真夏の日の吸血鬼退治。その2
お待たせしました。
朝起きたら、いきなりパニック映画さながらの事態に巻き込まれたら。貴方ならどうしますか? 寝起きの部屋にゾンビが押し込んで来たり。外に出たら大群の鳥に頭をつつかれたり。巨大ミミズに地中から襲われたり。倒したら臭かったり…。殺人ゴ○ブ○なんて怖い映画もありますね。コン○ームに襲われるB級映画もあったな。それはいいとして、とにかく逃げるっと言う人も居るでしょう。別に間違ってはいません。戦うだけじゃない選択肢もあります。でも、私は守る物があるので戦います。そして私の戦う相手は……巨大な蚊です。血ぃ吸うたろか?
師匠と離れ20日の朝。俺は村の中を歩きながら対策を練っていた。
「奴等の生態は普通の蚊と同じだよな。なら…」
日中の暑い時間は動かない。
活動時間は夕方から早朝にかけてだ。
奴等が人に近づくのは、二酸化炭素が原因と言われているけど。確か汗も関係していたはずだ。それなら村人に野良仕事の後は水に浸した布でよく身体を拭くように言えば良いな。特に女性はホルモンの分泌か何かで刺されやすい人と、刺され難い人が居るとか言ってたかな。これは師匠の教えと言う事にして伯父さんから村人に周知してもらおう。
「村人はどうする? 逃がすか?」
だが下手に騒ぎを大きくしたら村人が余計に興奮して、呼吸が荒くなり二酸化炭素や汗の発汗でイビルモスキートを刺激しかねない。
そうなると逃げると判断して即座に配下に襲わせるんじゃないか?
もし、そうなったら村中に守る対象が増えて終わりだ。
そしたら守る事も出来なくなる。
奴等の本当の脅威を知ってるのは俺だけなんだ。
「でも、それだと下手に協力者も作れないな」
子供の戯言と取り合わないかもしれないし。証拠の無い物を証明する時間も惜しい。
時間を無駄にしたらイビルモスキートが村人の数を把握して夕暮れに紛れて順次襲いかねない。
「せめて誰か無条件で信用してくれる人は……」
ダディやマザーは駄目だ。俺が危険な物に近づくとなったら取り押さえられるかもしれない。伯父さんは……確かに、この村の責任者だけど。それだけに責任が伴う行動が要求される人だ。不確かな証言で動いては貰えない。女性にも協力は求められない。ヴェラさんやティアナ、双子も同じだ。女性に危険な事はさせられない。テオ……は無理だな意思疎通が図れる気がしない。今だに何を考えてるかさっぱりだ。それに子供だしな。……まあ、俺も子供だけどな。
「そうなると消去法でドッドになる訳か」
俺の異世界での初めての友達だ。
子供の戯言と言わずに信じてくれるだろう。
「よし。行動予定は決まった」
まず、今から向かうのは伯父さんの家だ。そこで村人に汗を拭く事を周知して貰うんだ。
それからドッドの元へ行って事態を話し協力を仰ごう。
「次は装備の確認だな」
俺の今の装備はこれだな。
・鉄のステッキ。
・肩からかける革の鞄。
・エルフ印のお塩。(箱入り)
・竹の水筒。(水入り)
・銅の塊。
・細長い杭2本。(木製)
鉄のステッキは、もしもイビルモスキートを見つけた場合に木の杭で狙撃する為だ。杭が2本しか無いのは、これ以上は鞄に入りきらないからだ。竹の水筒は移動中に適度に水を飲まないと俺が疲れるからだ。銅の塊は、前世の知識で銅のイオンがボウフラに有効だとか覚えていたから持って来た。
エルフ印のお塩は……。師匠を感じる事のできる物がこれだったから持って来た。それに塩を舐めるとミネラルを摂取出来るしな! 一石二鳥だぜ! 師匠ありがとう。
「能力の確認もしておくか」
俺の今の技能か…。
1.魔眼で魔力視認。
2.魔力フィールド展開。
3.鉱石の錬成。
4.魔力付与。
5.四元素魔法。
6.暗視魔法。
7.除菌&浄化魔法。
8.光学迷彩魔法。
9.望遠魔法。
10.気配消失。
この能力だけで何処まで対処出来るだろうか?
だが、やるしかない。
今持てる全てを駆使して対処に当たるしかないんだ。
「む!? 羽音か」
ちぃ! 近くに居たのか!?
魔眼発動!
「…居るわ居るわ。木の影。草むら。日陰になる場所に固まってやがる」
隠れて潜んでいるんだろう。
だがな? 奴等の魔力は俺の目にはしっかりと視えてるぜ!
魔眼の射程が伸びたからな!
