから誰も困らないから良しとしよう」

 そう言えば工事してる間に人が殆んど来なかったよな。

 川で魚とか捕らないのかね? 聞いてみるか。


 「ねえ、伯父さん。なんで川で魚とか捕る人いないの? ずっと川に居たけど誰も来なかったよ」

 「それはね川魚が泥臭いから誰も捕らないんだよ。塩を振っても、香草を使っても臭いが取れないからね」

 「そうなんだ」

 はて? 泥抜きとかしないのか?

 それともやり方を知らないとか?


 「それよりもクラウス。他に何かする予定はあるかな? あるなら今の内に言うと良いぞ」

 「んー…。村の中に水を引くとか?」

 やってやれないことはない。


 「あれだけの事が出来るんだ。今更驚かいよ」

 「エルフの弟子だからね!」

 「はっはっは。一応この村の中だけなら通せる言い訳だな」

 やっぱり無理があるか。


 「まあ、魔法に秀でているエルフの弟子だから、で済ませられそうな気もする。それでも、やり過ぎない様に気を付けるんだぞ?」

 「はーい」

 それで通すのだから伯父さんも肝が太い。


 「それとは別にもう一つ言う事があったんだ」

 「何かな?」

 「川を調べていたらね。砂鉄が取れたんだ。ドッドさんに預けてあるから後で確かめてね」

 「それは本当か? クラウス!」

 「うん。本当だよ」

 「そうか、そうか。これは許可した甲斐があったな。なら、それは村の為に使うとしよう」

 どうぞ役立ててくださいな。

 まだ他にもあるからね!




 機嫌の良い村長から許可を得て、幼児による異世界村落の改造計画はまだまだ続く。

読んでくれて、ありがとうございます。


主人公の改造計画はどこまで行くんでしょうね。


漸く薬の影響が無くなって書く事が出来ました。

皆さんも薬の副作用には気を付けて下さいね。

身体に合わないと思ったら即座に使用を止めて、お医者様に相談しましょう。


それでは次回も会いましょう!

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