真夏の日の吸血鬼退治。その3
お待たせしました。
良かれと思い近道をする事ありいますよね。でも、まさか敵に遭遇するとは思いもしなかった。ショートカットして落とし穴に落ちた気分です。でも、転んでもタダでは起きない。それが人間の逞しさです。それでも、神の用意した罠は見抜けなかった。くそ幼女神め。
師匠と離れ20日目の朝。陽の光が少し強くなりだした頃。
「真っ直ぐ行けばドッドの家だってのに厄介な処に蚊が居るな」
北の道なりに行かずにショートカットしたのが間違いだったか?
蚊が穀物庫の小屋に群がっているよ。
しかも、ご丁寧に日陰にだ。
高床式だから下の方に固まって居るな。
「見つけてしまったからには駆除しなきゃいけないよな」
日陰を求めて村人が来るかもしれない。
どうせ全滅させるんだ。
ヤッチマウカ!
そして俺の穀物庫の下の戦争が始まった。今度の奴らは柱を利用して器用に逃げ回る。だが俺も慣れたもので次々に撃ち落として行った。時に、下に逃げる者と、左右に分かれる者を左右にソフトボール大の真空球を出して包み込み。そのまま下に躱す者を作り出した真空球で挟撃して一つのバレーボール大の真空球にして包んだ。秘技、真空Vの字アタック! これで15匹を仕留めた。中々に統率の取れた編隊であったが俺の敵ではない。だが、敵もさるもの引っ掻くもの敵わないと見ると逃げの一手に出て時間を浪費させられた。最終的に59匹を倒した所でゲームセットと相成った。
「つ、疲れた。あー汗かいたよ」
上に圧迫感があるから余計に疲れたね。
少し水を飲んで休むか。
戦士の休息である。
その時、左腕で汗を拭った時ふと目に入ったのは神の石だった。
石は何故か光っていた。
「なんだ? 石が光ってる?」
暗がりだから気付けたな見てみるか。
なになに…。
魂[001/100]
徳[0050/1000]+15
▽
「あれ? 徳の値が増えてる?」
何でだ? 原因が分からぬ。
最近、何かしたっけ?
うん? 下に向いた三角の矢印があるな。
「押してみるか何か分かるだろ」
ポチッとな。
そして、そこには履歴が載っていたのだ。
魂[001/100]
徳[0050/1000]+15
+5P
COMBO BONUS +1+2+3+4P
合計15P
+4P
COMBO BONUS +1+2+3P
合計10P
+5P
COMBO BONUS +1+2+3+4P
合計15P
△
「はあ?」
なんだこれ? ゲームか何かか?
うん。面白いよ? こ・ん・な・状況じゃなければなっ!!!
あの幼女神め! こんな処に茶目っ気だしてどうするのかと!?
まあ、俺が言い出した事だし一先ず置いておこう。
だが、デジタル表示と言ったのにゲーム要素も追加するとは侮れぬ神だ。
神々の遊び、も大概にしてほしい。
「なんだかドット疲れた気分だ」
だけど、この数値はどんなカウントの仕方なんだ?
多分、蚊を退治したのに応じてカウントされてるんだろうな。
んー? 2桁までカウントされて1桁は対象外か?
そうとしか思えん。
「コンボボーナスってなによ?」
1回の戦闘で倒した数の2桁刻みで加算されるのか?
10匹倒しても1ポイントで、20匹倒して初めて1ポイント加算されるとか?
はっはっはっ。
面白いこって、どうせなら芸術点も付けて欲しいところだぜ!
馬鹿か!?
「む!? 羽音がする」
そこか!
「ふう。危なかったぜ」
どこからか1匹だけ偵察に来たみたいだ。
「どれ今ので何か変化あるかな?」
と思ったけど何も変わってはいないな。
やはり2桁刻みでカウントされるんだな。
今ので60匹倒したハズなのに連続して倒してないからか加算されない模様。
また、つまらぬ蚊を撃ってしまった。
どうせなら加算されろよな!
変な愚痴を零しながら俺は少し休み。そしてドッドの家へと向かった。
「おはよー。ドッドいる?」
「おう! いるぞ、って何だか疲れた様子だな? クラウス」
もう、ゴールしてもいいよね?
とはいかないんだろうな。
「あのね。今、大変な事になってるの村の一大事なの」
「なんだか分からねぇが、水でも飲んで少し落ち着け」
「ありがとう。でも、ここに来る前に少し飲んだからいいよ。代わりに水筒に入れさせて」
「ああ。構わねぇよ」
それでは水を入れさせてもらおう。
「それで、一大事とは何なんだ? 話してみろ」
「実はね――――」
そして俺は事の顛末を話した。清々しい早朝に蚊を見つけた事。やけに数が多く不審に思い調べた事。調べてみたら気味の悪い魔力を感じて、それに触れた瞬間感じた事。蚊の習性は省いたが、邪神の眷族の血肉で育ち人を襲う習性を持っている事。その蚊の化け物が尖兵を村に放っている事。その危険性を伝えられるだけ伝えた。
「ふむ……。そいつが本当なら、この村は滅ぶな」
「うん。だから、そうならない様にドッドに協力してもらいたいんだ」
苦渋に満ちた顔でドッドは悩んでいるな。
無理もない。
守る対象を避難させれば途端に襲われるかもしれないんだからな。
「クラウスには何か考えがあるのか? 俺としては、その森を焼いちまうってのも手だとは思うが」
焼き討ちか。最悪それも已む無しだな。
だが下手を打つと、ここら辺まで延焼しかねん。
「出来れば、それは最後にしたいかな。森が無くなると村の再建が難しくなるかもしれないしね」
それだけは避けたい。
師匠の帰りを待つ場所は失いたくない。
「そうなると虱潰しにするしかねぇな。魔法で一匹づつ始末するしかねぇぞ?」
「うん。それでも良いけど最後に親玉を誘き寄せたい場所があるんだ」
「ほう。そいつは何処だ?」
イビルモスキートを倒す場所それは……。
「村の西側。その林の手前だよ。丁度ドッドの家と反対にある場所だよ」
「俺の家の反対か。なら近くに畑がある辺りか」
そう、畑の手前にある空き地だ。
その近くに家もあるけど、そこも利用させてもらう。
「分かった! 早速行こうじゃねぇか!!」
「うん。それと嫌な感じの魔力だからね? それを辿ると蚊がいるから」
「おう。任せろ」
「それともう一つ」
「なんだ?」
適当な言い訳も付けとかないとね。
「僕に言われて珍しい虫を探してるって事で、ドッドには北回りで村の中にいる蚊を退治して欲しいんだ」
「なるほど。それなら別に怪しまれねぇな。分かった」
気の良いドワーフが面倒を見てくれていると映るだろう。
「それじゃあ行こうか!」
「おう!」
ふたりぼっちの戦争の始まりだ!
そして俺達は北回りと南回りに別れた。
読んでくれて、ありがとうございます。
昨日、書いている最中に部屋に虫が入り込んで来ました。
もちろん撃退済みです。
そろそろそんな時期ですね。
みなさんもお気を付け下さい。
それでは次回も会いましょう。




