星の意味。貨幣の価値。
お待たせしました。
貨幣の模様は様々ですね。人の横顔を刻んだ物から植物を描いた物まで様々です。あの一つ一つに色んな意味があるのでしょう。俺にはさっぱり分かりませんけどね! この異世界の貨幣にも意味があるんですかね? 俺の存在意味? そりゃエルフを妻にすることでしょう。早く師匠に会いたいものだ。
師匠と離れ30日目の平和な朝。
「おはよう。お母さん」
「おはよう。クラウス。もう少し待っててね。直ぐに朝食が出来るから」
「はーい」
平和な日々だ。
朝起きて美女が作る朝食を食べる。
悪くないね。
「おはようクラウス。朝食の前にちゃんと顔を洗ってくるんだよ」
「はい。お父さん」
まあ、その美女もダディーのものなんですけどね。
俺のハニーはまだ来ないのだろうか。
師匠に会いたい。
会って抱きしめて貰いたい。
あの山脈の中に埋もれていたい。
あの流線型ボディーに触れたい。
ハリと潤いに満ちた豊満なお胸様に抱かれたい。
だけど手で触れれば沈んでしまいそうな程に柔らかい…。
そして芳しい香りに包まれてまるでハライソに居るような……。
いかん、遺憾。
リビドーがトゥモローを迎える前に溢れそうだ。
顔を洗ってさっぱりしよう。
そうしよう。
「師匠は一ヶ月でって言ってたけど必ず来れるとも限らないからな」
途中で何かあれば遅れるかもしれない。
それまでに、この焦がれる衝動が悪さしないように抑えないとな!
うむ。冷たい水だ。
心が洗われるようだ。
実際は顔を洗ってるけどね!
性欲を洗い流した俺は代わりに三大欲求の一つ食欲を満たす事に従事した。
だが、それでも性欲は持て余す。
難儀な事だ。男の永遠の命題かもしれないね。
「今日も魔法の練習してくるね」
「あら。今日もカレンちゃんとアンネちゃんの二人と練習するの?」
「そうだよー」
他にも新しい能力の検証とかもね。
「じゃあ一緒に行きましょう」
「いいよー」
今日は物納の日かね?
よろしい朝の同伴ですな。
ご一緒しましょう。
そうしましょう。
その後マザーの準備が終わり一緒に村長宅まで向かった。
マザーといっしょ。である。
「お母さんと一緒~」
「ふふふ。クラウスとお出かけするのは久しぶりね」
「だねー」
いつ以来だろうか。
最近、慌ただしかったしな。
蚊の化け物を退治したり、悪夢を見たり、悪霊を退治したり、魔法の訓練をしたり。
心休まる時が無かった。
こうして母親との心温まるコミニュケーションも久しぶりである。
大切にしたい! この瞬間!
「あら? お家の前に馬車が止まってるわね」
「え? 本当だー」
伯父さんちの前に馬車が止まってるな。
あれかね? この前来た商人の馬車か?
それにしては質が良いと言うか。
要するに金かかってんな~的な。
もろ成金趣味と言いますか。
要するに悪趣味だな~的な。
ん? 人が出てくるな。
「それでは、我々はこれで失礼する」
「特に何も得るものは無かったな」
「ふん。所詮は田舎国家の田舎村だ。子爵様のご下命が無ければ態々我々が来る必要も無い。」
「で、あるな。はっははは」
なんか感じ悪いおっさん達だな。
あ、伯父さんが出てきた。
「私共の村は普通の村ですから。帝国の商家の方々には些か退屈でありましょう」
お? 今までに見たことない顔してるよ。
伯父さんの営業用の顔か?
「はっははは。謙遜するでない。貴殿の美しい妻を見れただけでも良しとしよう」
「お前も相変わらずだな。芯の強い女性を前にすると直ぐに見とれる」
なんだ? この太っちょは、ヴェラさんが好みなのか?
「ん? 村長殿。あそこに御座す見目麗しき御婦人は誰かね?」
なんだ? うちのマザーに何か用か?
