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飴と鞭とムチムチ?

おはようございます。

 「クラウス? 君が優秀なのは理解している。けどね? 物事には限度と言うものがあってだね? 人を驚かせるような事をしてはいけないよ? それに事前に師である私に報告するべきじゃないかな? 私は間違ったことは言ってないよね? そもそも危険な魔法は時に周りに被害を与える事もあるんだ。その危険性を目上の者に聞いて適切であるかどうか判断してもらう事も大事な事なんだよ? 他人に怪我をさせてからでは―――」

 現在、絶賛説教されている私ですが、説教プレイも良いなと愚考する所存です。

 まあ。確かに危険性を考慮しなかった私の落ち度です。

 申し訳ない。

 だけどですね? こう、驚き慌てふためく師匠が、取り繕いながら怒る姿がなんとも…。

 更に眼鏡を掛けてスーツ姿の師匠を想像したら、萌えの気持ちが反省の気持ちを大きく凌駕するのは仕方の無い所です。



 「き・い・て・い・る・の・か・な?」

 「ひゃぃ。きいてまふ、ししょふ」

 もちろん反省はしています。

 だからね? 頬をひっぱらないでください。


 「ふう。君には驚かされてばかりいるね。」

 「ごめんなさい」

 片膝を立ててしゃがんでいる師匠の膝に手を置き反省のポーズ。

 正直すまんかった。


 「本当に反省してる?」

 「うん。今度からは師匠に話してからにします。ごめんなさい」

 「うん。反省はしているようだね。だけど…」

 「だけど?」

 「もう少し大きくなるまで、危険な魔法は禁止します。分かった?」

 確かにアレはやり過ぎたよな。

 大人の背丈程に伸びた火柱は危険過ぎた。

 人一人を余裕で丸焦げに出来る。

 危機感が足りなかった……。

 と言うか恐怖心を封印されてたんだった。

 危険に至るは無理からぬ事だったんだな。


 「分かりました。師匠の指示に従います!」

 今の自分じゃ判断が緩い時がある。

 だから師匠に聞こう。


 「うん。素直でよろしい。これはクラウスの為でもあるんだからね?」

 「はい!」

 説教の後のナデナデは心に沁みる。

 飴と鞭を使い分ける手腕は流石と言った所です。

 やっぱ女教師が似合いそうだ。

 金縁眼鏡を掛けたスーツ姿の女教師エルフ……もちろんストッキング装備。

 良い……。

 おっと、反省、反省。



 「魔法はここまでにします。今日はこの後、クラウスの今までを聞こうかな」

 「今まで?」

 「そう。今までの生活をね。昨日、私の話を聞いてくれたよね? だからお返しにクラウスの話を聞くんだよ」

 確かにそうだな。お互いを理解し合う。

 これが無ければ円滑に進まない事もある。

 相手の趣味、趣向を理解し話を円滑に進める。

 それは話し合う事が、理解し合うの事の一番の近道だ。

 例えば、相手が困った状況にあっても。相手を理解していなければ何を話せば良いのか分からないしね。

 これは子供でも大人になっても大事なことだ。

 社会に出たら尚の事、大事だ。

 相手も人間なのだ。色々な事を考えている。

 理解しなければ仕事上でも不都合が出る。


 「分かった! 今まで色んな事したから師匠にお話します」

 「うん。クラウスの事を私に教えてくれるかい?」



 その後、ドッドと友達になった事、双子に魔法の手解きをした事、東の開拓村の竹問題も話した。



 「クラウスはー…優秀だとは思ったけど。規格外だね…」

 「どうして?」

 なんかしでかしただろうか?


 「いや、普通に人族の子供がドワーフと友達になるなんて無理な話なんだよ? 大人でも無理があるのに」

 「そうなの? 普通に話したら色々良くしてくれたから。そのお返しをしたら友達になれたよ?」

 日本人なら大抵、程度の差はあるけどやるっしょ? あっ。ここ異世界や。


 「そのお返しが出来る子なんて居ないんだけどね。なんだかクラウスなら出来そうな気がしなくもないけど」

 なにその枕詞になりそうな言い方。

 クラウスなら仕方ないね! みたいな。

 不思議な事だけどクラウスなら仕方ないね! みたいな。

 俺は至って普通な地球生まれの異世界育ちの人族ですよ?

