人生初の?
この世界に来て一つ驚いたことがある。
それは、歯ブラシがあることだ。
しかも毛が黒いのだ! 何で出来ているんでっしゃろ?
出来る女こと、マイ・マザーに聞いてみるか。
「お母さん。これって何で出来ているの?」
「それはね。お馬さんの尻尾からできているのよ?」
「尻尾なの?」
「そうなの。お馬さんの尻尾を分けてもらって出来ているのよ?」
「ふーん」
「クラウスも色々と知りたい年頃なのかしらね」
どうだろう。大概子供なんて、どいつも教えてちゃんな気もするが。
昔の俺はあまり疑問に思わなかったかもしれん。
幸せな子だ。おもに頭が。
「クラウスは、しっかり歯が磨けたかなー?」
「磨いたー!」
「よしよし。お利口さんね?」
そう言ってマザーは豊かな山脈に俺を招き入れた。
おっおう。スキンシップ過剰じゃありませんこと?
血の繋がりがあるからなんともないけど。
こんな綺麗な女の人に甲斐甲斐しく世話焼かれたり。
甘やかされたら、こそばゆいじゃ、あーりませんか。
「お利口さんなクラウスの為に一つ魔法でも見せてあげようかしら」
「魔法見れるの?」
「ええ。物を綺麗にする魔法よ?」
「すごーい! 見たい!」
そういえば魔法など見た記憶が無いな。
昔の記憶を探ると。どれもご飯の後は外に駆け出して行っていた。
やはり幸せな子供だ。頭が。
魔法を使う場所はどうやら外の様だ。何着か衣類その他を持って行き外で実演していただけるらしい。大きなタライに水を張って衣類を入れている。
「それじゃ始めるね?」
「はーい」
いよいよ人生初の魔法ですよ! 魔法!
『水よ、清廉なる我が願いを聞き、水よ清らかであれ』
呪文? を唱えた時、水面が僅かに波立った。これが魔法か。おお? 何やら汚れらしき物が浮かんできましたよ? あっ! タライの外に飛沫が飛んだ! どうやら汚れを弾き出したみたいだ。水面が綺麗になってる。
「今のが水に働きかける魔法よ?」
「お母さん。すごーい!」
「ふふふっありがとう」
こりゃ凄い! 洗濯機いらずだ! 一家に一人マイ・マザーが居れば洗濯が楽になるぜ! でもやらないよ?
この後一頻り興奮した俺は、母に別れを告げ外に冒険に出たのだ。まあ家の周りだけどな!
俺の家は、柵で囲まれていて村の外れにあるみたいだ。
森に近いからなのかね? 野生の脅威に対し備えは必要みたいだ。
近場を探検しながら時間を潰し。
お昼を待った。
「ただいま、クラウス」
「おかえり、お父さん」
「それじゃご飯を食べたら伯父さんの家に行くよ?」
「はーい!」
時間に余裕を持って帰って来るとはダディも律儀な人だ。
この後予定通り向かうんだけど。まさかいきなり出会うとは思いもしなかった。
遂に登場か?




