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戦いの報酬は?

お待たせしました

 難問をクリアーしたら成功報酬を貰える。現実でもゲームでもどちらも嬉しい物ですよね。良い物を貰えたら小踊りしてしまいます。でも、思った物と違った場合の落胆は心に来る物があります。果たして俺の貰える成功報酬は何なのでしょうか。




 ……身体が何か温かい物に包まれている。


 「ん……」

 なんだ? 腕が動かないぞ? 両腕とも?

 足は、……足も動かないだと?


 「目も…目も見えない。どう言う事だ?」

 何が起こったと言うのだ。

 俺は戦いに勝利した筈だ。

 まさか勝利の余韻に浸る隙を突かれた?


 「馬鹿な……」

 それでは、この状況は死後の世界だとでも言うのか?

 そんな筈はない!

 俺は勝利して師匠を迎えるんだ!

 だから、これは夢だ。


 「夢なら覚めてくれ!」

 頼む!!


 「ところがどっこい夢じゃないわよ。現実だから」

 「誰?」

 なんか聞き覚えある声だな。


 「目覚めたばかりで分からないの?」

 「うん」

 ちっとも、さっぱり分かりません。


 「私の事も?」

 「そう」

 なんせ見えないからね。


 「貴方の両側に居る子達の姉なんだけど?」

 「へ? 両側?」

 なんの事だ? 俺は今、手足を封じられて動けないのよ?

 ってか姉? ……まさか。


 「ティアナお姉ちゃん?」

 「当たり。貴方の従姉弟のティアナ姉さんよ?」

 と、言うことは…だ。

 俺の手足を封じて居るのは……双子?


 「ああ。これじゃ見えないわね。今取って上げるわ」

 「んん…。眩しい」

 目隠しが取れた?



 そして俺の目にした物は、俺を両側から拘束する双子の姉妹だった。ご丁寧に腕に腕を絡ませて、足に足を絡ませて、俺の自由を奪っていたのだ。目が見えなかったのは、どうやら頭を冷やす布が目を覆っていただけらしい。



 「あ、ティアナお姉ちゃんだ」

 「よく眠れ……てはいなさそうね」

 「うん。動けないし、暑いよ」

 何故に俺は拘束されているのでしょうか?


 「明日の朝まで我慢しなさい。私を驚かせた罰よ」

 「なんでさ?」

 訳分からん。


 「貴方ね。倒れたまま運ばれて来たのよ? 分かる?」

 「へ? 倒れた? 僕が?」

 「そう」

 うへ。怖い顔だ。


 「もしかしてドッドが運んでくれたの?」

 「そうよ。まったく呆れて物も言えないわ」

 なんだ? 何があった?

 もしかして、バレてしまったのか!?


 「……バレちゃった?」

 「バレた? じゃないわよ。貴方ね……」

 ひいぃ更に怖い顔に。

 一体何を言ったんだドッド!


 「虫を集めるのに夢中で遊びすぎて倒れたとか何を考えているのよ!! 今日みたいな暑い日に外で出歩いてたら倒れもするでしょう! 本当にお馬鹿なんだから!」

 「へ?」

 何だそれ?

 あっ! アレかあの言い訳か。

 あーびっくりした。


 「へ? じゃないわよ! 反省しなさい!」

 「はい! 反省します! ごめんなさい!」

 「まったく。こんな事で叔父さんや叔母様に心配かけたら承知しないんだから。機転を利かせてくれたドワーフに感謝しなさい」

 まだ何かあるのか?


 「クラウスが家に泊まる事を言いに行ってくれたのよ? それにもう一度家に来て様子も見ていったんだから」

 「そうなんだ」

 事後処理を押し付けてしまったか。

 すまんドッド。


 「今回の事は自分が付いていながらすまなかったって、頭を下げていったのよ? 後でお礼言いなさいね?」

 「はーい」

 ありがとう、友よ。

 このお礼は必ずする。

 もちろん精神的にもね。


 「それじゃ大人しく寝なさい」

 「ええぇ。カレンとアンネは、このままなの?」

 二人を離して! 私をお外に解き放って!


 「いいじゃな。普通の男の子から見ればご褒美じゃないの。二人も心配してたんだから朝までそうしてなさい」

 「はーい」

 双子も心配していたのか。

 それじゃあしょうがないな。

 まあ、戦いの報酬としては物足りないけどね。

 甘んじて受け入れましょう。


 「朝には起しにくるからね。お休みなさい」

 「おやすみ」

 寝苦しいけど今は疲れを癒す為に眠ろう。

 魔力も半分くらい回復してるしな。



 さあ眠ろう。少し疲れたし戦士には休息が必要なのだ。

 そして俺は眠りに就いた。




 ――――………・………――――




 目蓋に微かな光が射す。どうやら眠れたようだ。双子に子泣き爺の様にしがみ憑かれていたから寝れないと思ったけど、どうやら眠れたようだ。なら、そろそろ目を覚ますか。


 「ん……あれ? まだ動けない」

 双子に掴まれているのか?


 「おはよう。目が覚めたようね」

 「あっ。おはよう! ティアナお姉ちゃん」

 あれ? 笑顔だ。

 機嫌が直ったのかな?


 「まったく。今まで寝てたなんて寝坊助さんね」

 「お姉ちゃんが起こしてくれるって言ってたじゃない」

 あれ? 何か変だ? 何が変だ?

 ん? ……あれ? 何でティアナの口が開いてないのに声がしたんだ?


