夢の中で見る悪夢。
腰まで伸びた金髪。
庇護欲が湧き起る稚い顔立ち。
白いワンピースにその身を包んだ姿。
人が作った? これを? どうやって。
もしかして俺の知らない間に人の技術は神を作るまでに至ったのか?
でも、それと俺がどう関係しているんだ? 一体何が…。
「おい! 呆けるでない。受け止めきれぬのも分かる。じゃがその為に我がお主に鍵を掛けたはず。正気に戻れ!」
「は? 鍵?」
「そうじゃおぬし転生等と言う事態にとんと気に病んだ素振りも無かったであろう?」
「そう言われれば…」
確かにテンション高すぎて何が何やらだったけど。
「それはじゃな人が本来持つ恐怖、後悔、良心。
そして一部の記憶これらに鍵を掛けさせてもらった。
恐怖は未知への恐れを喚起する。
後悔は境遇に悲観し嘆く事になる。
良心は、おぬしの為じゃ錯乱されても困るからの。
おぬしには、してもらわなければならん事がある。
これは一か八かの賭けじゃ。もはや燃え尽きるのみの我に残された、な」
「恐怖と後悔はなんとなく分かるけど良心は何故?」
「おぬし転生したということはじゃ別の誰かに生まれ変わった。そう言うことじゃろ?」
「あっ! たしかに…」
「それについては気に病むでない。元々死にそうだった種におぬしを植えつけたのじゃ。本来であれば死んでいた定めじゃ」
「なら最初に言ってくれてもよかったんじゃね?」
「おぬしがうるさいから。つい忘れてしもうた許せ」
あっさり流されたぜ。この幼女め。
「それと燃え尽きるってなんだよ。消えちゃうの?」
「厳密に言えば力を使い果たしそうな状態じゃな。そうなれば次起きるのに百年以上かかるかな」
「そりゃ気の長い話だな」
「他人事ではないぞ? 我が眠ればおぬしが大変なことになる」
「なんで?」
「忘れたのか? 鍵じゃよ鍵。掛けっぱなしで誰が解除するんじゃ? 恐怖も後悔もできぬ者など早々に野垂れ死ぬのがオチじゃ。人は少しくらい臆病な方が長生き出来る」
「鍵穴は内にあり。されど鍵も内にあると…」
「そう言う事じゃな」
「なに悠長なこと言ってんだよ!!! 今すぐ解いてくれ!」
「無理じゃな。力が残っておらぬ」
無責任な…これで神なのかよ。あっ…紛い物か。
「記憶の一部を鍵掛けたのは何でなんだ?」
「おぬし死の直前を覚えていたいか? 自虐的な病に侵された類か?」
ご配慮痛み入りますね。俺はむしろ攻めたい方だ!
「で? 俺に何かして欲しいから加護を与えたと」
「いや、おぬしに加護など無いぞ?」
「はぁ? なんで?」
「我が綺麗さっぱり。おぬしの加護を打ち砕いたからじゃ」
「どうゆうことだよ! なんでお前に打ち砕かれてんの? 俺の加護。そんなショボイ加護だったのかよ!」
頭抱えたくなってくるぜ。
「逆じゃ稀に見るありえん加護じゃった。あんな危険極まる加護を持って生まれるなどレア中のレアじゃぞ? あれは『逆転の秤』と言ってな。その名の通り不利な状況を逆転させる加護じゃ。独裁者などが持って生まれることがある」
「何でだろうね? まったく良い物に聞こえないのは」
「アレは凄いぞ? 一人の男のアジ演説で、国が動くくらいじゃからな」
「その人最後に自殺してますよね?」
「国が動くくらいじゃからな。命を代償にするのはしかたなかろう?」
やっぱ最悪な加護だ。打ち砕かれて良かった。
「…もしかするとこれも秤のせいか? あれは強い願いでも発動する。おぬし何か願わなかったか?」
「願い? 願いねぇ何かしたっけ…か…な?…モシカシテ…シテシマッタ…カモ?」
「何を願った。」
「エルフに会いたいって…願いました。しかも絶叫して…」
「それじゃ…馬鹿者め…。本来ならばありえんことが立て続けに起こった。我があの場所にいることも。製作者が我に目的を与えぬ事も。我との契約もじゃ」
「三時間に一回は願ってました…」
「もはや確定じゃ製作者は我を作りし後に事故にあっておる。その後近くのアパートに逃げ込んでおった。何やら身元が割ることを隠蔽しようと我を使用していたのは記録に残っておる。神を作り上げるなど災いを呼ぶにはうってつけじゃしな。最後の絶叫がトリガーとなって秤が発動し我との契約が果たされた後、掛金として命が支払われたということじゃな」
「ちょい待ち。製作者? 契約? いったい何のことだそれ」
「我は人が作りし神と言ったはずじゃ。なら作った者が居て。契約を交わし。目的を果たす。道理じゃろ?」
「そりゃそうだけど…そういえば何の神なのさ」
何の神様だろうか? そのまま幼女神? ロリコンに愛されそうな神だな。
「我は邪神じゃ」
『逆転の秤』欲しいような欲しくないような加護ですね。
今日は20時頃もう1話投稿しますね。




