表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/97

真夏の日の吸血鬼退治。その4

お待たせしました。

 夏になると蚊を退治する事に何かの達成感を感じたりしませんか? 憎い血吸い虫を纏めて退治するも良し。文明の利器で一網打尽にせずに1匹づつ手で挟むも良し。退治したら綺麗に手を洗いましょう。色んな方法がありますね。でも近づいて倒すのは纏わり付かれて厄介ですね。刺されます。こちらの蚊は刺されたら終わりです。まさに異世界の夏。緊張の夏です。




 師匠と離れ20日目の天の陽が真上に向けて昇ろうとする頃。



 「村の南東の林には、殆んど居なかったな」

 やっぱり西側が多いな。

 居ても4、5匹か多くて7匹だ。

 とてもじゃないが徳の値が貯まりそうにない。

 まあ今は、それは良いんですけどね!


 「人が少ないしな。問題は、これから行く畑の辺りか」

 今も村人が農作業に励んでいる頃だろう。

 やっぱり人の数を調べるから多いんだろうな。

 ここからが本番だな。

 今はまだ仮の段階だ。


 「狩りの本番。生と死を賭けた本番! 略して生本番だぜ!」

 他意は無い。

 無いったら無い。

 大事な事なので2度確認した。



 そして畑に向けて移動したのだが、蚊はいやらしく分散していた。



 「うへ。もう魔力が五割切ったぞ」

 間隔を空けて配置するとか、やってくれるね!

 トータルじゃ70匹くらい倒してるのに、連続で倒してないから、ひとつも徳が貯まりゃしない。

 地味な嫌がらせありがとうございます!

 くそめ!


 「あら? こんな処で何してるの? クラウス」

 「あっおはよう。お姉ちゃん」

 あんたこそなんでいるのかね? ティアナ君。


 「見たところ鞄を下げて散歩かしら? 今の内に遊んでなさい。十歳になったら何かしら手伝わされるんだから」

 「はーい」

 10歳から村の手伝いに駆り出されるのね。

 12歳のティアナは2年前から手伝いをしてるのか。

 感心、感心。


 「あら。汗をかいてるじゃない。拭いて上げるから動かないのよ」

 「うん」

 すまないねぇ。

 おや? ティアナの後ろの方に馬鹿二人組が見えるね。

 うん? なんで少しづつこっちに近づいてくるのかね?


 「な、なあ。」

 「何ようるさいわね。今忙しいんだから声かけないでよ」

 取り付く島もないようだね。


 「俺達もさぁ。汗、かいてるんだよね」

 「だから何よ? 汗かいたら拭けば良いじゃない。首から下げてるのは何? 飾りなの?」

 「いや、だからさ」

 なんだこいつら? もしかしてティアナに拭いてもらいたいとかか?

 大きな子供か? それくらい自分でしなさい。

 俺? 俺は大きな大人が入った幼児です。


 「ごらあぁ!! お前ら! 遊んでねーで早く働け!!」

 「ひっ!」

 「やべ、またどやされる! 逃げろ!!」

 そして逃げる馬鹿が二人。

 懲りない奴らだね。


 「いでぇ!?」

 「わっ馬鹿! 何してんだよ!?」

 あっ芋の入った籠を倒してら。


 「ごらぁああ!! 何してんだ!! 大事な芋さ傷つけたら承知しねーぞ!」

 怒り易いオジさんが激怒しちゃったよ。

 逃げると余計怒られるだけなのに…。


 「やっぱり馬鹿ばっかね。クラウスは、ああは成るんじゃないわよ」

 「うん」

 所詮、男は小さい内は獣と一緒です。

 学習能力が足らんのです。

 それじゃあ大きくなったら?

 下半身が獣になります…ん!?


 「まったく。大事な芋さ放ったらかしで逃げやがって、あとで絞めてやる」

 「僕も手伝うよ!」

 「お? 小さいのに感心だなぁ」

 あぶねー、あぶねー。

 籠の影から蚊が出てきやがった。

 1匹確保!


 「おらだのチッサイ頃はなぁ。言われんでも素直に手伝ったもんだ」

 また1匹! オジさんの首元!


 「お前もあんなしょうもない餓鬼になるんじゃねーぞ」

 「はーい」

 また1匹! 今度はオジさんの足元!


 「偉いわよ。クラウス。流石は叔父さんの子供ね。従姉弟として鼻が高いわ」

 そんなティアナの左腕の近くにも1匹!