そう、俺の魔力量に応じて魔眼の射程が伸びたんだ。初めの頃は、精々1mから2mといった具合だった。今では10mから12mまで魔眼の射程が伸びた。神に貰ったチートは自身の魔力量に応じて効果が上がるらしい。何時、その事に気付いたのか? それは前にテオを調査している時に気付いたのだ。そして望遠の魔法でも効果の底上げが可能だった。これにより魔眼の射程は飛躍的に上がったのだ。まあ弱点もあるけどね。
「っと、今は物思いにふける場合じゃないな」
まずは、近くの草むらに潜む蚊の駆除と行きますか。
そして俺は、村長宅に向かう途中で影に潜む暗殺者達を葬って行った。
やり方は草ごと真空球に閉じ込めて窒息死させて倒した。
そのせいで少し草が萎れたが、すぐ回復するだろう。
それでも、まだ30から40匹程しか倒せていない。
この分だと村全体には、かなりの数が潜んでいるだろう。
「さて、伯父さんにはどう説明したものか」
確か汗は老廃物とミネラルだったかな。
ならアレで説明するか。
「おはよう! 伯父さん居ますか?」
「あら、クラウスじゃないか。おはよう」
「おはよう! ヴェラさん。伯父さんは居ますか?」
「ああ。うちのなら奥の部屋に居るよ。呼んでくるから待ってな」
「はーい!」
自分から呼びに行くなんてヴェラさん機嫌良いな。
やはり指輪のお陰かね? でも、なんで右手の中指に収まっているのかな?
ヴェラさんは右利きなのかな?
「おはようクラウス。私に何か用があるのかな?」
「おはよう! 伯父さん。実はね師匠に言われてた事で伯父さんに言い忘れてた事があったんだ」
「ほう? それは何かな? ああヴェラ。君も一緒に聞いていてくれないか」
伯父さん浮気の予防線張るのに必死だな!
「あたしも? まあ、いいわよ。聞きましょう」
主婦のお仕事に戻らずに椅子に座って聞いて下さいな。
「最近、暑くなってきたでしょ?」
「そうだね。雨季が終わって日が強く照り出したね」
「そうなるといっぱい汗をかくよね?」
「そうね。暑くて大変だわ。服は汚れるし。蒸れるし。ベタベタするしね」
女性的、主婦的観点からの答え、ありがとう。
「だよね。それで師匠から言われてたんだ。汗をかいたら濡れた布で綺麗にしなさいって」
「うん? それなら普通に拭いているだろう?」
「そうね。まあ男の人は? たまに拭かずに寝てしまう人もいるだろうけどね」
ははは。ヴェラさん刺がありますな。
「うん。だけどね。畑仕事をした後しか拭いてないでしょ? 寝る前にも綺麗に首とかの周りを拭くと良いんだよ」
「ふむ。寝る前にもか。確かに一度では不十分でも二度にすると、より綺麗になるか」
「暑い夏の間だけでも。やるなら良いんじゃないかい?」
「分かったよクラウス。だけど、他にも何かあるんじゃないかな?」
伯父さん相変わらず鋭いね。
「うん。綺麗に拭かないと汚れが増えて病気の元になるんだって、お腹を壊したりとか」
「なるほどね。夏の時期に腹を下す人が出るのはそう言った事も関係しているのか」
「それじゃあ村の皆にも言わなきゃいけないねぇ。分かったわ。あたしが知らせるわね」
ヴェラさん主婦の連絡網でよろしくお願いします。
「お願いします。それじゃあ僕はドッドさんのに知らせに行くね」
「ああ。分かったよ。クラウスありがとう」
「うん!」
握手が来るかと思ったけど頭に手を置かれたよ。
どれ、次はドッドかな。
「あっ! クラウスにぃだ! 遊ぼ? 遊ぼうよ!」
「……おはよう。兄さん」
と、思ったら双子に捕まった。
外に出たらいきなり居るとか君らはトラップか?
「おはよう。カレン、アンネ。」
間違っても二つ括りに呼んではイケナイ。
機嫌を損ねるからね。
「遊びたいんだけどね。師匠に言われた大事な事をドッドさんに知らせなきゃいけないんだ。ごめんね?」
「……兄さん。頑張って」
「えー。つまんない! 遊びたいわ!」
本当に君ら妹と姉なのかね? 逆じゃない?
「……カレン。お母さんに言われてるでしょ?」
「むー。分かったわ…」
カレンが渋々承諾したみたいだ。
やれやれだぜ…。
ん!?
「家の周りを少し回る間だけなら一緒にいれるよ」
「それでいいわ! それじゃあわたしが右ね!」
「……左は任せて」
言うが早いか俺の脇に双子が来た。
危なかったぜ。
何とか難を逃れたよ。
今、日陰から双子を目掛けて飛んできた5匹の蚊を、真空球に真空パックしてパクッと閉じ込めた。あと少し遅かったら襲われていたかもしれない。警戒を怠らない様にしよう。
その後も群がる蚊を双子と、お喋りしながら撃ち落として行った。相槌を打ったり。手を引いて蚊を避けたり。話を振りながら真空球を使ったり。一体何の苦行かと思ったか。同時並行で魔法を使うのって結構疲れるのよ? それにカレンが腕を引っ張ってくるし。アンネの握力は強いし。大変だった。
「それじゃあ僕は行くね」
「うん! また遊んでね?」
「……またね。兄さん」
まあ、その甲斐あって村長宅の蚊は全部撃退出来た。
疲れたよ魔力が3割くらい減ったぞ。
「これ大丈夫かな? 歩きながら少し回復するか」
ドッドの家に着くまでには1割くらい回復するだろう。
しかし、思ったより魔力を消費したな。
伯父さんちまでで1割。
双子と一緒に居て3割。
合計すると魔力が4割も減ったぞ。
多分、精神が安定しないと燃費が悪いのかもしれないな。
俺は一抹の不安を抱きながらドッドの家へと向かった。
何故か投稿がうまくいかなかったみたいです。
18時に投稿したんですけどね。
次回も会いましょう!




