ただいま、と言う。だから、お帰りと返す。
推敲が手間取りました。
私にとってのエルフとは何か? 崇拝の象徴であり。美の象徴であり。憧れの対象であり。生涯を捧げるに足る象徴である。エルフ無くして我が人生に何の意味があるのか。もしエルフが存在しなければ、なんとも無味簡素な人生になっていたであろう。情報化社会の荒波に揉まれ疲弊した心は、何処までも荒んでいたことだろう。その一服の清涼剤の如く我が心を洗い流してくれる。それが私にとってのエルフであり。我が心の支柱である。今までは、だ。今現在は、我が心をジリジリと恋の熱で焦がしてくれる、ひじょ~うに、焦らし上手なテクニシャンだ。私は1ヶ月と言わず。半月。いや週一で。やっぱり毎日会いたいです。師匠に会いたい一心で、今日も生きています。出会った刹那に恋に落ちて即座に結婚を申し込む程に愛しいです。あの少し慣れてない感じで、だけど気丈に振舞う姿がとてもいい。告白されて戸惑いと恥じらいに頬を染めた瞬間など、もう堪らない! 少しまんざらでもなさそうな照れた感じも良い! 自分が年上だからと、驚いても持ち直そうとする所が良い! さらに師弟の関係を結んだ時の、自分が導かなければ! と使命感に燃えて居る姿に正直、萌えました。そのくせ恋愛をしようと持ちかけた時のテンパり具合やヘタレて早口になってしまった時の慌て様といったらもう! いわゆる萌えの極地でしたね。見た目、涼やかな凛々しいエルフが、実は恋愛に関してはポンコツとかどうしてくれようか? ぐっへっへっ。――以下。御見苦しい妄想が始まりますので省略いたします――。
我が愛しい妻(予定)と離れて30日目。
「なんだか今朝は調子が良いね。良い夢を見た様な気がする」
魔眼で見た俺の魔力もピンク色だ。
なんと言うか部屋中ピンク色? みたいな。
……ふむ。
この空間に異性を招き入れたらどうなるのだろうか。
……うん。
これは実際に試して見なければイケナイのだ。
……そう。
これは探求者としての探究心故の考察だ。
……なら。
この考察が邪であるはずがない。
……よし。
師匠で試そう!
クラウス少年は、新たなる地平線へのアタックを開始したのだ。
この一歩は小さな一歩かもしれない。
だが、人類にとっては大きな一歩であるに違いない。
価値のある。
意味のある。
非常に大事な一歩だ。
ならば、その対象に師匠を選んでも何の問題もない。
価値ある物かは、価値ある人でしか測れないのだ。
誰でも良い訳じゃない。
「愛ゆえに、である」
だが、あえて目的を言おう。
エロスであると。
やっぱ目的はそれです。
だって~気になるじゃん? 人の感情が色で解かるなら。それって、魔力が感情に影響を受けてる証拠でしょ? なら逆もまた然り。色の付いてる魔力で充満している部屋に入るとどうなるのか? やっぱ影響を受けるんじゃね? これが俗に言う雰囲気(なぜか変換できた!)に飲まれた。って事じゃないのかな。
「もしかしたら。あの一緒に寝た次の日。あの師匠の様子も俺の魔力に影響を受けたせいなんじゃね?」
ならば、この愛の探求者である私が使命を全うしなければ。
だけど、まずはこの部屋の魔力をどうにかしないとな。
ナニをヤった跡の始末みたいな感じで魔力を回収しました。
「何故かいつもより気分が高ぶって、たぎりますなぁ」
やはりエロスは偉大だ。
エロス万歳。
人類にエロスは無くてはならないのだ。
だから女性の皆さん。
犯罪じゃなければ大目に見てやってください。
「うむ。言い訳(真摯な思い)もここまでにしよう」
そして俺は朝食に赴くのだ。
朝食、美味しゅうございました。
マッシュルームの様なキノコの入った。
ジャガイモと肉と玉ねぎのスープでした。
「お母さん。今日も美味しかったよ!」
「ありがとう。クラウス」
わぉう。頬にキスされちゃいましたよ。
機嫌いいね。
艶々してますよ? ダディのお陰か?
