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ファーストコンタクト?

声を小さくして、おはようございます。

 好きな人にされる抱擁って素晴らしいですよね。形が分かるし。体温を感じるし。反応してくれるし。何より安心感が違います。皆さんも恋人がいるならハグしといた方がいいですよ。いない人は友達とでも……え? それはホモじゃないかって? 違いますよ。例を上げますけど、スポーツなんかで勝利を勝ち得た時、嬉しくて抱き合うじゃないですか。そういうことです。でもまあ日本じゃしないですよね。日本人は例外とか嫌う傾向がありますしね。仕方ないです。私ですか? 私は現在進行形で師匠に抱きしめられています。寝ながら、ね。



 「嬉しいけど、動けない」

 俺は何故だか早くに目が覚めてしまったのだ。

 そして目を覚ました場所が、師匠の腕の中なのだ。

 まさか前世でも味わうことのなかった乳枕で目を覚ますとは…。


 「絶景なり…」

 師匠は俺を抱き枕の様に抱えながら寝ているのだ。

 師匠に抱きつき癖なんてあったのか。

 でも前は無かったよな?


 「安心しきった顔しちゃって…」

 寝顔が天使なのですよ。エルフだけどな!

 すやすやと寝息を立てる姿は、まさに天使。

 試しに魔眼で視てみるか。


 「白? 今までなかったぞ?」

 白か。無垢なる魂?

 真っ新な状態なのかもしれないな。

 昨日の鏡の衝撃で幼い状態だからかな?

 だから抱きつきながら寝てると。


 「人は白い物を見ると色を付けたくなりますよね」

 だから師匠を俺色に染めたくなるのは仕方ない。

 誰だってそうする。だから俺もやっちゃう。

 お誂え向きに俺の魔力がピンク色である。

 この魔力をフィールド状に展開して師匠を包むのだ。

 魔力を直接流し込む事は出来ない。

 だから同調出来る様に包むのだ。

 では、施術を開始する。


 「スー…、スー…」

 今現在、対象を魔力フィールド内に包囲中、対象に変化なし。


 対象の魔力が少しづつ薄桜色に変化中。

 対象に微弱な変化あり。

 口元が少しにやけている。


 「んんー…こーらー…クラウスー…転ぶから走っちゃだ…め…」

 なにやら夢の中で楽しそうにしている模様。

 登場人物は俺か。

 俺の魔力内に居るから夢に登場できた? まさかな。

 おや? 師匠に更なる変化あり。

 腕に力が入り始めましたよ?


 「むぅー…言う事聞かない子は……こうだ」

 へ? あっ。え!?


 「ふぐぅむー!?」

 ちょ! え? いきなり接吻!?

 な! 舌が! えー? 待った! 何その舌技?

 あー…れー…。



 そこで俺の記憶は途切れた。

 次に起きた時には師匠は居なかった。



 「…あれは夢か? …」

 だが凄いリアルに唇に感触が残っている。

 幼い頃の師匠は結構アグレッシブだったのかな?

 あっ師匠が戻ってきた。


 「おはよう! 師匠」

 「えっ!? おっおはよう」

 おや? 勢いよく視線をそらされましたよ?

 もしかして覚えているとか?