「私の弟の妻です。そして隣にいるのがその息子で御座います」
うわー。笑顔なのに目が笑ってない。
ちょっと魔眼で視てみるか。
……。
……凄いアイスブルーです。
「ほほう。既に子供まで居るのか。とてもそうは見え無いものだな」
今、気付いた様な顔しやがって。
俺は眼中に無しですか。
こいつの魔力は黒混じりの汚いピンク色だな。
「はっははは。お前も人の事は言えんぞ。綺麗な女性を見るとすぐそれだ」
「ふん。貴様と一緒にするな。私はご挨拶しようと思っただけだ」
お前のその薄汚い魔力を視ると、とても挨拶だけとは思えないな。
その薄汚れた目でマザーを見るな。
しかし、この二人からは禍々しい物を感じるね。
何者なんだ?
「まあいい。そろそろ行こうか?」
「はっははは。で、あるな。それでは村長殿また会おう」
はっははは、二度と来るな?
そして太っちょと、いやらしい顔の男は馬車で帰って行った。
金のかかってそうな馬車で帰って行った。
馬車を操る御者も金かかってそうな格好だ。
「伯父さんおはよう。あの人達何者?」
「おはようございます。お義兄さん」
「おはよう二人とも。彼らは帝国の商人だよ。クラウス」
「そうなのですか? この村には何を求めてお越しになったのかしら」
「別に気にする必要は無いよディアさん。彼らの目的は辺境の村々の開拓の援助らしい」
「開拓の援助ですか。珍しいですね」
援助ねぇ。何か別の物を感じますぜ?
「それより今日は親子二人でお散歩かな?」
「ええ。ついでに何時もの品を持って来ました」
「そうか。それならどうぞ中へ入ってくれ。ヴェラも今なら忙しくないだろう」
「はい。お邪魔しますね」
「ん? クラウスは一緒に中に入らないのかい?」
「うん。カレンとアンネに用があるからね」
それと他にもね。
「そうか。二人は裏の方にいるかな」
「ねえ伯父さん」
「なんだい?」
「さっきの話は本当なの?」
どうも伯父さんの顔からは、そうは見え無いんだよね
「相変わらずクラウスは鋭いね」
「だって、あの二人はこの村に興味無さそうだったよ?」
「子供にも見抜かれるとは、やはりそうなのかな」
その呆れ顔からすると何かあるのかね?
「まあ、帝国の貴族から何か言われているんだろね。頻りに誰かの事を探っている感じだったよ」
「そうなんだ」
誰かを探ってる? 誰だ?
「それでもこの村の事では無さそうだったから気にする事は無いよ」
「はーい」
帝国の欲しい何かを探しているのだろうか。
「あ! クラウスにぃだ! おはよう!」
「おはよ、うっ!」
カレンよ。後ろからタックルするな!
「……兄さんおはよう」
「おはようアンネ…」
出来ればカレンを止めて欲しい。
「早くいこう! クラウスにぃ」
「……今日は何をするの?」
そして何時もの双子サンドか。
「なんだか三人を見てると嫌な気分も何処かへ消えてしまうね」
伯父さんよ。
確かに雰囲気は変わったさ。
俺の苦痛でな!
「今日はドッドの家に少し寄るから」
「「分かったわ。行きましょう」」
サラウンドで言わなくていいから。
幼児行進中。
「おはようドッド!」
「おう。来たかクラウス」
「見せたい物があるって昨日言ってたからね」
「ああ。遂に出来たからな!」
何が出来た?
「こいつを見てくれ。これをどう思う?」
「すごくきれー!」
「……綺麗ね」
「遂に出来たんだね。おめでとうドッド!」
「ああ。ありがとうクラウス」
そうか。遂に鏡が作れる様になったのか。
うんうん。歪みの少ない綺麗な鏡じゃないか。
「長かったぜ。クラウスに教わって幾度失敗を重ねた事か」
「最初は歪んでいたもんね」
1ヶ月そこそこで習得するとは、やるじゃないの。
「これでクラウスに頼りっぱなしになることはねぇぜ!」
「うん。これからは鏡作りはドッドに任せるね」
うむ。また一つ異世界に技術を継承できたな。
これで良い。
何も全て俺がやる必要は無い。
新しく何かを作ったら他の出来る人に任せる。
それでいいのだ。
「クラウスには何か報いてぇんだがな。何が良いか思いつかねぇ」
「別にいいのに」
「いや、それじゃあ俺の気がすまねぇ。だが今は持ち合わせがねぇんだよな金貨じゃ味気ねぇしな」
義理堅いと言うか何と言うか。
ん? 金貨?
