愛の予約を掴む者。
少し手直しがありまして、今日は1話のみです。
みんな契約の大切さを知っているかな? 約束や予約など日常の中にも少なからず存在する。契約を交わしているか、いないか、で大きな差が出る。予約していなければ大事な商品を手に入れられない。約束していなければ聞き入れて貰えない。当然の事実だ。だから契約は大事なのだ。みんなも契約について面倒がらずに慎重になって欲しい。そして人生の中では重大な契約がある。そう結婚である。大事な約束だ。そして婚約。大事な予約だ。だから俺は大事な予約を申し込むつもりだ。そう最愛のエルフ。我が人生の伴侶。我が人生の師匠に、だ。
「クラウス。君はどうやって先程の爆発や炎を生み出したんだい? 魔法を唱えた素振りも見せなかったのに」
あー。やっぱり気になりますよね。でも正直に話しても理解されるかどうか。
曖昧に伝えてぼかすか?
「んとね。火が大きくなるように風を送ったの」
「風を? ふむ。だが風で燃えている物を吹けば消えてしまわないかい? それに何で枝が燃え出したんだい?」
あー。普通に考えれば風で吹けば消えるよな。これは分からないと言って誤魔化そう。
枝の方は実演して見せて納得してもらおう。
「んー? よくわかんないや。枝が燃えたのは水玉を使ったからだよ」
「水玉を使ったから?」
「うん! もう一度やってみせるね?」
そして再度、水玉を空中に作成。
まずは師匠の前に動かすか。
「師匠ー。その水玉を指で突いてみて」
「うん? 何だか分からないけど突けばいいんだね」
そう言って師匠は水玉を指で突いてくれた。
すると。
「わっ! 壊れた? え? 何で?」
それもそのはずです。
多分師匠が予想したのは、中まで、水が詰まった水玉だろう。
だが、違うのだよ。
俺が作ったのは、薄い水の膜で、出来た水玉だ。
「水魔法の練習をしていた時に思いついたの。的に何回も当てて練習出来る様に中がスカスカの水玉を作ってみようって、そうしたら出来たの」
「そうなのか、なるほど。水を多く使えば、その分の水の減りが早くなる。だから使う量を減らしつつ水の玉を何個も作って飛ばしたと。クラウスよく考えたね。えらいよ」
「えへへ。」
師匠のナデナデ至福です。
「でも、それじゃあ何故、枝が燃えたんだい? 今のでは、水魔法に関係する事しか分からないじゃないか」
「んとね。中がスカスカの水玉を作ってた時にね。綺麗に見えたから色々遊んでみたの。光がキラキラして綺麗だったから。陽の光が上から当たったら、どんな風になるのかなーって」
「ふむ。それで?」
よし。食いついたか。
「そしたらね? 光の当たる所が違って見えたの。なんでかなーって思って形を変えたり。葉っぱの上でやってたら光が集まった時に葉っぱが燃えちゃったの。その時の水玉の形がこれなの」
そして俺は、レンズの形に変えた水玉を師匠の前に作り出した。
「これは…不思議な形だね。何と言うか丸いけど平べったいような。うん。不思議だ」
初めて目にする形に興味深々ですね。
先ほど見せた時は、丸く見える方向から見たから解らなかったのだろう。
「これで今度は草に火を点けます。見ててね?」
そして陽の光を使い。草は勢いよく燃え出した。
ちなみに大人の両手を広げて合わせたくらいの大きさのレンズです。
「おお! 本当に燃え出したよ」
あー懐かしいな。前世で理科の実験をしてた時を思い出すな。
子供心に不思議に感じたものだ。光を集めて物が燃やせるなんてな。
…ん? 光を集めて? 陽の光、集める、熱い、何かを思い出せそうな…。
「クラウス。君は凄い発見をしたんだよ? その発見は誇っていいよ!」
ああ。師匠の白魚の様な手で撫でられるとどうでもよくなりゅ~。
ていうか撫でるだけに留まらず。抱き上げて頬ずりですか!?
もう俺は、されるがままのノーガード戦法ですよ。
真っ白に燃え尽きちゃうぅうぅ!!
「それじゃあ他のも見せてもらおうかな?」
あっ。終わりですか? そうですか。
「次は何を見せてくれるのかな?」
「次はね。この石を使います!」
そして取り出したのは、毎度お馴染み石英の付いた鉱石です。
これで、師匠にプレゼントを作るのです!
「その前に師匠。手を触らせて?」
「うん? 私の手と何か関係するのかな?」
「じゅうようです!」
小首をかしげる師匠の手を丁寧に触り、その手の形を覚えました。
ふむふむ。9号から10号と言ったところか。
なんでサイズなんて知っているかと言うとだな。
前世で兄上が彼女に贈る指輪を一緒に見てくれと頼まれたからなのだ。
姉上と俺がそれに頷き。一緒に探して上げたのだよ。
メインは姉上、俺はついでだった。
だが姉上がこう言われたのだ。
『きー君も今の内に覚えておくといいよ?』と。
姉上のお心遣い痛み入ります。
「うん。分かった!」
「ん? 何が分かったのかな?」
「ひみつ~」
出来てからのお楽しみです。
では、作成開始です。
まずは魔力フィールド内に鉱石を包みます。
次に鉱石から石英を抽出します。形は何でも良いので球体状にしました。
その抽出した石英をドーナツ状に錬成します。
そして師匠の指の大きさに微調整して行きます。
最後に台座の部分を作り終わりにします。
日々の練磨の結晶が、俺の手の中に透明な指輪を生み出した。
「出来た~師匠、手を出してくれる?」
「いいよ。はい」
そして左手の薬指に石英製の指輪をはめた。
「師匠に贈り物です!」
「え? これって……指輪…え? 今の石から? ええ!? クっクっクっ」
また師匠が壊れだした? それともスキャットですか?
「クラウス! どうやって作ったの!? それに指輪を贈るって事は…」
「うん。今すぐ結婚は出来そうにないから。その予約? 作り方は単に綺麗な石と他の石を分けたの」
「分けた? そんな事が……いや、目の前で作って見せたんだ。出来るんだろう……でも指輪なんて…」
師匠は目の前の事実が受け入れ難いのか、少し混乱している模様。
だが指輪は受け取って欲しいな。色々と注いだのだから。
よし。ここは押しの一手でだ。
「指輪は駄目だった?」
「え? 駄目じゃ……無いかな。…うん。有り難く貰う事にするよ」
師匠は優しい方だ。無碍には断らない。弟子の頼みなら聞いてくれるのです。
「ありがとう! ししょ~」
「こちらこそ。ありがとうクラウス」
俺は嬉しさを身体を使い表現した。
もちろん師匠に抱きつく形でな!
師匠も笑顔で喜んでいるし大丈夫だろう。
その後、風の魔法を使ったのだが、嬉しさの余り調子に乗り手加減を手放した俺は盛大にやらかしてしまった。
酸素密度を極度に上げて、その空気で旋風を作り。
その旋風に燃えた枝を放り投げたのだ。
その結果。
小さな火炎旋風を作り出してしまったのだ。
これには流石の師匠も大変驚かれた。
驚きながら怒られた。
大変珍しい物を見られた瞬間でした。
読んでくれてありがとうございます。
主人公も嬉しくてついやっちゃうんだ。
大目に見て欲しいです。
次回も会いましょう。