 「そうかぁ。村長さんとこの親戚の子かぁ。そんなら納得だな」

 どういたしましての1匹! オジさんの股ぐらかよ。

 ついでにティアナの左肩にも1匹!


 「はい。これで最後だよ」

 「お、あんがとよ」

 そしてオジさんの頭頂部に1匹。

 それにしても、オジさんに多く群がったな。

 興奮したからか?


 「どら。穀物庫に運ぶべ」

 「いってらっしゃい」

 もう、そこは安全ですよー。

 どれ、他に居ないか索敵だ。


 「うん。もう、いないね」

 「そうね。芋は全部入れたわね」

 いや、蚊の話なんですけどね。


 「さてと、私も次の仕事しなきゃいけないわ」

 「何のお仕事?」

 「働いた後の汗を拭いた布を集めるの。纏めて綺麗にした方がいいでしょ?」

 なるほどねー合理的だ。

 ……ん!


 「誰が綺麗にするの?」

 「そりゃ大人が綺麗にするわよ。私達じゃ魔力が足りないし」

 「それなら僕に任せてよ!」

 「クラウスに?」

 正確には俺じゃないけどね!


 「うん。今ドッドと一緒に村の中を回ってるの。ドッドは魔力が多いでしょ? 今は少し暇だから僕から頼めば布を綺麗にしてくれるよ!」

 「あら。そうなの? それじゃあ、お願いしようかしら」

 是非そうしてください。


 「それじゃあ後で家までいらっしゃい。待ってるわね」

 「はーい!」

 おっとティアナのお尻の辺りに最後の1匹。

 見えていなかったのね。

 これが魔眼の弱点だ。



 そう、魔眼は魔力を視認出来る。だが大きな魔力に隠れていると見え難い。包まれたら判別出来ない。だから魔眼にばかり頼っていると、いざと言う時に見落としてしまう。便利だからと魔眼に頼りすぎるのも問題なのだ。



 「さて、これで敵を誘き寄せる道具が手に入りそうだな」

 これで何とかなるな。


 「しかし何か忘れてるよーな……」

 はて? なんだろね?

 とても大事だけど、それらはどうでも良い者だったよーな。

 オジさんに関係してた気がする。


 「あ゛っ。馬鹿二人組だ。アイツらだ」

 怒られると思って今も走っているよな。

 だとすると、アイツらに蚊が群がる恐れがある。

 しかも引き連れて行くかもしれん。

 うっわっ最悪だ。

 アイツら自体は正直どうでも良い。

 だけど向かった先が人の多い処だったら話は違う。


 「まったく面倒ばかりかける二人だぜ!」

 直ぐに走って追いかけよう。



 そして二人組を追いかけたのだが、案の定アイツらの逃げた方向には蚊が1匹も居なかった。二人の吐く二酸化炭素と汗に誘われて、アイツらを追いかけて行ったみたいだ。希に居る蚊を倒しながら蚊の居ない方に向けて俺は走った。



 「あ、アイツら。何処まで、走るつもり、だ。幼児を走らせるなよ、な」

 師匠の為なら走るが、アイツらの為には走りたくは無い!

 走れクラウス。と言われても断固拒否する。

 このクラウス、馬鹿の頼みを断る事に躊躇は無い!


 「しっかし何処に居るんだ? もう、ここら辺は人が居ないぞ?」

 ここら辺は村の南西だ。

 あとは俺の家くらいだぞ?

 …うん? 何故か嫌な予感がする。



 俺の予感は悪い方向に向けては抜群の感知精度を誇るようだ。それともアイツらの行動が予測不能なのか。



 「ハッハッハ。なんだっけ? こんな時に言いたくなる言葉があるよね」

 とても有名な言葉だ。


 「アイツらの場合に限って、常に最悪のケースを想定しよう。アイツらは必ずその少し斜め上を行くからな!!」

 確かダディは伯父さんの家に薬草の在庫を調べに行ったよな?

 うん。それは良いんだ。

 だけどな?


 「俺の家が……俺の家が! 蚊地場だ!!」

 確か家にマザーが残っていたよな!?

 どーすんのコレ!

 俺の家の周りが蚊に群がられて炎上してましたってか? これが本当の蚊地場だってか?

 あの馬鹿二人組やってくれるぜ!





 そう、我が家に辿り着いたら蚊の大群に遭遇してしまったのだ。

 俺に残された3割の魔力で何処までやれるのだろうか。

読んでくれて、ありがとうございます。


余計な行動で事態を悪化させる人って居ますよね。

周りをよく見て行動しましょう。

虫退治は次で終わるかな?


それでは次回も会いましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