だって二人共魔力がピンク色だもの。
「お母さん。今日はいつもより綺麗だね」
「うふふ。クラウスに貰った鏡のお陰かしらね」
ハッキリ綺麗に映るから、いつもより意識している。
だから美に対するイメージが明確になり輝きが増すのだろう。
毎日、鏡を見る事は大切だね。
だからと言ってナルシスト等と思っては心外だ。
外側から見た自分と言う物を明確にイメージ出来るから美人はより美人になるのだ。
良い例は身近にある。
諸君のご母堂様の若い頃の写真を見れば理解できよう。
今との違いに驚くこと請け合い。
それが意識している時と、していな時の違いだ。
だから、今日も綺麗だね? っと褒めてあげれば……いや、何か悪い事をしたから機嫌を取ろうと邪推されるのがオチか。
兎に角、そう言うものなのだよ。うん。
その後、昨日会得出来た気配消失の訓練に没頭した。
その姿勢は空に浮かぶ雲のよう。
海に漂う海月のよう。
まるで植物の如く。
未来の猫型機械の秘密道具を被った時のよう。
4年に一度しか出番の無い超能力者のよう。
今風に言うなら、中学1年生で13歳の頭にお団子を付けた赤い髪の自称おっちょこちょいだけど元気印の女の子とか宣っている限りなく存在感の薄い主人公のよう。
……最後がやけに具体的なのは気にしてはイケナイ。
「ふう。大分存在を薄く出来たかな。あまり持続できないけどな」
ウッカリーンしていると俺も存在を忘れられるに違いない。
この修行は一人の時に限る。
忘れられたら泣くぞ!
「そろそろお昼だから様子見に行くか」
別に人恋しくなったんじゃないんだからね!
そして自室から出た時だった。
代わりにダディが家に入って来たのだ。
「クラウス居るかい?」
「はーい! 居るよー!」
自己主張せねば。
「お? 居たね。さっき伯父さんの所に行った時にね。あの人が来ていた――」
「僕、行ってくる!」
最後まで聞かずとも分かる。
師匠だ!
彼女が帰って来たのだ!
俺は駆け出した。
体中が熱くなった。
魔力が溢れ出した。
先程までは、カラッカラに乾いた水一滴も無い砂漠の様に存在感が薄れていた。
だが、一瞬にして大海原へと変わり氾濫する様に魔力が湧いて出た。
俺は力の限り足を踏み出した。
一歩事に前へと駆け出した。
家を出て五歩目で知覚が時間を置き去りにした。
風を切り。
地を駆け。
天に舞わんとする程に加速した。
魔力が渦巻き。
うねり。
爆発するように足元で爆ぜた。
次の瞬間には、また加速していた。
早く会いたい。
今すぐ会いたい。
一目だけでも見たい。
彼女を抱きしめたい。
お帰りなさいと言いたい。
愛しさが溢れる。
その愛で包みたい。
恥や外聞など気にしていられない。
本当の心の前では、そんな物は些細な事だ。
今の俺の心は、流れる汗も蒸発する程に熱くなっている。
アデリーネがそうさせるんだ。
あの目がそうさせるんだ。
あの少し諦めを宿した目が。
あの少し寂しそうな目が。
気丈に前を見詰める目が。
なぜだか消えてしまいそうに思えて抱きしめたくなる。
一緒に幸せを分かち合いたくなる。
だから走るんだ。
だが次第に息が切れてくる。
幼い身体には支え切れない熱だ。
この熱が身を焼き尽くす前に行かなければ。
残り最後の魔力を燃やす様に。
今ある全てを絞り出す。
その時、彼方から人影が手を振った。
スラリと伸びた肢体。
グリーンゴールドに輝く髪。
風に靡く髪を白い手で押さえながら。
彼女が微笑んでいる。
あの綺麗な薄緑の瞳を輝かせて微笑んでいる。
ヴァージンピンクの唇が動き何かを言っている。
何を言っているのか知りたい。
俺は最後の一歩を飛んだ。
「ただいま。クラウス」
「おかえり! 師匠」
俺はしっかりと彼女を抱きしめた。
読んでくださって、ありがとうございます。
主人公の並々ならぬ想いを綴りました。
重くなかったですかね?
ただいま。おかえり。挨拶は大切です。
私も身が焦げる…焦げちゃ駄目か。
そんな恋がしたいものですね。
次回も会いましょう。