 「起こしたわよ。それでも眠りこけていたんじゃない」

 「え…」

 おかしい。

 ティアナに人の気配がしない。

 まるで人形の様だ。


 「それなのに貴方と来たら女の子を侍らせて、世話を焼かれて、鼻の下を伸ばしていたんでしょう?」

 「お前、誰だ!」

 ん!? 双子もまるで石の様に動かない!?

 いったい何があったんだ!

 くそ! 魔眼で視てやる!


 「え…何も視え無い」

 「何をそんなに慌てているのかしら?」

 こりゃいよいよ持って尋常じゃないぞ。

 まさか、邪神の眷族にやられたのか!?


 「ふふふ。落ち着きなさい」

 「ぐっ」

 ティアナの影に誰か居る?

 ちくしょう! 正体を表せ!



 募る焦燥感が俺の心を押しつぶす様だ。それでも時間は止まること無く物語を押し流す。そしてティアナの影から徐々に姿を表すのは……。



 「何をそんなに焦っておるのじゃ? 我じゃ。我を忘れたのか? この薄情者め」




 ちんまい幼女神でした。




 「あ、ああ、あ」

 「ん? あっ、がなんなのじゃ?」

 「焦らせんな馬鹿野郎!!」

 びびって漏らすかと思ったわ!!!


 「なんじゃその物言いわ! せっかく我が起きてやったと言うのに!」

 「そんなの知るか!」

 お呼びじゃないのよ貴女は!


 「それに何だ。この有様は!」

 そのまま伯父さんちの客間じゃないか。


 「ん? これか? これはお主の近況を映し出したに過ぎん。意味は無い。いや、あるか」

 「はあ?」

 無いアルどっちなのよ。

 それと悪趣味じゃないですかね?


 「だいたい我の下僕の癖に何を女性と同衾などしておるのだ? いつからそんな男になった? 我はそんな風にした覚えは無いぞ? お主は罰を受ける準備はあるのか?」

 「下僕になった覚えはありませんけどね! あとコイツらは従兄妹だから! いつからって知らないしお前に育てられた覚えはない! それと最後のは冤罪じゃないですかね!?」

 この幼女は何を言っているのかと?


 「どちらにしろ侍らせていたのは変わらんじゃろ」

 「俺の話を聞け。少しだけでも良いから」

 神は理不尽でいかん。


 「せっかちな奴じゃな」

 「貴女程ではないですよ。いきなり起きてるし」

 「お主が魂を規定値まで貯めたから起きたんじゃろうが」

 は? まだ99までしか貯まってないだろ?


 「む? なんじゃその顔は」

 「悪うござんしたね。生まれつきですよ!」

 「そうではない。気付いておらんのか?」

 「何を?」

 「お主が……いや、良い。論より証拠じゃ。これを見よ」



 そう言って幼女神の手が向けられた虚空の先には何かの文字が羅列されていた。



 「なにこれ?」

 「お主が集めた魂の履歴じゃ。どこでどの様に手に入れたかが分かる仕組みじゃ」

 「これが? へぇ~便利だな」

 流石は神だな。


 「これによると……なんじゃ? お主は魔物と戦ったのか?」

 「おう。倒したぜ」

 「お主は馬鹿か?」

 「馬鹿とは酷い言い草じゃないですかね?」

 「馬鹿でないなら阿呆じゃな。下手をしておれば死んでいたのじゃぞ? 見よ。この魔物は九十八人も殺しておるではないか。倒せたから良かった物の。お主も死人の仲間入りをするとこじゃったのだぞ?」

 なんだって? 98人も殺されてたのか?


 「そんなに殺していたのか?」

 「そうじゃ。被害に遭った者達は……。早朝に起きていた老人。それに夜遅くに逢引しておった男女。それと旅人と行商人が数人か。家畜の牛や鶏はついでじゃな。その他にも大勢じゃ。とある村の半分を殺しておったのじゃな」

 吸いも吸った98人も刺殺したのか。

 恐ろしい蚊だったな。


 「殺されて魂までも吸い取られておったのじゃろうな。そこをお主が倒したお陰で開放されたのじゃ。まあ、我に捧げられたのじゃがな。蚊の化け物よりは良いじゃろう。我が神としてこの世界に君臨できれば。また人として世に送ろう」

 「なるほどね。だから魂が九十九も集まってたのか。あれ? それなら足りなくね?」

 あと一つ足りてませんがな。


 「足りないのはお主の頭じゃろう。徳が規定値まで貯まれば魂一つ分になるんじゃよ」

 「そういうのは早く言ってくれよ」

 玄人設定は勘弁してくれ。

 昔のゲームじゃないんだからさ。


 「さて、これで理解出来たじゃろ? そろそろ封印を解いて授けるものを授けたいんじゃがな」

 「へ? なんだっけ?」

 「お主は本当におめでたい頭をしておるな。封印を一つといたら力を授けると言ったじゃろう」

 あ、忘れてた。


 「はっはー。わっちに何をお授けなさるんでげしょ」

 「……相変わらず訳の分からん謙り方をする奴じゃなお主は…」

 身に染み付いた悲しいSA・GAなのだよ。


 「まあ良い。それではお主に鍵を一つと能力を選べる権利をやろう」

 「おお! 何が貰えるんですかね!?」

 「お主に授ける能力。それは此等じゃ」





 そう言って幼女神は大仰に手を振ったのだった。

読んでくれて、ありがとうございます。


いったい何が貰えるのでしょうか。

予想するのも楽しいと思います。


まさか当たる事は無いだろう…多分。


それでは次回も会いましょう!

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