 野菜星人の最終兵器じゃありませんよ?


 「元来ドワーフは深慮深い種で、知り合いには成れても友達に成れる事なんて希な事なんだよ? 余程気に入られたんだね」

 「そうなんだー」

 確かにドッドは最初探るような視線を向けてきたけどな。

 試してきたり。

 でも武器を褒めたり。礼節を欠かなければ問題ないと思うよ?

 妙に謙ったり、阿ねる事しなけりゃ気の良いおっちゃんだよ?

 それが対等でいる。友達になるって事でしょ?

 それが前世の姉上が俺に教えてくれた事だ。


 「気にした様子もないね…。だからかな私も…」

 そう言って師匠は優しく撫でてくれた。

 こんな俺でも師匠の為に何か出来たのだろうか。


 「そうだ。他にもあったね。竹だったかな」

 「うん! 竹が増えすぎて困ってる人がいるんだって」

 師匠が気持ちを切り替える様に竹の問題に話を持っていった。

 それに俺も便乗しよう。


 「今年は東の方は雨季が長かったからね。晴れた時に勢い良く茂ったのかもしれないね」

 「いっぱい雨が振ってたんだ」

 雨季が長かったのか、そりゃ仕方ない。


 「加えて木こりも怪我をして動けないんだ。増え放題だね。」

 「そうなの。大変んなの」

 「竹は育つのも早いけど。半分くらい腐ってしまうんだ」

 「そうなの?」

 「うん。だから腐った分が大地に返って養分になり余計に増えるんだよ」

 やはりそうなのか。なら…。


 「それじゃあ竹を細かくしたら土の養分になるのかな?」

 「そうだね。細かく出来たらっだけどね。固いし多いし人手がいるよ。でもクラウスは良く気付いたね。えらいよ」

 「えへへ」

 師匠の事を飴と鞭と評したが訂正しよう。

 飴ときどき鞭だ。

 晴れときどきピッグじゃなよ?


 「この事を村長さんに話しても大丈夫かな?」

 「うん。構わないよ。出来るかどうかは別として、人に話す事で何かが解決に向かうかもしれない。クラウスはクラウスに出来る事をすればいいんだよ」

 「はーい!」

 師匠は子供の浅知恵と思わず取り入れてくれる。

 意外と良い教師に成れるんじゃないだろうか。

 だが師匠の教えを授かる誉は我が物なり。


 誰にも、やらぬ! 譲らぬ! 返してもらう! 

 貸してなくても奪ってやる! 略奪だ!


 [そう、かんけいねーよ]

 [殺してでもうばいとる] ←

 [ゆずってくれたのむ]


 これじゃただのサイコパスだな。

 思考が逸れた戻そう。


 「この話は僕が師匠に話して師匠が考え出したって事にして良い?」

 「どうしてだい? クラウスが考えたって言ってもいいじゃないか」

 「んー。師匠の方が大人だし。みんな信じるかなって」

 更にエルフと言えば理解もされよう。ここが権威の使いどころだ。


 「クラウス……君は本当に子供かい?」

 「こどょもやよ?」

 だから頬をひっぱらないでください。伸びてしまいます。


 「まあいいか。分かったよ、そういう事にしておこう」

 「ありがとう! 師匠」

 そしてどさくさに紛れて抱きつく。

 このクラウス。転んでもただでは起きぬよ!

 師匠の芳醇な香りを味わってやる!

 この山脈の中でな!



 こうして竹問題にも一歩前進の兆しが見えたのだが。

 異世界転生小説などで良く見る腐葉土チートなんて目じゃない物を味わう事になるのは余談だ。

読んでくれてありがとうございます。

竹問題に一歩前進かな、のお話でした。


次回お楽しみに。

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