 少しカマをかけてみるか。


 「師匠ー! 何だか唇が濡れてるのなんでかな?」

 「え!? そんなはずはない! よく拭いた……あっ、ちが、なんでもない!」

 「ん? 何でも無いの?」

 「うっ…。すっすまない。どうも寝ぼけたみたいで……その…目を覚ましたら…その……クラウスの口を、ふっ塞いでいたんだ……ううっ…こんな事初めてなのに……」

 師匠は申し訳ないやら恥ずかしいやらで悄気ている。

 てか、ファーストでアレですか。そっち方面も師匠は優秀なようだ。

 しかし原因を作ったのは俺だ。蟠りになる前に解消しよう。


 「気にしてないよ! むしろ嬉しいから大丈夫だよ?」

 「こんな私でも気遣ってくれるんだね。ありがとうクラウス」

 むしろ役得ですから。ご褒美ですから。


 「本当は接吻は大切な物だ。寝ている相手に無理やりなど許されるはずがない」

 「それなら今度は起きている時にしようね師匠」

 「へ!? いや、その……心の準備が…出来たらで良い?」

 「うん!」

 そして約束を取り付けるのであった。

 原因を作り。それを自分で解消する。

 まさに自作自演! 俺も悪い男になったものだ。



 その後、朝食を経て魔法の訓練成果のお披露目となった。



 「それじゃあ今までの練習成果を見せてもらおうかな?」

 朝の醜態を何とか封じ込めて気丈に振舞っていますな。

 だが指摘はしない。師匠の為だ。


 「はい! 今からやります」

 さて何からしようかな。

 いつも通りに桶に水が入っている。

 ふむ。水玉でも作りますか。

 桶の中に向けて魔力を放射。その後、空中に水の膜で出来た玉を作成。


 「うん。よくできてるね次は火かな」

 リクエストですか。ならこのまま応えましょう。

 水の玉を使い陽の光を収束。焦点を…足元にある木の枝に当てるか。

 これは水レンズである。

 ついでだ枝の水分も利用してしまおう。

 枝から水分を抜き取り水レンズに集約。

 これで枝はカラッカラ乾いたな。


 「え? クラウス水はもういいよ?」

 暫しお待ち下さい。


 「え!? 何で枝が燃えたの!?」

 「師匠ー少し下がってて?」

 「え? うん」

 そのまま、そのまま。うん良い位置だ。

 それではイッツ、ショータイム。


 これより燃えている枝に向けて酸素を過剰に供給します。

 魔力フィールドを大きく展開して酸素を集めます。

 空気を掴めるのは実証済みです。

 酸素を一点に凝縮し火に向けて放ちます。

 すると?


 「ええ!? 爆発した!?」

 ……やり過ぎた。失敗、失敗。

 まあ爆発と言っても小さい打ち上げ花火が爆発したくらい?

 燃焼物質である酸素を与えすぎたか、次は注意しよう。

 酸素を集めて吹き付けるくらいでいいか。


 「なんで炎が伸びているの!?」

 やべ…バーナーみたいに横に炎が伸びちゃった。

 これじゃ火炎放射器みたいじゃないか。


 「失敗しちゃった」

 「いや…失敗と言うか……大成功なんだけど…いやそれよりもクラウス。魔力の方は大丈夫なのかい?」

 ああ。これだけやれば減ると思いますよね。

 でも、殆んど減ってません。体感的には1割以下と言ったとこです。

 それも回収すれば、すぐ回復するんですけどね!

 でもここは休むと申告しよう。


 「少し疲れちゃったから休んでいい?」

 「うん。その方がいいよ」

 さて、昨日、今日は色々な事が解明された。

 今朝の師匠を包んだ魔力フィールドで色々解明できた。

 やはり生き物には魔力を通し難いのだ。

 昨日の二人組に大声を張り上げた時、魔力をぶつけてみたのだ。

 するとどうだろう7割から8割の魔力が霧散したのだ。

 大体の抵抗値も見て取れた。

 酷く驚いて居た方が7割。

 さほど驚かない方が8割と言ったところだ。

 これは魔力量に関係するのだろう。

 だが先ほどの枝からは抵抗が殆んど感じられなかった。

 植物も生きているだろって?

 植物は本当に微量の魔力を有しているが枝が折れたり枯れた物は魔力を有していないのだ。

 だから干渉しやすかった。


 そして魔力で火を付ける方法だが、アレは魔力を燃えると言う現象に変換しているのではないかと思う。

 これは非常に効率が悪い。この前試したが。魔力を3割注いで、出た火が松明の火くらいだ。

 これなら先ほどの方法の方が遥かに効率が良い。1割以下で出来た。


 思うに今ある現象に干渉する方が魔力消費が格段に下がるはずだ。

 現象を生み出す方は途中で魔力が霧散してしまうんじゃないだろうか。

 これについては今後も検証しよう。


 魔力フィールドは魔法の新たな系譜になるかもしれない。

 今日はその貴重な第一歩になった日だった。

夜なのにおはようとはこれ如何に。

寝起きのどっきどきでしたね。


読んでくれてありがとうございます。

次回もお会いましょう。

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