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刷り込まれる思い。注ぎ込む魔力。

お待たせしました。

 刷り込みってあるよね。生まれたばかりのヒヨコが初めに目にした物を親と認識する事が。インプリンティングと言ったかな? やはり最初が肝心なようだね。これは人間も無関係じゃないね。目にするものを毎日見ると刷り込まれて行くんだね。これは大切な事だね。私は、と言うと異世界で石に刷り込みならぬ注ぎ込みを行なっています。魔力をね。



 噂をしたらダッダが現れた!


 「おう! 来たか! ダッダ! 居るぞ!」

 「はっはっは! 元気にしてたか? ドッド」

 途端に部屋のオッサン率が上がったよ。

 うむ。まことむさ苦しいなり。


 「…クラウス。ちょっと抱きしめさせて」

 「はい?」

 どうしたよ? ティアナさん。

 なんで抱きしめ宣言してんの?


 「どうしたの?」

 「ダメなの…」

 何が駄目なのさ?


 「何が?」

 「ご……だけのは嫌なの」

 「はい?」

 ゴリラだけは嫌?


 「ごついだけの生き物が嫌なの。私は小さくて可愛い生き物が好きなの」

 ナニユッテンノ? コノコ。


 「だから! 小さくて可愛いのが好きなの! 分かったら抱きしめさせなさい!」

 「ええ!?」

 言うが早いか正面から抱きしめて来たし。

 ええい! 未発育な胸を顔に押し当てるな!

 苦しではないか!

 いくら子供特有の甘い匂いがしても我は師匠の香りが好きなのだ!

 ええい離せ! 離さぬか!

 ちょ!? 握力強くね? 流石アンネの姉か!?

 ……ダジャレジャナイヨ?


 「クラウス! なにか立て込んでるみたいだから俺達は表に行くぜ!」

 「クラウス。ほどほどにな」

 おい! ドワーフコンビ! 俺を置いて行くな!

 こらダッダ。ほどほどってどう言う意味だ!


 「はぁ~。落ち着くわぁ~」

 「苦しい…」

 頭の匂い嗅ぐな! 頬ずりすんな!

 俺は、ぬいぐるみじゃねーぞ!



 少女休憩中。



 「落ち着いたわ。ありがとうねクラウス」

 「…どういたしまして……」

 もう気分はぬいぐるみですよ。

 年がら年中。寝る間も寝起きも抱いてる。

 くたびれた、ぬいぐるみですよ。

 もうよれよれっスよ。


 「私はね。汚いのとか、野暮ったいのとか、ごついだけの男が嫌いなの。男も少しは綺麗にするべきなのよ。お母さんも言っていたわ。男ばかりが女に綺麗でいる事を押し付けるのは間違っているって。求めるなら同じ位置まで行くべきなのよ。昨日のあの二人組も駄目ね。汚いし。悪さばかりするし。女なら何でも良いって言ってる癖に綺麗な女の人を見て鼻の下伸ばしてるのよ? 言ってる事が違うじゃない。優柔不断で不実で汚いなんて最悪だわ! あと、やらしい目してるし気付いてないとでも思ってるのかしら」

 おうおう。女性の不満が噴出してますな。

 耳の痛い事で。


 「ドッドは汚くないよ?」

 野暮ったくもない。


 「ごついのが一人くらいなら良いのよ。少しは我慢できるわ。でもね? ごついのばかりが居るのは耐えられそうにないわ」

 「なんで僕を抱きしめると落ち着くの?」

 俺も男やで?


 「ん? 小さいからに決まってるじゃない。それにクラウスは、うちの家系の子でしょ? 野暮ったくはならないわ」

 「ソウデスカ」

 なんとも納得出来ない話ですな。


 「どうしてそうなったの?」

 「そうね。言われてみれば何でこうなったのかしら?」

 分かんないのかよ。


 「そうね…。少し理想が高いのかしら? お父さんやトリス叔父さんを見てるからこうなったとか?」

 「二人ともかっこいいもんね」

 何あのイケメン兄弟は影響与えてんだか…。

 上は大人な雰囲気で女性の扱いも上手そうだしな。

 下は爽やか系で物腰柔らかいし。

 それなのに狩人とかやってるし。

 ギャップにやられるのかね?


 「…クラウスも大きくなったら。ああなるのよね?」

 「ボクハ、シショウ、ヒトスジデスヨ?」

 禍根は今の内に摘み取ろう。


 「分かっているわよ。無理やりはダメよ」

 「そうだよね!」

 おお怖い怖い。


 「それと。小さい物好きは下の子達の面倒を見てきたからかしらね」

 「テオ兄さんとカレンとアンネの面倒を見てたんだね」

 そうか、だから小さい物好きなのか。


 「ん? …。テオ? …あっ。そうねテオの面倒もみたわね」

 「お姉ちゃん?」

 おい。忘れるな! 家族なんだから姉弟なんだから。

 忘れるなよ!


