陽の光を借りて。
お待たせしました。
太古の時代から太陽とは神の様に信仰されてきた。いや、まさに神そのものだったのだろう。地球の多くの文献を見ても、その様に記録されている。その熱は力とも恵ともされ広く人々に崇拝されて来ただろう。この異世界に置いても、その力に変わりはなく俺に神秘を見せてくれた。この力を、よりよく使うことが出来れば人類は、更なる発展を望めよう。しかし欲に塗れれば逆に焼き尽くされよう。だが燃え尽きるより師匠に嫌われる事の方が俺は怖い。だから怖い事はしません。
「水を入れる器と輪っかを作るねぇ…。それで本当に解決に繋がるのか?」
「もちろん。それだけじゃあ無いよ。この鏡を使うんだ」
「クラウス? 鏡なんて何に使えるの?」
師匠。鏡は師匠の美しさを映す以外にも利用価値があるのでございます。
このクラウスがお教えしましょう。
「師匠。僕が水レンズを使って火を付けたのは覚えてるよね。アレの応用なんだ」
「あの陽の光を集めて枝を燃やした事がかい?」
「なんだソレ。俺は知らねぇぞ? また何か新しい事をしたのか?」
「ドッド。落ち着いて、これから話すから」
ドッドは知らないか。
仕方ない教えるか。
「その前に確認するよ? 陽の光を浴びると暖かくなるよね」
「そうだな。当たり前のことだ。夜は涼しくなり。昼間は暖かくなる。陽の光を浴びりゃあ暖かくなるのは誰でも知っている」
「それじゃあ。陽の光を集めたらどうなる?」
「ん? 熱くなるんじゃねぇか? だけど集められる物なのか? 触れねぇし目に見えねぇぞ?」
「そうだね。集める事なんて普通は出来ないよね。でも、映せる物があるじゃないか」
「ん! 鏡か!? そうなんだな?」
そう今ドッドが必死で作ろうとしてる鏡だ。
「そう。陽の光を鏡に映して反射させるんだよ。そうして陽の光を一点に集めると、後は言わなくても分かるよね」
「ああ。光を多く集めれば集めた分だけ熱くなるって事だろ?」
「でも、熱く出来たからってどうなるんだい? 何か他にもあるんだろ?」
まだまだ、あります。ございます。
「さっきドッドがお湯を沸騰させた事が関係するよ」
「お湯が? 皆目見当がつかないね」
「沸騰した鍋がどう繋がるんだ?」
何だかさっきからクイズ形式みたいだな。
「さっき湯気でドッドの髭が動いてたでしょ?」
「ああ。少し沸騰させ過ぎたからな湯気で髭が揺れてたな」
「そうか! 集めた光で熱を生み鍋を温めて湯気を作る! その湯気を使うんだね?」
正解です! 流石は師匠。
「そうだよ。湯気を使うの」
「ははあ~。見えてきたぞ。やっぱりクラウスは只者じゃねぇな! 流石俺の友だ!」
ちょ。やめれ! いきなり持ち上げるな!
「ク・ラ・ウ・スは、私の弟子なんです!」
「師匠!?」
勢い良くドッドの手の中から取り上げられたよ。
「なんでぇ。えらくご執心だな? 惚れてんのか?」
「し、師として当然の事をしてるだけです! 大切な弟子を乱暴に扱わないで欲しいだけです!」
なんと言うツンデレエルフ。
そんなんじゃないんだからね! を生で見れましたよ!
この抱擁を忘れませぬ。
「話を戻します! それで? クラウス。その後はどうするの?」
あん! もう少し抱きしめて下さい!
「その前に本当に茹だるくらい熱く出来るのか? そいつを試した方がいいんじゃねぇか?」
ですよねー? ドッドは慎重派なようだな。
師匠はー…少し混乱してるから良いか。
「うん。実際に見てもらった方が早いよね」
その為の材料は、今作った鏡で良いか。
鏡は23型ワイド液晶ディスプレイを半分にしたくらいの大きさだな。
他には……。
「この鏡とドッドの作りかけを使うね?」
「おう。任せるぜ!」
これだけ有れば作れるだろう。
まずは、作りかけの鏡の表面を滑らかに仕上げます。次に鏡と鏡を繋げます。縦に繋げると大人の背丈以上になるな。円形に繋げるか。最後に魔力フィールドで光を感知して反射角度を微調整します。一点に陽の光が集まる様にします。もちろん外でやってますよ? 家の中でやったら燃えてしまいます。大炎上です。
「出来たよー」
「もう出来たのか? 相変わらず仕事がはえぇな!」
「私はもう驚かないよ……」
二人共違いはあるけど呆れ顔だ。
「それじゃあ早速実験開始だね」
太陽に向けて置きます。
台なんて無いので椅子に固定してます。
「本当にこれで燃えるのか? 試しにこの薪を燃やそうぜ」
「何でもいいよー。それじゃあ貸して」
ドッドが持って来た薪を受け取り光の一点にかざした。
すると。
「なんだこりゃ!? 一気に燃えやがった!!!」
薪は一瞬の内に火を付け燃え盛ってしまった。
一瞬で松明の出来上がりです。
「ドッド。次は鉄板とそれを挟む物を持ってきて」
「おっおう。今すぐ持って来る!」
もしかすると鉄も溶けるんじゃないか?
「クラウス? これも危険だから大人の居ない所では使ってはいけないよ?」
師匠の冷たい目線! ゾクゾクします! ゾクゾク美!
「分かったー!」
「よろしい」
途端に元に戻ったよ。
理解の範疇外だから抑えておきたいよね。
「クラウス! 持って来たぞ」
「それじゃあ、ここら辺にかざして?」
俺の持つ薪の当たりにかざしたまへ。
「おっおう! ここら辺だな?」
少し及び腰ですぜ! 旦那!
「んなぁ!? 鉄が! 鉄が溶けたぞ!? こりゃどういうことだ!」
だから声が大きいんだよ!
「ありえない…。こんなのありえない……」
ありゃ。師匠がフリーズしちゃった。
ドッドも赤く溶け出した鉄板を持ちながら茫然としてるよ。
予想を超えた衝撃に二人は立ち尽くすのであった。
読んでくれてありがとうございます。
少し忙しいので推敲作業が出来ず投稿本数が少なくなってました。
今日はサン・アタ○クなお話でした。
それでは次回もお会いしましょう。