「ドッドは金貨を持ってるの?」
「ん? ああ。大親方から餞別として貰ったやつだがな。なんだ? 見たいのか?」
「見たこと無いからね。見せてくれる?」
「いいぞ。なんなら一枚貰っとけ」
「それじゃあ貰っておこうかな。それで良いよ」
「そんな物でいいのか? クラウスが良いならそれでいいが…」
遠慮するなって顔だね。
でも十分ですよ。
どうせ俺が考えた物じゃないんだしね。
「今持ってくるから少し待っててくれ」
「はーい!」
さすがに仕事場には置いて無いか。
「クラウスにぃすごーい!」
「……金貨なんて見たこと無い」
カレンは意味が分かっているのかね?
アンネは分かってそうだけど。
「他の人には内緒だよ?」
「分かったわ!」
「……秘密」
子供が金貨持ってるなんて言わない方がいいしね。
悪い奴が寄ってきそうだからな。
まあ、俺は別の場所に隠せるからいいけどな!
早速あの能力が役に立つぜ。
「待たせたな。持って来たぜ」
革の袋に入ってるのね。
「こいつが金貨だ」
「けっこう重いね」
手の平に収まる大きさか。
金貨の模様は剣が3つに星が5つ? 何で星が5つなんだ?
「キラキラしてるわね!」
そうですねー。
「ドッド。なんで星が5つなの?」
「その星か。そいつはな帝国建国の功労者五人を表しているんだ」
「そうなの?」
「少し長いが聞くか?」
「うん。お願い」
ドッド曰く、帝国の五公を星として貨幣に刻んだ物らしい。帝国が泥沼の戦乱を治めたのは前に聞いたが、治めた後も大変だったとか。国土は荒れ果て、飢えに苦しむ民も多くいて、それなのに治める国土は広い。そこで皇帝は配下の4人に東西南北の公爵領を任せ。1人は自分の側近くに控えさせ国を立て直した。何だか聞いた感じだと社長の下に副社長が1人居てその下に常務が4人いる感じかな? 適当だがな。無理やり当て嵌めるとそうなる。だって4人には国の動向を決める権利が無さそうなんだもん。金貨も星が一つだけ上にあって他の4つはそれを下から支えてる様に見えるしね。
「ふ~ん。この模様にはそんな意味があるの」
「まあ昔の栄光だがな」
その口ぶりだと今は落ち目みたいじゃないですか。
「それじゃあ貰うね!」
クラウス君は金貨を手に入れた!
「他にも何か欲しかったら教えろよ。そんな物じゃ足りねぇからな」
いやいや。
この世界の貨幣の意味が分かっただけでも十分ですよ。
「クラウスにぃ! 早くいこう!」
「分かったよカレン」
君はどうせあれだろ水遊びがしたいんだろ。
昨日ので味をしめたな?
「それじゃまたね。ドッド」
「おう。またな!」
子供をあやすのも大変だぜ。
俺も子供の筈なんだけどね!
その後やっぱり魔法の練習もそこそこに水遊びに興じた。だけど今日は少し趣が違った。俺の操る水の玉をカレンとアンネが魔法で退けたりしたのだ。当たる瞬間に風で横に流したり、水の玉で水の玉を迎撃したり、最後には射的になってしまった。それでも、これも魔法の練習になるだろう。多分。
「今日も楽しかったわ!」
「……またやってみたい」
楽しんでもらえたようで何よりだ。
俺も魔力操作の練習になったよ。
「お昼だから一旦帰ろうか」
「うん!」
「……一緒に帰る」
はいはい。
お手々繋いで帰りましょうね。
そして帰り道で待ちわびた人と再会を果たす事になる。
読んでくれて、ありがとうございます。
難産でした。
最初、出来上がったんですけどね。
コレジャナイ感が出て急遽書き直しました。
お陰でこんなに遅くなって……。
それでは、次回は久々のあの人の登場です。