 「もちろん面倒みたわよ。髪を梳いてあげたし……あれ? …アンネだっけ?」

 「思い出してあげてね」

 確かに同じ金髪だけどさ。

 髪の色しか合ってないじゃないですか。


 「クラウス。もう大丈夫か?」

 「うん。大丈夫だよ! ドッド」

 親戚が、ご迷惑をお掛けして申し訳ない。


 「ドッド! 外に箱を置いといたからな。あとは任せたぞ」

 「なんだ。もう行っちまうのか? せっかちだな」

 ダッダも仕事で忙しいのかもしれないね。


 「ああ。ちょいと護衛の仕事もあってな。アンリカ村に向かう商人に付いて行かにゃあならんのよ」

 「そうか。忙しいのに引き止めちまってすまねぇな」

 「なあに。気にするな。商人も今頃ここの村長と話てるだろ」

 「そうか。護衛お疲れさん。最近、魔獣が出るとか聞いたから仕方ないか」

 「そういう事だ」

 さっき伯父さんの言っていた商人か。


 「お父さんの言っていた商人ね」

 「そうだね。でもドワーフが付いてるから心配いらないよ」

 「確かに、これだけごついなら大丈夫そうね」

 判断基準はそこですか。


 「そんじゃそろそろ行くぜ。元気でいろよ!」

 「そっちも気を付けろよ!」

 「またね! ダッダ!」

 「おう!」

 軽やかに馬車に乗り込むね。

 ドワーフはパワーだけじゃないのね。


 「行ったみたいね」

 ティアは今まで家の中に居たね。


 「いったい何を置いていったのかしら?」

 物には興味を示すのね。


 「クラウス。クズ石だ」

 「分かったよ!」

 「うん?」

 クズ石ってだけで解ります。

 ティアナ君には分からないみたいだね。


 「結構多いが大丈夫か?」

 「んー。何回かに分ければ大丈夫かな」

 「分かった。どれ、中に運ぶぞ」

 大人が二人入れるくらの大きさの箱だな。

 ドワーフは物ともしないんだね。


 「ねえ。何が入っていたの?」

 「石が入っているんだよ。鍜冶の時に使う石なんだ」

 「へぇ。よく知ってるわねクラウス」

 「これから余り楽しい事ないけど。お姉ちゃんはどうするの?」

 多分女性には面白くないと思われる。


 「そうね。裏に川があるし少し涼んでいるわ。終わったら呼びに来なさいよ?」

 「分かったよ。お姉ちゃん」

 今日は少し暑いし涼むには最適だな。

 水辺で涼んでて下さい。お嬢様。

 行ってらっしゃいませ。お嬢様。


 「ドッド。どんな形に作る?」

 「そうだな。平たい物と小さい手の平くらいの物を頼む」

 「分かったー」

 簡単、簡単。

 任せたまへ!


 まずは、魔力フィールド展開。次にバラバラになっている石を磁極を合わせて結合します。出来上がった、ただの四角い塊りを正方形の板状に形成します。5枚作れました。最後の1枚を使い小さい手の平大の石に形成これにて完了。最後の1枚は16分割だ。17分割じゃないよ?


 「ふう。こんなところかな」

 「いつもながら良い手並みだ。俺じゃあここまで綺麗にはまだ出来ねぇ」

 「そのうちドッドも出来るよ」

 固定観念を打ち破れれば出来るさ。


 「次は魔力を注ぐね?」

 「おう。任せた」

 反発するイメージを注ぎ込もう。


 部屋にある魔力を左右に両手を広げ掴む様な姿勢で集める。うん。魔力が集まってくる。そのまま魔力フィールドを展開して石を包み込む。頭の中に描くのは、強く反発するイメージだ。少しづつ魔力が石に定着していく。焦る必要は無い慎重に注ぎ込もう。


 「終わったよ。ドッド」

 「お疲れさん。少し休めクラウス」

 「うん」

 そうさせてもらうよ。



 その後、休憩を挟みながら作業を終えていった。



 「今日のクラウスのやり方を見てて少し分かってきたぜ。その内出来ると思うぜ」

 「頑張ってね」

 「ああ。クラウスに頼りっぱなしは悪いからな!」

 そして何時もの握手だ。

 そして裏手に居るティアナの処に行くか。



 「お姉ちゃん。お待たせ」

 「遅いわよ? 女の子を待たせたらいけないのよ?」

 「はーい」

 付いて来たのは君のはずだよね?

 まあ良い。女性とは時に理不尽なのだ。


 「何をしてたの?」

 「鍛冶の仕方とか色々だよ」

 「ふ~ん。ねえクラウス」

 「なあに?」

 「何か作ったら私に贈りなさいね。ああ。もちろん小さくて可愛い物よ?」

 「作れるようになったらね」

 それくらいなら良いか。




 そして帰り道を手を繋ぎながら帰った。

 少し前世の姉上を思い出した。

 俺も刷り込まれてたのか。

読んでくれて、ありがとうございます。


昔の事ってふとした瞬間に思い出しますよね。


それでは次回も会いましょう!

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